ZERO 703V

走行中の録画により、万が一の際は責任の所在や過失割合を決めてくれる重要な映像を記録できるドライブレコーダーだが、一部のモデルでは駐車中にも録画をすることで、駐車時のいたずらや当て逃げの犯人を記録することが可能なモデルも出ている。

だが、走行中に常時録画をするタイプのドライブレコーダーであれば、車両側配線の加工などで駐車時も走行中と同じように、常時録画により映像を記録することができるようになる。

前回もこの話をしたのだが、あれから2年以上経過しており、環境が変わったことも含めて新たに2021年版として記事を刷新することにした。

なお、この記事を読むうえで事前に必要な知識を別の記事にまとめているので、そちらに一度目を通したうえで、この記事を読んで頂きたい。

■ドライブレコーダーを常時録画の状態にして駐車監視モードにしておくには

・エンジン始動用の鉛スターターバッテリーを使う方法

メリット
電装系の加工作業は最小限で済む・導入コストが少なくて済む

デメリット
バッテリーが上がる・バッテリー寿命が短くなる・長時間の録画には不向き

常時録画タイプのドライブレコーダーは電源を供給し続けていれば絶えず録画を続ける。すなわち、エンジンを切って駐車した状態でも電源をどこかから供給し続ければドライブレコーダーは駐車中も録画してくれることになる。

幸い、車にはエンジンを始動するバッテリーがついている。鉛タイプのスターターバッテリーだ。ドライブレコーダーを販売しているメーカーによっては、この鉛スターターバッテリーを電源として駐車監視モードを利用できるオプションも用意されている。

そのようなオプションが無くとも、ヒューズから常時電源を取り出して接続してしまえば、バッテリーの残量が無くなるまで録画し続けるのだが、当然、エンジンが始動できなくなるため、バッテリーの残量が危険領域に入る前に何らかの方法で接続を遮断する必要がある。

実は、電圧カットオフ機能やタイマー機能などを兼ね備えたドライブレコーダー用の制御装置が数多く市販されている。これらの装置は特に高度な制御をしているわけでは無いため、多くのものはメーカー関係なく流用が効くのだ。

それらをドライブレコーダーとヒューズボックスから取り出した配線の間に組み込んでやれば良いので導入費用は小さくて済む。設定が可能なタイマーの時間やカットオフ電圧を利用状況に応じて選択すると良いだろう。

なお、筆者は鉛スターターバッテリーを電源にして常時録画で24時間ひたすら録画をし続けたことがある。そのためには、通勤の往復40分走行充電に加え、50Wのソーラーパネルとソーラーチャージコントローラーを導入する必要があった。

それでも、2年でバッテリーが突然死してしまったため、数時間程度なら良いが、鉛スターターバッテリーで長時間録画をする場合は、突然エンジンが始動できなくなることを想定した上で運用することを強く推奨したい。

・サブバッテリーを使う(ドライブレコーダー用補助バッテリー編)

メリット
バッテリーの容量を使い切ることができる・サブバッテリー上がりの対策が必要ない・同容量の鉛バッテリーよりも充電速度が早い

デメリット
大容量高速充電タイプは高価・リチウムイオン系バッテリーは発火や発煙等の可能性有り・充電に10A以上の電流が必要ならバッ直配線必須・リチウムイオン系のサブバッテリー(ディープサイクルバッテリー置換えタイプ)と比較すると充電電流が小さい

鉛スターターバッテリーを使う方法の問題は、1つのバッテリーを異なる用途に使うから発生するわけで、ドライブレコーダー用の電源を別にすれば良いという考えは、この問題に出会ったときに考えつくことになるだろう。

最近では、ドライブレコーダー専用の補助バッテリーがいくつか登場しており、高価なモデルでは15A以上の充電電流により短時間の走行でも効率的に充電ができるものもある。

