Z33をスポーツカーにするためのカスタムを考える

パワーアップチューニングも一段落して完成を見るかというとそうでもない。パワーアップチューニングは弊害として発熱量の増加というデメリットが常につきまとう。

これまでにも書いてきたが、ブレーキは酷使すれば耐熱温度を超えてしまい性能が低下するし、エンジンもパワーアップを図るのであれば、熱量が増えてエンジンオイルと水温が上昇し、酷使し続ければオーバーヒートを起して最悪エンジンブローへと繋がる。

加えて、Z33ではパワーステアリングフルードも冷却不足気味のため、酷使するとステアリングフィーリング突然変化し、デフはオイル量が少ないため熱容量が小さく過熱し、オイルが潤滑性を失ってデフが傷むという頭を抱える問題が知られている。

そのため、スポーツ走行をするのであれば、過熱する箇所をしっかりと冷却して、チューニングの効果を最大限に発揮できるようにしておかないと、折角のチューニングも意味をなさないばかりか、事故の原因にもなる。

では、どう冷却すればよいかというと、それぞれに専用のパーツや冷却方法が確立されている。

■ブレーキ冷却

まず、ブレーキの冷却についてはエアロへ交換や、エアダクトを設置してブレーキローターに冷却風を当てるといった手法を取る。

エアロによる冷却についてはいくつかあるが、カナードを装着して整流によりタイヤハウス内の空気の剥ぎ取る方法や、エアロフェンダーを取付けて、直接タイヤハウス内の空気を抜き出す方法がある。

エアロフェンダーについては塗装と合せて十数万というコストが掛るが、エアダクトの設置については、ホームセンターにあるアルミダクトでも十分に冷却風を当てることができる。DIYでチャレンジしてみたいというユーザーは、車用の汎用導風ダクトやホームセンターでエアダクトを漁ってみるのも手だ。

■エンジン冷却(油温・水温)

エンジンの冷却は油温と水温の2つの冷却からなるが、どちらを下げた方が良いかというと油温を重視すべきだ。エンジンが過熱すると、エンジンオイルが熱で成分変化を起して潤滑を失い、エンジンオイルで潤滑していた各パーツが大きな摩擦に晒されることにより摩耗し、最後には耐えられずに破損する。いわゆる、エンジンブローだ。

そのため、水温が適正範囲でも油温が高くなる場合は、エンジンオイルの劣化が進んでしまい潤滑性能は失われてパーツの摩耗が早くなる。こういった事がエンジンの負荷によっては起こりうるので、油温を重視することが重要になる。

ただし、水温と油温は密接な関係にあり、基本的には水温と連動して油温が上下することから、エンジンに高い負荷が掛り続けるようなシビアな環境でなければ、エンジンの温度管理指標として水温を利用できる。

少し前置きが長くなったが、油温を下げる方法としては、オイルクーラーを取付けてオイルを冷却するか、オイルパンを増量タイプにしてオイル量を増やして温度を上げにくくする方法がある。

なお、増量タイプのオイルパンは冷却効率を上げるために冷却フィンが付いているものがあり、僅かながら冷却効率を上げることにも繋がる。オイルクーラーについても、オイルの量が増量となるので冷却効果と合せて油度を下げてくれる。

水温を下げるにはラジエーターを冷却効率の良いものに変えて水温を下げることになる。ラジエーターの層を純正よりも増やして放熱効率を上げたアルミ製のラジエーターに交換する事で、走行中の放熱効率を上げて水温を下げる。

なお、水温も油温も無闇矢鱈に下げれば良いという物ではない。エンジンには適切な温度帯という物があり、その温度帯で最高の出力が出るように調整さている。

これは、パーツの熱膨張によるクリアランスの変化や、油の温度による粘性の変化といった温度に起因する要素が複雑に絡み合っているためで、油温水温共に低いオーバークール状態になると、エンジン制御に補正が入り燃料制御などによりエンジンの出力を制限してしまう。そのため、水温油温を確認しておき必要に応じて取付けておくべきだろう。

なお、冷却水の循環経路には、エンジンが暖まるまでラジエーターに冷却水を流さない弁としてサーモスタットが装着されているが、オイルクーラーのキットには含まれていないものもある。

サーモスタットの付いていないオイルクーラーだと、通常走行や冬時期にオイルが冷え過ぎてエンジンがパフォーマンスを発揮できなくなることもあるので、サーモスタット付の物を選ぶか、サーモスタットを後付けしておきたい。

■パワーステアリングフルード冷却

パワーステアリングフルードはパワーステアリングのフィーリングに大きく左右してくる。フルードはオイルだが、潤滑ではなく圧力を伝達する役目を担っているため、フルードの温度が上昇して沸騰すると、フルード内に気泡が発生して圧力が正常に伝達できずフィーリングが劇的に変化する。

ワインディングでパワーステアリングを酷使した際にフィーリングが突然変わる場合はパワーステアリングフルードが過熱している場合を疑った方が良い。パワーステアリングフルードのリザーブタンクを外から見て、フルードが煮えているようなら冷却が必要だ。

もし、パワーステアリングフルードが過熱している場合は、純正のパワーステアリングフルードクーラーを大容量の物に取り替えることで冷却する。R35用のパワーステアリングフルードクーラーを流用する手法や、NISMOから大容量タイプが販売されているのでそれを使うのも手だろう。

■デフオイル冷却

Z33のデフはLSDを組み込んでいるが、このLSDを潤滑しているデフオイルが過熱すると潤滑を失ってしまい摩耗が早くなる。もし、デフケースからデフオイルが噴き出すようであれば、デフオイルが過熱しているシグナルなので冷却する必要が出てくる。

軽めの冷却であれば、クーリングフィンが付いた欧州向けZ33のデフカバーか、デフオイルが若干増える増量タイプのクーリングフィン付デフカバーで冷却する。

それでも、耐えられないほど酷使するのであれば、デフオイルクーラーの出番となる。デフオイルはエンジンオイルと違い循環をしていないので、オイルポンプを取付けてデフオイルクーラーを通して循環させる必要があるが、デフオイルの増量も相まってクーリングフィン付のデフカバーより冷却効果は高い。

また、デフオイルクーラーの設置箇所はマフラーの太鼓部分近くになるため、マフラー形状によっては取り付けが難しくなることもある他、取付け箇所によっては飛び石による破損や冷却効果が思ったほど見込めない場合もあるので要注意だ。

重要なのだが見過ごされがちな冷却。今回はその重要性を知ってもらいたいため少々長くなってしまった。本来はここで終わりとなるはずだが、捕捉として次回のその他編に続く。