バックカメラ

去年、長年利用してきた車載AndroidタブレットPCを中華Androidカーナビに更新したのだが、更新理由の一つにバックモニターとして利用できる点があった。便利なAndroidタブレットPCだが、外部映像入力となると実用性に欠けてしまう。

だが、中華Androidカーナビを取付けても、筆者のZ33にはバックカメラが搭載されていないため、今までバックモニター機能を使えずにいた。今回は、その機能を使えるように、新規にバックカメラを設置するためのDIY作業をNEOTOKYO ミラーカム MRC-2020の取付け作業と併せて実施することにした。

■中華の怪しいバックカメラ

ポン付けバックカメラ2

Z33には便利なポン付けバックカメラが多数のメーカーから出ている。どれも、中華の怪しげな製品で、安いものは2,000円を切るものもある。国内有名メーカーのものと比較すると、画質は劣るものの後方の確認には十分といった性能のようだ。
※今回購入したのはAmazonで販売していたAuto Wayfeng WF社のものだが、仕様が良く変わるようなので参考程度に

ポン付けといったが、これが本当にポン付けで、Z33のリアナンバー灯カバー部分をごっそり変えて取付けるため、ネジやテープでバックカメラを取付ける必要が無い。おかげで、後付け感は最小に押さえられる。

ポン付けバックカメラ3

代わりに、角度調整は固定式のため不可。本来、リアナンバー灯は気密構造なのだが、このバックカメラのカバーは排水のためか穴が空いている。若干だが不安を感じる構造だ。

ポン付けバックカメラ


付属品は、バックカメラ付きリアナンバー灯カバー、電源ケーブル、バック信号線付き映像ケーブル、説明書だ。

マニュアル

説明書は簡易的なもので英語表記だ。内容自体は専門用語なので理解はできるが、取付けに関しては簡易的な接続図のみで、詳しいことは自分で調べてくださいということだろう。

幸い、先人たちが類似のバックカメラを取付けている情報がいくつかあるため、参考にさせて頂いた。おかげで、事前の下調べでほぼ配線の予定図は描けた。

■DIYで取付け

今回のDIY作業は、ウーファー用のオーディオライン配線とNEOTOKYO ミラーカム MRC-2020の取り付けを並行して実施したため、参考の取付け時間は算出できなかった。難易度については、リアバンパーを外す必要が無かったため、内装剥がしと電装系のDIYができれば個人でも対応できるだろう。

DIYスタートはここから

最初はナビ裏のDIYからと言いたいところだが、Pumpkin VA0301SのDIY取付け作業時に、バックカメラ用のケーブルを接続してセンターコンソール裏に忍び込ませていたため、そこからDIYスタートとなる。バックカメラ用のケーブル接続は各ナビの説明書を参考にして頂きたい。
※シフト周りの内装剥がしはこちらを参考に

座席を前に出すと見える箇所

ここから、フロントからリアへ延びるセンターコンソールの中に配線を通していく。中期型以降のセンターコンソールはシフト周りの内装を取外したら見える、金属フレームで補強してある箇所のネジを2本(前の写真でドライバーが刺さっている箇所)と、座席を前に出すと見える箇所が運転席側と助手席側の2カ所。計4カ所のみで固定されている。

は引き上げる

これらのネジを外したら、サイドブレーキを引けるまで引き切り、その後センターコンソールを後方側から上に引き上げる。完全に外したい場合は、電装系のハーネスが固定されているため、それらを取外す必要があるのだが、今回は引き上げたまま作業を続ける。

ケーブルを固定しながら後方へ

既存の配線等に結束バンドでケーブルを固定しながら後方へと配線をしていく。ついでに、中華AndroidカーナビのUSBコネクターにUSB延長ケーブルを接続してカップホルダーから出しておいた。

USBケーブル取り出し

カップホルダーのコイン入れ部分は、内装剥がしを隙間に入れて上に引き上げれば外れる。USBケーブルが出てくるだけの小さな穴を開け、USBケーブルを挟み込んでも元に戻して完成だ。

配線干渉注意

この位置は、サイドブレーキの引きしろを調整するパーツと干渉しやすい位置なので、ケーブルの配線には気を遣う必要がある。筆者はこの位置のカップホルダーは使わないので空いていたカップホルダーを使ったが、カップホルダーを使うなら、後方のコンソールボックスにUSBコネクターが通る程度の穴を開けてそちらから出す方が良いかもしれない。

中央のフレームに穴

話は戻り、後方へバックカメラ用のケーブルを配線していく。中央のフレームに穴が空いているので、そこから運転席側へケーブルを配線する。ここは、ガソリンタンクの上になるため、ショート等の火災に繋がる原因に対して特段の注意を要する。