安価な物は容量も小さいため満充電でも数時間程度の録画しかできず、充電に時間が必要なものは走行環境によっては満足に充電できないことがあるため、その2点を良く確認しておくことが重要になる。場合によってはパススルー型のモバイルバッテリーのほうが安く済むかもしれない。

大容量高速充電モデルは非常に高価だが、走行時間が長ければ24時間以上の録画を可能にすることも簡単だろう。満充電ならシングルカメラモデルで1週間連続稼働が目安のようだ。

また、この手のバッテリーはほぼリチウム系バッテリーだ。常に発火や発煙の可能性がつきまとうのは今更言うまでも無いだろう。また、充電制御車と組み合わせた場合、紹介されているような充電電流が出るかは説明が無いため分からない。

・サブバッテリーを使う(シールドバッテリー編)

メリット
サブバッテリーの中では比較的安価・リチウムイオン系バッテリーより安全

デメリット
サブバッテリー上がりの対策必須、小型のシールドバッテリーに適合する走行充電器が少ないうえ高価・安価な充電方法は効率が悪い・充電に10A以上の電流供給が必要ならバッ直配線必須

ドライブレコーダー用補助バッテリーは高価だし、発火の可能性を考えると車内に置いておきたくないという人もいるだろう。そのような人には内部が密閉された鉛バッテリーの一種であるシールドバッテリーを勧めたい。


シールドバッテリーは充電時に発生したガスを外部に放出しにくい密閉構造のため、車内で充電しても可燃性のガスが漏れ出しにくい。また、リチウムイオン系バッテリーと比較すると安価で大容量なので扱いやすい。

ただし、鉛バッテリーのため、バッテリーの残量が減った状態が続くと劣化が加速するうえ、同容量のリチウムイオン系バッテリーと比較すると充電電流が小さく充電に時間が必要だ。

また、シールドバッテリーは指定された充電電流を超えると膨張や破裂、最悪爆発するため、充電電流を制御するため走行充電器(アイソレーター)を介する必要があるが、100Aクラス以上のバッテリーを対象とした物ばかりのため、50A以下の扱いやすいシールドバッテリーには使えない物がほとんどだ。

100Aのディープサイクルバッテリーを積めばこの問題も解決だが、100Aクラスで25kg程度、50Aでも12kg程度の重量がある。


一応、小型のシールドバッテリーで使えそうな走行充電器があるといえばあるのだが、とても高価だ。充電制御車にも対応しているため、予算があればこれで解決することもあるだろう。
※CTEKの走行充電器(最小バッテリー容量に注意)が対応している


予算が無いのであれば、一度インバーターで100V交流に変換した後、全自動タイプのシールドバッテリー対応100V充電器で充電するという方法が使えるかもしれない。
※BAL SMART CHARGERシリーズやMeltec MPシリーズが該当


この場合、直流から交流にする際に約80%の効率になり、さらに交流から直流に変換する際にも約80%の効率となるため、組合せた際の効率は65%と低い。15Aの電流でシールドバッテリーを充電するとなると必要とされる供給電流は23A以上と非効率さが際立つ。

さらに、オルタネーターの発電量が低い場合は鉛スターターバッテリー側からも電力を供給してインバーターが100Vを供給することになるため、車両側の電圧が降下した際にシャットダウンする制御がインバーターに無いと、走行中にバッテリーが上がる危険性もある。

なお、ドライブレコーダー側に電圧カットオフ機能が搭載されていない場合は、「エンジン始動用の鉛スターターバッテリーを使う」で紹介したバッテリー上がり防止装置を介する必要があるのだが、効率よくバッテリーを使うにはカットオフ電圧が低い物を選ぶと良いだろう。

それでも満足できないなら、12V対応のカットオフ電子回路でカットオフ値を自由に指定するという方法もある。
※Amazonに様々なタイプが売ってある

ドライブレコーダー本体に電圧カットオフ機能が付いている場合はバッテリー残量を効率よく使えないため、上記のカットオフ回路の後に定電圧回路を組み込み、ドライブレコーダーに常に一定の電圧を供給することでバッテリーの容量を効率よく使えるようになる。
※秋月電子通商 同期整流式昇降圧型スイッチング電源モジュールキットが使えるかもしれない

