Z33をスポーツカーにするためのカスタムを考える

前回では、ボディの補強は必要がないと判断したが、最初からスポーツカーとして生まれた車とは違い、GTカーとしての素性が強いZ33をスポーツカーという性格に替えていくにはあれこれと変更する箇所が多い。

だが、スポーツカーとしての性格を強く出そうとして、スポーツカーの性格が強く出るパワーアップチューニングにいきなり走るのはお勧めしない。何故なら、Z33は最初からスポーツ走行を前提としているわけではないため、強化しておかないと耐えられない部分が意外にも多いのだ。

そこで、まずは余裕を持ったブレーキ性能と、スポーツ走行向けの足回りでしっかりと下地を固めていく。

■ブレーキ強化

スポーツカーがスポーツカーたる要素は「走る・曲がる・止まる」の3要素が高い次元にあることと思っているが、カスタムする際にどれから手をつけるかというと、「止まる」を選ぶべきだ。

スポーツカーにとって、「走る」すなわち、パワーを上げるカスタムをすることは刺激を得るための近道となるのは間違いない。だが、そのパワーを受け止めるブレーキ性能が無ければ車はドライバーに牙をむくことになる。

また、車を上手に曲げようとするのであれば荷重移動テクニックは必須となるが、ブレーキ性能が高いほど瞬時に荷重移動ができ、減速も早いので減速時間を短縮して次のステップに移ることが可能だ。

この、「止まる」を担っているブレーキは主に2つの性能を意識することになる。1つはブレーキを使い続けた際に性能をどれだけ維持することができるかを表す「ブレーキ容量」。もう1つは、ブレーキペダルを踏みこんでどれだけ減速するかという「制動力」だ。

制動力については、ブレーキペダルを同じ量踏み込んでも制動力が高いほど減速しやすいというものだ、車に乗るドライバーなら感覚として理解しているはずだ。

ブレーキ容量については、ブレーキパッドの耐熱指標である対フェード性と密接な関係があるが同意義では無い。対フェード性はどの温度までブレーキパッドが性能を発揮できるかという指標であり、ブレーキ容量はブレーキ性能がパフォーマンスを発揮し続けることができる熱容量になる。

ブレーキは使用する度に、ブレーキパッドとブレーキローターが接触し、強烈な摩擦力で車体を減速させるが、摩擦は熱を発生させる原因となる。この熱が問題で、対フェード性が低いブレーキパッドは使用想定温度を超えた際にブレーキがフェードを起こして効果が低下する。

しかし、ブレーキは常に使用する物では無いため走行中に風で冷却される。そのため、ブレーキは加熱と冷却を繰り返すことになるのだが、加熱量が多すぎるとブレーキパッドがフェードを起こしてしまう。当然、効きが良いブレーキパッドほど摩擦が大きく発熱量も大きくなる。

すなわち、ブレーキの性能を向上させるということは発熱との戦いでもあるということだ。

では、ブレーキ性能の決め手となるのはどのパーツかというと、主にブレーキローター、ブレーキキャリパー、ブレーキパッドの性能によるところが大きい。

制動力についてはブレーキパッドの交換に始まり、物足りない場合はブレーキキャリパーやビッグタイプのブレーキキャリパーとセットでビッグタイプのブレーキローターへ交換となる。

ブレーキ容量が欲しい場合はブレーキローターを交換することになるが、純正ブレーキローター互換タイプは大きな容量増加は期待できないため、ビッグローターに切り替えることが多い。この場合、ブレーキキャリパーもビッグタイプに交換となるので、ブレーキパッドも同時に専用のものに交換となり、大がかりなパーツ交換となる。

結局のところ、両方の性能を上げようと思ったら、ブレーキキャリパー・ブレーキローター・ブレーキパッドのセットを導入することになるのだが、ブレーキパッドの交換が前後セットで数万なのに対して、ブレーキキャリパーは20万円から、ビッグローターとビッグキャリパーのセットとなると倍以上の予算は必要となる。

なお、ビッグローターやビックキャリパーはホイールとの相性が厳しく、純正のホイール径からインチアップしないと装着できない場合がある。

サーキット走行といったハードな走行や、過給器チューンによるパワーアップをするのであれば、ブレーキキャリパー交換以上のカスタムを考えた方が良いが、ワインディングならブレーキパッドでもなんとかやっていけそうだと今のところは感じている。

だが、過信してはいけない。ブレーキをハードに使い続けると、ブレーキ容量を超えてフェードをするため、休み休み使うか、それでも使い続けたいのであればブレーキ容量の強化を考えるべきだろう。

また、どれだけ制動力が上がっても、タイヤがグリップしないことには制動力は路面まで伝わらない。制動力を上げた際、ブレーキを強く踏み込んでいないのに頻繁にABSが作動するようなら、順序が早くなってしまうが、タイヤをよりグリップするタイプにするか、ホイールと合わせてトレッドが幅広なものに交換することをお勧めする。

ともかく、スポーツ走行がしたいのであれば、最初はブレーキパッドの交換をおすすめする。それでも物足りない場合は次のステップといった具合にアップグレードしていくのが良いだろう。

■サスペンション強化

サスペンションは主にスプリングとショックアブソーバーからなるパーツで、スプリングが衝撃を吸収して、ショックアブソーバーが必要以上にバネが動かないように制振することで乗り心地を調整している。

そのサスペンションは価格帯で性格が異なってくる。数万円で購入できるダウンサスや10万円以下のサスペンションは車高を下げることをメインとしたファッションパーツとしての意味合いが強くスポーツ走行には向かない物が多い。

スポーツ走行向けとなると10万円台のものからとなるが、この価格帯でも低価格帯のスポーツ走行向けサスペンションであって、本格的なスポーツ走行向けのサスペンションをチョイスしたいのであれば30~40万円の予算が必要になる。

車をスポーツ走行向けに振る場合は、コーナリングのロールを抑えこみ、高速走行時の直進性を向上させるため、硬めのサスペンションに交換することとなるが、硬めのサスペンションで足を引き締めるほど道路の段差が衝撃として搭乗者に伝わり快適性は落ちていく。

そのため、サスペンションの硬さを調整できる減衰力調整機能付きのものをチョイスしたい。減衰力調整機能があれば、街乗りからスポーツ走行まで幅広い走行シーンに合わせて調整が可能になる。

ただし、Z33の減衰力調整機能付きサスペンションのリア側は、一度取り付けたら外すまで減衰力が調整できないタイプや、調整するためにリアタワーバーに加工が必要となるので、この点をしっかりと確認しておくことが重要だ。

減衰力調整機能付きのサスペンションの中には、オプションで車内から電子制御によりリアルタイムで減衰力調整機能を調整することができるものもあり、ボタン一つで走行シーンに応じた減衰力に変更することができる。これをつかうのも1つの手だろう。

また、スポーツ走行向けのサスペンションには車高を調整する車高調機能を持っているものが多いが、車高は下げるほど重心が下がりコーナリング時の安定性が向上する。

車高を下げるとスタイルも良くなるが、無闇矢鱈に車高を下げると、逆に走行性能の低下を招き、車体の一部を路面にこするというデメリットもある。また、Z33は一定の車高以下になるとキャンバー角が急激に大きくなる構造のため注意が必要だ。

スポーツ走行をメインとするのであれば、ドレスアップのような過度な低車高は避けておいた方が良い。

今回は少々長くなってしまったが、まだまだこの話は続いていく。次回はタイヤとLSDについてだ。