NEO TOKYO

冬は手先悴み、手先を使う細かな作業がしにくいうえ、樹脂やゴム、ケーブル類が硬いため扱いにくく傷みやすいためDIY作業は避けている・・・。というのは言い訳のようなもので、寒いのは苦手なので冬季のDIYはやらない主義なのだ。

本来なら、暖かくなったこの時期からDIYを始めることが多いのだが、冬でもDIYで取り付けたいと思うものが出てきた。前後ドライブレコーダーにデジタルルームミラー機能が搭載されたNEOTOKYO ミラーカム MRC-2020だ。

■NEOTOKYO

ドライブレコーダーといえば、国内メーカーならユピテル、コムテック、セルスターが人気メーカーだ。パイオニア・ケンウッド・パナソニックといったカーナビを作っているメーカーも強い。だが、NEOTOKYOといわれても、おそらくほとんど人が知らないのではないだろうか。

NEOTOKYOはモジ株式会社という新興企業が作り上げたブランドになる。モジ株式会社は2006年に創業した若い会社で、民間向けに電装系カーアクセサリを手掛け始めたのは2017年と歴史は浅い。信頼性が重要なドライブレコーダーにおいては敬遠してしまうメーカーになりがちだが、実はミラーカム MRC-2020を含めてクラウドファンディングを2回成功させており、ミラーカム MRC-2020をはじめ、すでに数多くの商品が出荷されている。

NEOTOKYOの製品は、中華メーカーと同じく汎用品を多用し、それらを組み合わせることで安価で多機能な商品を作るという手法を使っている。ただし、NEOTOKYOの製品は国内メーカーが国内のドライバーの求めるレベルに合わせ、多種多様な汎用品の中から選び抜いたパーツを使って設計している点が違う。

国内大手メーカーのように自社工場を持っているわけではないため、製造委託工場の品質管理が甘いと感じるような状態の個体も出てきており、その点は残念なことに中華メーカーと似てしまうのだが、少なくとも、大量に出回っているNEOTOKYOの製品については、Amazonで調べてみる限り悪い評価の割合が、まともな国内メーカー品と比べて僅かに低い程度だ。酷い製品ならもっと多くの悪評ついているため、実用に耐える製品を作る能力を持っているメーカーだと私は判断している。

NEOTOKYOというブランド名称も気に入った。80年代のサイバーパンク風な名前で、今の時代だと古臭さを通り越して新鮮味がある。6代目のフォード マスタングといったレトロ回帰を思い起こさせもする。だが、名前から連想する古めかしいイメージと違いNEOTOKYOの製品は洗練された現代汎用部品の集合体だ。

■ドライブレコーダーの更新


私のZ33には前方を記録するためのドライブレコーダー コムテック ZDR-013が搭載されている。同社のレーダー探知機と連動して記録映像を再生することができるものだが、リアも映せる2カメラモデルが欲しかったというのがドライブレコーダー更新の大きな動機としてあった。

また、ドライブレコーダー全体に言えるのだが、記録映像を大画面で映すためには外部入力対応のナビやスマホ・PCといったデータを読み込める機器が必要になる。本体や本体連動のレーダー探知機の小さいモニターでは何があったか細部まで見えないのは不満だ。

加えて、筆者が録画データ再生のために接続しているコムテックのレーダー探知機の操作性はお世辞にも良いとは言えない。結局、これらの問題を解決する手段として、カードアダプターを車内に常設してスマホで再生できる環境を整えるに至った。

だが、上記の理由があったとしてもミラーカム MRC-2020を知るまでは買い換えようとは思わなかった。常時録画タイプの駐車監視モードが使えなくなるのはDIYで注力していた機能だけにとても残念なことだし、シングルカメラタイプのドライブレコーダーとして基本的な性能は十分に持ち合わせていたのは間違いない。


残念ながら、ソーラーパネルが設置の不備で壊れてしまい、24時間常時録画が可能な環境は崩れ去ってしまった。これに伴い、駐車監視モードを以前ほど活用しなくなったタイミングだったことも遠因としてある。

また、過去のDIYから見てもわかるように、技術革新がないと駐車監視モードで24時間常時録画をするには耐えられないことが分かっている。これらの点については、私の過度の期待が招いたものなので誰が悪いわけでもない。

後ろ髪を引かれる思いがあったのは確かだが、結果としてミラーカム MRC-2020の魅力には勝てず、ドライブレコーダーを更新することに決めてしまった。

■ミラーカム MRC-2020がもたらすメリット・デメリット

さて、私情は別として一般的な情報をもとに商品の比較に入る。今回は、私のように標準的なシングルカメラタイプのドライブレコーダーから更新する場合のメリットとデメリットについてだ。