・サブバッテリーを使う(大型リチウムイオン系バッテリー編)

メリット
満充電で2カメラモデルを1週間以上連続録画可

デメリット
高価・発火や発煙等の可能性がある・バッ直配線必須・DIY技術必須

ドライブレコーダー用の補助バッテリーは大容量モデルといえど、連続稼働時間はシングルカメラモデルで1週間程度。長期駐車で1週間以上連続して録画を続けたい、もしくは2カメラモデルでも1週間は連続で稼働させたいというユーザーにとっては大容量といっても少ないのが実情だろう。


そこで、大型リチウム系バッテリーを使うという方法がある。キャンピングカーなどに使用するディープサイクルバッテリーの代わりに開発されたリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの流用だ。
※Renogyの50Ah・100Ahモデル(充電電圧14.4±0.2V)
※O'cellの12.8Vモデル(充電電圧14.6V)

この手のバッテリーは容量が充放電電流と同じ(1C)タイプが多い。50Ahの容量があれば50Aという大電流で充放電が可能なのだ。これなら、シールドバッテリーでは問題となった、走行充電器の充電電流制御の問題もほぼ無くなるうえ、短時間の走行でも効率よく充電が可能になる。また、バッテリー本体にBMSという保護装置が組み込まれているため過充放電の心配は鉛バッテリーに比べると低い。
※BMSの過放電保護解除方法は面倒なので電圧カットオフ装置を組み込んでおいた方が良い
30A~50Ah程度のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーなら、最大充電電流が30Aの走行充電器、それも充電制御車対応の昇圧モデルを組み合わせると、バッテリーの充電仕様に最適な組み合わせができる。
※30Aの昇圧モデルならRENOGYのDCC走行充電器が有力候補

単純かつ大抵の12V車両なら対応できる点においてメリットはとてつもなく大きいが、50Ahクラスのバッテリーは単体で4万円以上するため初期コストも大きい。

また、大電流で充電できるといっても、車両側からの供給が間に合わなければ意味が無いため、搭載しようと考えている車両のオルタネーターの性能を調べておかないと無駄な買い物になってしまうこともあるかもしれない。100Aクラスのオルタネーターを搭載した車両でも走行充電に供給できるのは20A程度という事例もある。

また、50Ahという大容量であれば、シングルカメラモデルで1週間以上充電せずに連続録画が可能なのだが、裏を返せばそれほどエネルギーを蓄えているということでもある。リチウム系バッテリーの中では比較的安全性が高いと言われるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーだが、発火や発煙等の可能性が全く無い訳では無く、内部のエネルギーが一気に放出された際の被害は想像したくない。

・ハイブリッド車や電気自動車の場合
(車両駆動用バッテリーから補機用の12V鉛バッテリーに電力を供給できるモデルのみ)

この手のタイプの自動車については大容量のバッテリーを格納しているようなものであり、サブバッテリーを使う必要性は低い。電気自動車であれば走行距離に微弱ながら影響するが、ハイブリッド車はエンジンや回生により短距離で充電されるため、補機用の12V鉛バッテリーにつないでしまえば良いはずだ。

ただし、補機用の12V鉛バッテリーが上がると始動できない車両もあるため、面倒な手順で回復する手間を考えると、上記の電圧カットオフ装置を介して接続することを強く推奨したい。

■ソーラー発電で補助充電する

上記の走行充電器による充電では走行時間が少し足りない、駐車期間が長いため駐車中でも充電して電力を補いたいという場合、ソーラーパネルによる補助充電を組み合わせることで解決できるかもしれない。


