Power House amuse R1 TITAN

Z33のマフラー交換を考えて選考した結果、パワーハウス・アミューズ R1 TITANを取付けることにした。既に新品での販売は終了しており、後継モデルの販売もアナウンスは延々として出てこないため中古での購入だ。

元々、騒音値が保安基準適合とはいえ大きめとのこともあり、経年劣化によりグラスウールが消音効果を十分に発揮できない可能性があったのだが、Y字パイプをサイレンサー付きの物に交換する前提なら問題は無いと判断している。

だが、今回の交換については、そういった問題よりも大きな問題を突きつけられることとなった。

■想定外のDIY

引き締まったリア

前車では頻繁に車両の下に潜っていたが、今までZ33の下に潜ったことは一度たりともない。車両が大きく重たいため、準備も大変だがプレッシャーのようなものを感じるからだ。

軽自動車でも1t近い重量があるため、万が一の際には助からない可能性もあるのは分かるのだが、やはり1.4tとZ33のサイズは下に潜ろうと思うには大きすぎる。そのため、車両を馬に掛けるための道具もZ33に合わせたものは用意していない。

今回も整備工場にてマフラーの交換をお願いしようと思ったのだが、保安基準適合品でもJASMA認定品でないと扱わないと断られてしまった。取付けてくれるものと思い込んでいたため、どうしようかと思ったのだが、知り合いの車愛好家のご厚意により設備と人手を借りることができた。

念のため、ボルト折れに対応するための道具と材料を一式用意していったが、お守りとして役に立ったのか、作業は順調に進み大人2名・2時間で作業は完了した。

固着していたフランジのナットも、KURE 5-56と金属パイプを加工した延長ハンドルを取付けたラチェットレンチにより、ネジ山をかじることなく外すことができ、フランジの錆びもエアオービタルサンダーで手早く削るなど、道具と設備が揃っているだけあって問題無くスムーズな作業になった。

加えて、年季の入った車両を再生してきた腕前を持っている人からのアドバイスや確認作業は何よりも心強い。2人でZ33の下に潜りながら、Z33の駆動系や足回り、コンディションを確認することができる良い機会にもなった(ここで、改めて感謝の気持ちをお伝えしたい)。

■アンバランス

リアの迫力がアップ

R1 TITANはマフラーとしての性能だけでなく、チタンの美しさに魅了された人もいるだろう。モデルによっては焼入れによるグラデーションが艶めかしいオーラを放っている。

製品としての作り込みは素晴らしく、難しいと言われているチタンの溶接部分はとても綺麗な仕上がりを見せている。延々と眺めているだけでも飽きない美しさだ。

残念ながら、ノーマルのリアバンパーとの組み合わせだと、光沢を放つサイレンサー部分は立ったままだと見えないうえ、マフラーのリアエンドがノーマル以上に出ているため、いかにも社外品をつけていますという主張が強すぎる。というのが、交換後の第一印象だった。

Z33の曲線美ともいえるデザインとはマッチしていないので、ノーマルの状態で外観のバランスを考えるとお勧めはできないが、厳ついリアバンパーへの交換が前提なら、リアエンドの出具合も納まりが良いかもしれない。

ただ、サイレンサー部分の高さが純正と殆ど変わらない高さなので、バックで駐車する際に今まで以上に気を遣う必要は無いというのは助かるところだ。

■唸り吠えるR1 TITAN

太鼓も美しい

取付け後のエンジン初爆は作業の達成感も相まってグッとくるものがあった。今まではエンジンの音が大きく聞こえていた初爆も、リアから唸る音が聞こえてくる音が混ざり、Z33が眠りから覚めたと思わせてくれる。

アイドリングが落ち着くとノーマルのマフラーより若干太い音が混じっていると言う程度のもので、ご近所の迷惑になるような派手な音ではない。

実走にて踏み込むと、アイドリングから2,000回転まで低く唸る音がし、3,000回転に近づくにつれて唸る音は次第に大きくなる。そして、ここからがR1 TITAN の真骨頂だ、大きく唸っている音が3,000回転から咆哮に変わる。同時にトルクバンドに入るため、Z33は咆哮をあげつつマッシブなトルクで加速していく。

しかし、その咆哮もあっという間に終わってしまった。R1 TITANは車検対応の保安基準適合品だが、音量が規制値ギリギリとの情報も有り、高回転まで派手に吼えてくれるかと思いきや、5,000回転以上の高回転域はエンジンのメカニカルノイズがエギゾーストの音をかき消してしまうため、高回転域の音に関しては正直を言うと期待はずれだった。

