SLIME

Z33のラゲッジルーム下にはスペアタイヤが搭載されている。重く滅多に使わないこともあり、軽量化の際に真っ先に取外されているのだが、このスペアタイヤの入っている空間にあれこれ物を詰め込む予定になったため、今まで積んでいたスペアタイヤを取り外し、代わりにパンク修理キットを常備することにした。

パンク修理キットも多種多様だが、パンク補修液がホイールに張り付いてタイヤの修理に手間がかかるものもあるため、タイヤの修理時に負担の少ないSLIMEを導入してみることにした。

■スペアタイヤとパンク修理キット

最近の車はスペアタイヤを搭載していないモデルもよく見られるようになった。JAF等のロードサービスが拡充していることや、低燃費のため、また、スペアタイヤがあったとしても汚れるため作業を嫌ってというドライバーの心境もあるようだ。

そういった車両には、スペアタイヤの代わりにパンク修理キットが搭載されている。11年乗った前愛車の初代コペンもそうだったが、他車両のパンクしたタイヤにコンプレッサーで空気を入れた以外の出番は無かった。

とはいえ、スペアタイヤは不要かというとそうでも無い。筆者はスペアタイヤの利用経験があるのだが、その際はサイドウォールに数cmの穴が空くという被害寛大なレベルで、パンク修理キットでは応急処置ができないレベルだった。当然、そのタイヤは破棄処分となったのだが、こういった被害の大きなパンクにはパンク修理キットは対応ができないのが現状だ。

だが、スペアタイヤを使う機会は滅多にないし、JAFに加入している今ならスペアタイヤもそこまで必要性を感じないため、機器の搭載空間を空けるために取外すことにした。

そこで、スペアタイヤの代わりにパンク修理キットの登場となるのだが、パンク修理キットはその場の応急処置では問題が無いが、その後のタイヤ修理時に問題が出てくる商品がある。その手のパンク修理キットは、タイヤの修理が不可能になる場合や、ホイールに張り付いて清掃に手間がかかるのだ。

Z33のタイヤは大手メーカーのモデルなら1本2~3万はする。それが使えなくなるだけでなく、ホイールも清掃が面倒でキズが入る可能性を考えると使うのをためらってしまう。社外品の高価なホイールを装着しているなら、なおさらだろう。

そこで、その問題をクリアしたパンク修理キット「SLIME」をチョイスすることにした。

■水で洗い流せるSLIME

SLIMEパッケージ

SLIMEは、パンク補修液を水で洗い流せるパンク修理キットだ。タイヤの再利用も可能でホイールの清掃も楽になるのでキズが付きにくい。

使用期限

その代わりなのか、使用期限が設定してあり、製造日より5年間が適切に利用できる期限となっている。ショップで購入する際にこの点に気をつけて購入したが、2019年の6月に購入して手元に届いたものは2023年5月11日の期限となっていた。

補修液ボトル

期待していたよりもやや短めの使用期限だったが、消耗品のパンク補修液ボトルは交換が可能なので、使用期限を過ぎたら交換するだけだ。

このSLIMEだが、いくつかモデルが存在しており、大まかに手動と自動タイプに分かれる。

手動タイプはパンク補修液を手動でタイヤへ注入する必要があり、その後、付属のコンプレッサーで加圧する。自動タイプは、パンク補修液と空気を同時にタイヤ入れるため作業が一部簡略化されている。

旧自動タイプモデル

今回は、自動タイプのモデルを購入したのだが、最近、自動タイプが更新されて新しいデザインに変更されている。新旧の大きな違いは、パンク補修液のタンクにコンプレッサーから出ているパイプを接続しなくとも良くなった点だ。

自動化がさらに進んでいるため、旧タイプを今更購入する必要は無いのだが、私が購入した時期はまだリニューアル前だったので、旧モデルの自動タイプとなっている。


説明書

商品内容はSLIMEパンク補修液とセットになったコンプレッサー、説明書がパッケージ兼収納用ケースに収まっている。

コンプレッサーから延びているノズル

使い方は、コンプレッサー本体にも簡易説明がある。最初はSLIMEパンク補修液のボトルにコンプレッサーから延びているノズルを差し込み・・・

ボトルから出ているノズル

ボトルから出ているノズルをタイヤの空気入れバルブに接続する。

シガーソケットに電源アダプターを差し込み、スイッチを入れるとボトル内部のパンク補修液と圧縮空気がタイヤに入り込んでパンクを一時的に補修してくれるというものだ。

LED照明

もちろん、この手のツールにはお決まりのLED照明が搭載されているため、夜間の作業でも別途照明を用意する必要はない。

補修液を入れ終えたら、タイヤの適正圧力に調整したうえでノズルを外してタイヤのバルブキャップを戻す。後は、走行することで補修液がパンク箇所をふさぐのだが、大きな穴やサイドウォールの破損によるパンクは対応ができない。また、静音性のためにスポンジを内部に貼り付けてあるタイヤも対応できないと記載されている。

また、この手のパンク修理キットはあくまでも一時的な補修のため、タイヤのパンクを完全に修理するものではない。補修後は早めにディーラー、整備工場、タイヤショップなどでタイヤのパンクを修理してもらうことが基本だ。

なお、旧モデルは新モデルと違い、コンプレッサー単体で利用することができるため、近くまでの移動で事足りる場合は、あえて空気だけ入れて走行するという方法も使える。
※手動タイプもコンプレッサー単体で利用可

■シガーソケットの許容電流に注意

最大15Aの消費電流

写真を撮りながら気になったのが最大15Aの消費電流だ。Z33ならシガーソケットから出せない電流では無いのだが、ヒューズの容量ぎりぎりなのでバッテリーから直接電源をとれるようにワニクリップのシガーソケットアダプターを用意しておいた。

ワニクリップのシガーソケットアダプター

車両によってはシガーソケットの許容電流が小さく、15Aを供給しようとするとヒューズが切れることもあるのでセットしておいた方が良いだろう。

■スペアタイヤを外した影響は思った以上にある

スペアタイヤは14kg程度の重量あるとのことだが、この影響は想定した以上に大きかった。

Z33は元よりフロントヘビーなのだが、スペアタイヤはリア側に設置されているため、スペアタイヤを外すとリア側がさらに軽くなってしまう。この影響でコーナリングの挙動が大きく変化した。

スペアタイヤを取り除く

スペアタイヤを取り除くと、コーナに入り、ロールが始まるところで車体前後のロールに入るタイミングがちぐはぐになる。巡航時でこれなので、車体のマス重量バランスに大きな影響を与えてしまったといっていいだろう。

スペアタイヤを外す前は減衰力設定を前後同等に設定していたのだが、最終的に減衰力調整をフロント固めに調整し直すことで、ロールのちぐはぐ感が無くなっただけでなく、ノーズの入りがより自然な感覚に変化した。ある意味、バランスが絶妙なポイントに入ったと感じたといえるもので、以前より気持ちよく操縦できている。

■最後に

Z33のお手軽軽量化としてスペアタイヤを取外すドライバーも少なくないようだが、代わりに搭載することが多いパンク修理キットは補修に限界があるため過度な期待はできない。とはいえ、無いよりは遥かにましなので、作業や後々の処理が手軽なものを選びたいところだ。

また、JAF等のロードサービスへの加入も合わせてお勧めしたい。Z33は古い個体だと、もう数年で20年落ちの個体が出てくることになるが、パンクの対応だけでなく、Z33の老朽化によるトラブルに対する保険にもなるだろう。