十数W程度のソーラーパネルだと満足に充電ができないが、20Wクラス以上になるとある程度の効果が期待できる。ただし、車両に取り付ける箇所があるかどうかが問題だ。

最も効率が良いのはルーフに取り付けることだが、車内への配線引込みが必要で、ソーラーパネルはルーフキャリア等に架装しないと外観や安全性共に良くないだろう。

車内に配置したい場合はダッシュボードか、セダンやクーペ等のリアガラスが緩い傾斜であればリアガラスも使える。もちろん、サイズが大きいほど邪魔になるうえ、ガラスを通した場合の発電効率は定格の3~5割程度まで低下するため、余計に大きなサイズが必要になる。

ソーラーパネルの固定


かつて、50WのソーラーパネルをZ33のリアガラス内部に取り付けていたが、春から秋の晴天時に最低でも70Wh/日、冬期でも雲の無い晴天なら60Wh/日を発電していた実績がある。当然、リアガラスは8割以上がソーラーパネルで埋められて後部は見えない状態だ。

また、数十W以上のソーラーパネルは制御用の回路が入っていないことが多いため、充電用のコントローラーを介する必要がある。走行充電器と組み合わせると複雑になりがちだが、走行充電器とソーラーチャージャーが一体化した充電器もあるため、ゼロから導入する場合は検討してみると良いかもしれない。
※CTEK・未来舎・RENOGY・CRESEED等で取扱いがある

当然ながら、この充電方法については直射日光が当たる環境に駐車しないと効果が発揮できないうえ、ソーラーパネルの温度、角度、方角とバッテリーの充電状態で発電量が大きく変化する。

■ドライブレコーダーの冷却が必要な場合も

真夏の炎天下に置かれた車内ともなると、ドライブレコーダーは自身の発熱と合わせて90度近くになることもある。当然この温度になると正常に動作しなくなるモデルもあるため、ドライブレコーダーを冷却させる必要がある。

フロントカメラだけならハチマキ状の遮光フィルムを使った遮光や、予算があるなら熱線を通しにくい社外品のフロントガラスに変更することで対応ができるかもしれない。車全体としてはサンシェードや車検に通る透明な熱線反射フィルムの施工もある。

撓み改良

さらに、過去に自身が行った対策事例として、ドライブレコーダー用冷却ファンや強制換気装置といった対策もあるが、こちらはDIYの経験がある程度必要になる。

■SDカードの容量に注意

ドライブレコーダーと大容量のサブバッテリーで連続稼働時間を伸ばしても、記録媒体であるSDカードの容量は限りがある。定期的に駐車している車を見るなら良いが、長期間放置をしている場合、せっかくの証拠が上書きされて消えていると言うことも十分にある話だろう。


また、SDカードは書き換え回数が多くなると記録ができなくなり寿命を迎えるため、可能な限り大容量のモデルを用意して望みたいところだ。予算が許すならば、書換え耐性が強化されている高耐久タイプSDカードも選択肢になるだろう。

■最後に

コンセントに差し込めば無尽蔵ともいえる電力を使える建屋と違い、限られた発電能力とバッテリー残量のみで運用することになる車両では、ドライブレコーダーのような数Wの電装品でも長時間の利用は厳しい環境だと言うことが分かって頂けただろうか。

メーカーはユーザーの導入コストのことを考えて、駐車監視モードの電源をスターターバッテリーにしているところが多いが、同時にバッテリー上がりも防がないといけないため、メーカーによっては過去モデルには存在した駐車監視モードの長時間録画機能を削減しているところもあるほか、電圧カットオフ機能をより安全側に振ってしまったため、従来機より長時間の録画ができなくなったというモデルも存在するようだ。

結局、長時間の録画をする場合はサブバッテリーが必須となり、そのコストと導入リスクを受け入れられるのかという問題に直面してしまう。組み合わせによっては、ドライブレコーダー数台分もコストが必要なため、今一度、本当にそこまでする必要があるのか検討したうえで決めて頂きたい。