メリットとしては・・・

・ダブルカメラで前後同時録画可能(スモークガラスは非対応)
・高画質・高感度SONYセンサーを前後カメラに採用
・後部カメラは車外取付け可能な防水仕様
・デジタルルームミラー機能(簡易バックモニター替わりにもなる)
・大画面表示(上下に視野を移動可能・前後カメラ同時表可)

といったところだろうか、フルHD録画、LED信号機対応、衝撃感知ファイル保護、白飛び防止、録画再生モード、GPSロガー機能、駐車監視モードといった一般的なドライブレコーダーに備わっている機能は一通り備わっているといえる。

デメリットとしては・・・

・新興企業のためサポート体制等に不安がある
(マニュアルファイルが一般に公開されていない(購入者はDL可)・安定性や品質への不安・製品の入手性・製品保証・注文ページの残り個数が日によって上下していたのはどういった仕組みだ?)
・カメラ一体型のため衝撃でルームミラーが動くとカメラの向きが変わる
・コネクターが多いうえ後付け感が強い(ミラータイプ全般に言える)
・360度タイプと比較すると車両の左右が記録できない
・電源ケーブルはシガーソケットタイプのみ(電源取出しケーブルを販売予定とのこと)

もちろん、ミラーカム MRC-2020に似たコンセプトのドライブレコーダーは多々あるのも事実だが、国内有名メーカーのものはモニターエリアが小さすぎて確認しづらく、正直なところ見向きもしないタイプのドライブレコーダーだった。そのように感じたユーザーが多かったのか、過去に販売はしていたが現在は取り扱っていないメーカーもある。

また、ルームミラーの2カメラモデルは国内大手メーカーにはないモデルだ。中華メーカーまで選択肢を広げると似たようなモデルというか、外観も性能も似たモデル(AKEEYO AKY-X2YULU Y690などがAmazonにある)が出ているのだが、カーナビのような趣向性が高い機器ならまだしも非常時に使う機器だけあって、信頼性やサポートの点から中華メーカーは選択肢に入らなかった。

■決定打はデジタルルームミラー機能

さて、ここまでは一般的な車両を想定したうえでのドライブレコーダー比較だが、Z33乗りとしては大きなメリットが1つある。それは購入の決定打になった「デジタルルームミラー機能」だ。ミラーカム MRC-2020はドライブレコーダーではあるが、私個人としてはデジタルルームミラー機能をメインとして捉えている。

バックモニターとデジタルルームミラー


デジタルルームミラー機能は車体後部に取り付けたカメラの映像をミラー型モニターに映すという機能になる。バックモニター機能も似たような機能に思えるかもしれないが、バックモニター機能は車体後部の下部死角を映し出すためのものであり、地面側にカメラが向いているため走行時に映し出したとしてもルームミラーの代わりにはならない。デジタルルームミラーはあくまでも通常走行時の後方視界を確保するためのもので、ルームミラーに映る死角を限りなく消し去ってくれる。

ノーマルのルームミラーとデジタルルームミラー

このデジタルルームミラー機能はスポーツカーに乗ったドライバーなら誰しも感じるだろう劣悪な後方視界を取り去ることが可能になる。Z33も例に漏れず後方視界は酷いのだが、これで後方視界の問題を解決することができるのだ。
※写真の赤色領域はノーマルのルームミラーで見える領域

海外では最初からデジタルルームミラー機能を搭載しているスポーツカーも出ており、そういった機能を羨ましく思っていたのだが、ここにきてドライブレコーダーとデジタルミラーが融合したミラーカム MRC-2020が現れた。

ニュースで知るや否や、その日のうちにオーダーをしてしまった。普段、私は徹底的にリサーチをしたうえで商品を購入するため、このようなことは滅多にしないのだが、ミラーカム MRC-2020はこれでもかというほど私が求める機能を装備していたため、あっという間に私を虜にしてしまった。

■商品構成

商品構成

・NEOTOKYO ミラーカム MRC-2020本体
・リアカメラ
・GPSセンサー
・ゴムバンド2組
・リアカメラステー一式(車内・車外用各1個)
・東芝製microSDHCカード(32GB)
・リアカメラケーブル(6m)
・シガーソケット電源(3.5m)
・クリーニングクロス
・マニュアル
・ドライブレコーダー警告ステッカー付属

本体のミラー

本体のミラーは細長く高さが短く感じるため、ノーマルのルームミラーがはみ出て見えるように感じたのだが、実際は72㎜と高さがあり、幅が293㎜と横長のため高さが短く見えてしまうだけだ。実際にZ33に取り付けてみると純正のミラーは覆い隠されるので、一般的なルームミラー形状であればフィッティングも見た目も問題ないだろう。