RCA端子の延長アダプター

中華Androidカーナビに付属のケーブルは、ここまでしか届かなかったため、ケーブルを延長するために手元にあったRCA端子の延長アダプターを使い延長した。これは音声用のSONY PC-220Mだが、ケーブル延長時の接続を全く考慮していなかったため、急遽引っ張り出したものだ。信号を変換するわけでは無いため音声用でも問題は無いが、新規で購入するなら映像用の物にしておいた方良いだろう。
※この手のアダプターでは無いと思うが音声用ケーブルには偶に抵抗入りのケーブルがあるので要注意

アダプターを接続したら、バック信号線と一緒にビニルテープで巻いて抜けとショートを防止しておく。

運転席側のフレームまで隙間を通

ここから、運転席側のフレームまで隙間を通して配線をしていく。
※この箇所の内装剥がしはこちらを参考

そのままラゲッジエリアまで、既存の配線に沿ってケーブルを配線していく。

ハーネスコネクター

ラゲッジエリアに移動したら、Z33からバック信号を取り出す配線を加工していく。先人の資料では、運転席側サイドウインド下に設置してあるハーネスコネクターの上から3番目にバック信号線があるとのことだが・・・

BOSEオーディオ非搭載車だからか、中期だからか、マニュアル車だからか分からないが、4個有るといわれていたコネクターの上から2つ目までが存在しない。

バックの信号線

だが、信号線があるコネクターの位置は変わらない。写真のでは下から2番目のコネクターだ。バックの信号線は(若干クリームがかった)淡いグリーンのコードになる。おあつらえ向きなことに、信号線のコードは太く、エレクトロタップを挟んでくださいと言わんばかりに単線だけ分けてあるように見えた。

※このエレクトロタップの処理だが、分岐後にテープで既存の配線に巻き付けておいた方が良い。そのまま内装を戻してしまったが、フレームにエレクトロタップが当たって走行注意に異音が出てしまう原因になってしまった。

エレクトロタップで分岐をしたら、バック信号線を単線コードで延長し、バックカメラ用のケーブルに沿って延ばしていく。信号線の入力位置がバックカメラ用のケーブル端のためだ。

コルゲートチューブを巻いて保護

なお、バック信号線は12Vのプラスだ。断線時のショートを予防するため、ナビ裏までコルゲートチューブを巻いて保護している。映像信号は1V程度で、電流は約10mAと小さいためショートしても火災に繋がることはまず無いだろうが、断線したら信号が途絶えるため、ケーブルの品質に不安を感じるならば保護しておいた方が良いだろう。

リアナンバー灯を外す

リアまで配線したらバックカメラの設置をしていく。まずはZ33のリアナンバー灯を外す。外し方は、内装剥がし等で運転席側にある爪を助手席側に押し込みながら下げる。
※写真のバックランプカバー右側にある白色の直線が爪部分

リアナンバー灯

うまくいけばリアナンバー灯が落ちてくるので、バルブソケット部分を回してリアナンバー灯のカバーを取外す。

バックカメラ付きのリアナンバー灯カバーを取付け

ここに、バックカメラ付きのリアナンバー灯カバーを取付けたらバルブ側の移植処理は完了だ。

次にバックカメラのケーブルを車内に引き込んでいく。このDIYで一番の難所がこの作業になるのだが、調べてもベストな方法が出てこなかったので、あらかじめ目星を付けておいた箇所からケーブルを通していく。

リアナンバープレート裏のグロメット

その箇所は、車内の最もリア側にある内装を剥がすと出てくるリアナンバープレート裏のグロメットだ。ここから車内に配線を引き込んでいくことにした。
※この箇所の内装剥がしはこちらを参考に

配線ガイドをここから入れる

グロメットを取外し、配線ガイドを突っ込んだら、リアナンバー灯が固定されていた隙間から指を入れて配線ガイドを取り出す。内部が少し複雑なので若干手間がかかるが、この方法ならリアバンパーを取外す必要は無い。

配線ガイドが隙間から出てくる

旨くいけば配線ガイドが隙間から出てくる。この作業には10分程度かかったが、運が良ければすんなりと取り出せるだろう。

車内へと引っ張り出す

バックカメラから延びるケーブルを保護したら、配線ガイドで車内へと引っ張り出していく。

カッターで切れ目を入れる

グロメットを通す際はカッターで切れ目を入れてから通した。

コーキング処理

バルブ交換時のことを考え、ある程度車外に出すケーブルに余裕を持たせたうえでシリコンシーラントを使いグロメット両側をコーキング処理する。

ACC電源

これで、リア側まで配線したケーブルと接続したら完成と言いたいところだが、バックカメラの動作用電源が必要だ。筆者のZ33にはヒューズボックスのACCから電源取出しキットでリアまでACC電源が配線してあるので、それを分岐して利用する。

新規にヒューズボックスからACC電源を出す場合はこちらのDIYを参考にして頂きたい。

これで全ての配線が接続された。試しにバックギアに入れた状態でシリンダーをONにしたのだが、バック信号は認識して画面が切り替わるものの、肝心の映像信号は届いていないため画面は真っ暗だった。