リアピースのみ競技用のマフラーに交換したNAの1.5L直4エンジン搭載車に乗ったことが有るが、下からとても派手な音で甲高い音を立てていた。それを知っていたから、ターボと比べて甲高い音が出るNAで、規制値に近い音量のスポーツマフラーなのだから踏めば派手な音が出るのだろうと勝手に思い込んでいたのだ。

しかし、踏み込んだときの3,000~5,000回転の音は良好で、音の方向性も好みの音質だったこともあり、今後、エキマニやメタルキャタライザーを交換した際の音の変化に期待しつつ、しばらくはこのまま楽しむ予定だ。

■スポーツマフラーとしてのR1 TITAN

立っている視点では太鼓が見えない

スポーツマフラーは音だけではない。そういったモデルがあるのも確かだが、R1 TITANはスポーツマフラーとしてパワーハウス・アミューズがチューニングショップの看板に恥じぬ完成度を求めて開発したものだ。

厳しくなっていく排気騒音規制。チューニングパーツとして性能向上。官能的な外観や音質。重たいZ33の軽量化。これらの要素のなかで純粋なスポーツマフラーとしての性能に振っているといえる。

中間パイプ径は76.3ΦとZ33用のスポーツマフラーとしては大きめだが、懸念していた低速トルクの悪化はまったく感じられず、高回転ではスポーツマフラーとしての性能を発揮する。

5,000回転以上では若干トルクが増したような感覚があり、僅かだがエンジンの吹け上がりが向上したと感じる。スポーツマフラーは高回転域の排気ガスの抜けがパワーアップに繋がっているので、これは理論的に合致する。

また、軽量化にもR1 TITANは効果を発揮してくれる。

Z33の純正のマフラーは22.3kgでR1 TITANは8.7kg。その差は13.6kgもあり大きな軽量化に繋がる。これは、ステンレスでは実現できない桁違いの軽量化で、さすがチタンというだけはあるのだが、財布の中身も桁違いに軽量化してくれる。

その軽さは、リアの挙動にも若干の変化をもたらした。リアが軽くなった分、路面が悪いとコーナーでリアが膨らみがちになるほどで、この影響により、サスペンションの減衰力調整を見直すことになった。

■「GTスポーツ」のコンセプトとしては・・・

マフラーエンド

私が勝手に提唱している「GTスポーツ」のコンセプトに立った視点から見ると、ノーマルの状態で交換するので有ればそれなりにマッチしている代物と言える。

とはいえ、街乗り時に純正並みに静かとはいえない。エンジン冷間始動のアイドリング時は若干音が太くなるし、ノーマルマフラーなら穏やかな加速をする街乗り時でも、停止から加速する際に使う2,000回転まで唸るような低い音が混じる。そのまま加速して2,000回転を超えると唸るような音はさらに太くなっていく。

下道での巡航時は気にならないレベルまで静かになるのだが、上り坂などで負荷がかかると唸るような音が混じってくるため、街乗り時はノーマルマフラーと変わらないという程の静かさではない。

ただ、個人的にはこの程度は慣れでどうにかなる程度のもので、テンションが低い朝の通勤時に鬱陶しいと感じるほどではない。

高速道路の巡航では80kmから唸るような音が混じり始めてくるため、高速道路を長距離走行することが多い場合は疲れに影響する可能性は否定できないだろう。快適性がある程度犠牲になるのは、スポーツマフラー故仕方なしといったところか。

3,000回転以下はノーマル並みに静かで、それ以上は甲高い音で魅了するマフラーがあれば文句なしだが、それは、今後の排気系の交換に期待することにしている。

これから、エンジン側に向かって排気系の交換をしていく予定だが、音量を抑えないと車検に通らないレベルに上がってしまうことは想定済みなので、Y字パイプはサイレンサーが付いたタイプを選択することにしている。どのような結果が出てくるのかは未知数で、組み合わせてのお楽しみになりそうだ。

■まとめ

性能と美しさが両立している

踏み込めば気持ちの良い音を立てて加速していく様はスポーツカーに乗っているという感覚を強烈に与えてくれる。それでいて、こもりやびびりといった雑音が入るこむこともなく、奇麗に抜けていく音に設計者のこだわりを感じる。それ故、装着後、半年経過しているにもかかわらず、この音に飽きを感じることがない。

最初は不満に思っていた、街乗り時の低い音にも慣れ、今ではテールエンドの迫力にリアバンパーが圧倒されて不釣り合いなことが気になる程度だ。今後、エアロを装着する予定があるので、その際にこの不満も解決することだろう。