本来背面

背面はドット加工の表面処理が施されている。排熱性を考慮したものかは不明だ。

フック

上下に4カ所有るフックはノーマルのミラーに取り付けるためのゴムバンドを引っ掛けるためのフックになる。付け根にはスポンジが設置され、車両のルームミラーに傷が入るのを防止すると同時に位置がずれないように保持する役目もある。

フロントカメラの角度

フロントカメラは角度変更可能になっており、左側(取り付けた際は右側に)の方が大きく角度が付けられるようになっている。

マイク用のスリットか

カメラの近くにはマイク用のスリットだろうか。

下部

下部にもマイクらしき箇所がある。中央のスイッチボタンはモニターのON/OFF機能と長押しで電源のON/OFF機能になる。

上部

上部はmicroSDカードスロットの他に各種コネクターが設置されている。コネクターは電源、GPSセンサー、リアカメラ信号の3つだが、これが全て個別のケーブルで接続する仕様のため、コネクターに接続するケーブルが雑になりがちだ、ここはケーブル一本で接続が済むようにして欲しいと感じた部分だ。

電源アダプター

もう1つ、この時点で不満に感じた点がある。電源コネクターには地デジやETC等の電波を乱さないようにフェライトコアが取り付けてあるのだが、そのサイズが大きめで、取り付け位置がコネクター側に近いこともあって車内の内装に潜り込ませる際に車種によっては入らない可能性が出てきそうなのだ。

ミラーの上部にはルームランプなどのユニットが入っていることが多く、内装の裏に物を詰め込むには余り良い場所とはいえない。幸いZ33にはこのサイズのフェライトコアを収納できる余裕があるので良かったが、車種によっては要注意だろう。 

スクリーン解像度は1480×320、変則的なモニター解像度だが、これについては次の記事に詳しく書くが、これがデジタルミラーとして重要な要素になっている。なお、タッチスクリーンの応答性、精度は共に良好だ。

消費電流


シガーソケット電源から出る電圧は5Vと表示されている。USBの電圧電流計で確認したが、消費電流は本体のみで1.02A、GPSとリアカメラを接続した際で1.6A、その状態からモニターOFFで1.1A、内GPSセンサーが0.05Aという結果になった。

付属のシガーソケット電源は12Vから降圧する際の自己消費分が入るためさらに消費電流は増える。GPSとリアカメラを接続した状態で12V 0.77A、モニターOFFで12V 0.55Aと言う計測結果が出ているが、モニターOFFでも6.6Wのため、ドライブレコーダーの中では消費電力は高いクラスとなる。DIYで駐車中も常時録画をしようと考えているドライバーにとっては大きな問題となるだろう。

付属のmicroSDHCカード

付属のmicroSDHCカードは東芝の32GB/Class10(おそらくMU-J032GX)が添付されている。対応する最大容量は128GBとなっているが通常の利用方法として使うなら付属のmicroSDHCカードで十分だろう。録画データの保護に失敗して上書きされる可能性を考えるなら、容量を増やすより、もう1枚microSDHCカードを用意した方が確実だ。

CrystalDiskMark

なお、有名メーカーのメモリカードは偽物が流通しているため、念のためにCrystalDiskMarkとH2testwでチェックをしてみたが、結果は問題が無かったためおそらく本物だろう。

ドライブ映像を残したいのであれば128GBで12時間程度の録画が期待できる。また、ドライブレコーダーを駐車時にも常時録画状態として稼働させる方法を使うなら128GBは必須だ。

もちろん、標準で駐車監視機能付いているのだが、Gセンサーが衝撃を感知して初めて録画を開始するタイプで、当て逃げには対応できても、いたずら等はよほど強い衝撃を車体に与えない限り録画されないだろう。

リアカメラ

リアカメラは小型で平べったい形状だ。車外に設置しても目立たない、ルーフに設置しても走行風の影響を受けにくい形状なのだろう。
リアカメラに接続するケーブル
リアカメラに接続するケーブルは6mのものが付属する。

カメラ側は4ピン形状

本体側は4極ミニプラグ、カメラ側は4ピン形状だ。長さが足りない場合はオプションで10mケーブルも用意されているが、Z33に取り付けるには添付ケーブルで十二分な長さだった。

GPSセンサー

GPSセンサーは取り付けなくとも動作はするのだが、時計が狂うため可能な限り取り付けておきたい。なお、マニュアルに記載されているURLからGPSのログを地図上に表示するアプリをダウンロードすることができる。

次回へ続く・・・