動作テストでは問題なく映像を出力していたので、持ち合わせの機材を利用して断線箇所を探していく。

ここまでは映像信号が来ている

どうやらここまでは映像信号が来ているようだ。となると、延長時に使用したアダプターが怪しい。アダプター部分をグリグリと回転させているとモニターにバックカメラの映像が表示された。

接続した時に端子同士が接触していないような感触があったのだが、その感触は間違いでは無かったようだ。ラジオペンチで端子の手直しをして再接続したが、新品のアダプターを買っておくべきだったと後悔したところだ。

ケーブルを綺麗に

最後は、余ったケーブルを綺麗に束ね、既存のケーブルに結束バンドで取付けて処理し、内装とバックカメラ付きのリアナンバー灯カバーを元に戻して作業完了とした。

■やはりあると便利

Z33を含めて、今まで後方視界の良好な車両を所有しことが無く、バックカメラを取付けたのもこのZ33が初めてだ。今まで、駐車時はサイドミラーやドアを開けて後方を直接確認しながらバックしていたが、それでもリアバンパーの後ろ側が見えないと困る時がある。

特に、最近増えてきたと感じるアーチ状の車止めはZ33にはやっかいな構造物だ。建物への車両突入事故が数多く報道されたことにより、アーチ状の車止めを設置している店舗が増えているようだが、Z33はバックで駐車する際にこの手の構造物が完全に死角に入ってしまうことがある。

どこまで下がって良いのか、車両感覚のみを頼りに駐車するのは冷や汗をかくときもあったが、バックカメラの設置で完全に距離がつかめるようになった。

立って見た状態

気になっていた後付け感についても違和感は覚えず、リアバンパーの近くに立った状態からではバンパーに隠れて全く見えない。

収まりは良い

屈むとバックカメラが出ているのが分かるが、専用オプションかと思うほど収まりは良い。

ネット上では映像が暗いという評価もあったため、夜間の使用には不安があったのだが、大手メーカー品と比べると暗いとは感じるものの、後部はバックライトに照らされるため、実用性を損なうレベルでは無かった。

カメラが傾いている

だが、中華メーカー製だけに残念な所もある。正しく取付けても、目視では分からない程度カメラが傾いていることが分かったのだ。そのため、バック時の駐車ガイド表示に合わせて駐車すると若干傾いて駐車することになる。

これについては、死角を無くすことと、後部にある構造物までの距離を確認することを重視しているため、個人的にはそこまで問題とは思っていない。駐車ガイドの強制表示についてもカメラ側で強制的に表示されるが、ナビ側の駐車ガイドを表示しなければ問題は無いと割り切っている。

カメラに雨粒が付くと

どちらかというと雨天時の方が問題だ。雨天時はカメラに雨粒が付いてしまうことが多い。こうなると画像がぼやけて見えにくくなるが、全面が雨粒でぼやけることは滅多に無いので、なんとか距離はつかめるという感じになっている。

もう1点はナビ側の問題だが、Pumpkin VA0301Sとの組み合わせだと、バックギアに入れて画面が切り替わるまでの1秒程度の待ち時間が気になる。車両が大きいため駐車中に切り返すことがあるが、この際に画面の切り替えがもう少し早ければと思うことがある。

これについてはナビ側の問題のため、バックカメラの問題では無い。また、Pumpkin VA0301Sの設計通り、Androidが起動中だろうが関係なくバックカメラ画面に切り替わるため、エンジンを始動してAndroidがコールドブートをしている最中でも、バックモニターに切り替わることを確認している。

■最後に

完成間近のトラブルはあったものの、バックカメラは今もZ33の死角を映し出している。私以外の人間が乗ることがあっても、駐車時に感じる不安は劇的に改善されたと言えるだろう。

水平が僅かに出ていない問題も、慣れてしまえば真っ直ぐに駐車ができるまでになり、便利な装備だと駐車時に常々感じている。後は耐久性だが、商品が消耗品レベルの価格のため、最低でも数年持ってくれれば御の字だろう。配線は再利用することができるので、もしもの際が有ったとしてもラゲッジエリア周囲の作業だけで済むはずだ。

しかし、今回のDIYは本当に酷い有様だった。ドライブレコーダーの配線が内装裏のフレームに絡まり30分以上も奮闘したのを始めに、デジタルミラーの配線を間違って引き直す羽目になるは、接続したリアカメラの信号がナビまで届かないは、内装の爪が折れるは、シリコンスプレーのノズルパーツがフレームの穴に入り込んで行方不明になるは、DIY中にフレームのエッジで手を切り出血したあげく、最後にエンジン警告灯が付くという止めつきだった。

今年は厄年ではないのだが、新年から予想不可能なトラブルが発生していることからも、そういう年なのだろうと改めて感じたDIYだった。