Z33にPumpkin VA0301Sを取付け

前回は、ハード解説や接続のための事前加工、机上テストといった事前準備をメインに紹介したが、準備が整ったこともあり今回はZ33に実際に取付けていくのだが、中華Androidカーナビの最も難しいと感じられる部分でもある。

中華Androidカーナビは取付け時に車体側の加工が必要になるものが多いため、ある程度の加工は覚悟していたのだが、ケーブルの多さも相まって想定した以上に時間を取られてしまった。

だが、切削加工を経てPumpkin VA0301SをZ33に無事に搭載することができた。その姿は、Z33には不釣り合いなレベルに達しているといえるほどで、10.1インチのモニターが大きく主張することになった。

■1DINと2DIN対応のユニバーサル

Pumpkin VA0301Sは1DIN・2DIN両対応のユニバーサルモデルだ。筐体は1DINサイズだが、2DIN用のブラケットを使えば2DINユニットとして利用できる。

1DINの場合

1DINの場合は車体側の取付け方法によるが、本来は付属の1DIN用ケースを車体側に取付け、ケーブル類をそこから出した状態でパネルを戻し、Pumpkin VA0301Sと接続後に筐体を押し込んで固定する方法になる。

付属のエジェクトピン

取り外す場合には、付属のエジェクトピンを隙間から差し込みロックを解除するという変則的な方法だが、モニター台座のパネルが外れない構造のため、この方法に落ち着いたところだろうか。

Z33は一般的な車両のパネルに該当する部分にヘッドユニットを取り付ける構造なので、付属の1DINのケースを使うことはない。しかし、車体側のブラケット等を加工する必要が無いかというと答えは「NO」だ。

■切削加工必須

中華AndroidカーナビはDIN規格と表記しているが1mm程度の誤差はあるため、取付け時に切ったり削ったりが必要になることもある。Pumpkin VA0301SとZ33の組み合わせでは、2mm有るか無いか程度筐体の幅が大かったため、Z33ではパネルの一部をヤスリで削らないと筐体が入らなかった。

パネルの一部をヤスリで削る

また、1DINといっても筐体のフロントにあるモニターの台座は大きく、下部が1DINの筐体以上にはみ出ている。取付け時に発覚したが、1DIN+1DINの組み合わせでは、このモニター台座が下部の1DINユニットに5mm程度被ってしまう。

carrozzeria DEH-7100ではCDスロットが埋まってしまったが、CDを利用することはないため問題は無いものの、スイッチと干渉をしないように微調整が必要だった。ヘッドユニットの組み合わせよっては必要なスイッチ類が押せないという問題が出るかもしれない。

ねじ穴加工

この微調整後に筐体の固定位置を決めた。だが、予想通りねじ穴は全くと言って良いほど合っていない。ずれているという程度ではなく見当違いの所にねじ穴があるため、車体側ブラケットに穴開け加工は必須だ。

精度は無い

ノギス等を使いねじ穴を開ける位置を決めたのだが、筐体のねじ穴の位置が微妙に左右でずれているうえ、精度のでない方法で位置決めをしたためネジの位置は2度にわたり修正するはめになった。
※締め付けトルクが少しでも強いとネジ山が潰れて固定が甘くなるので注意
※フロント側はブラケット外の位置にねじ穴があるためリア側4本で固定

こういった加工が必要なのが中華Androidカーナビなのだが、同等の加工が必要な車載PCを扱っていたこともあり、この手の加工には抵抗がない。ただ、道具は必要で、一般的なカーナビを交換する際に必要な道具に加えてドリル、平ヤスリ、棒ヤスリは最低限用意しておかないと、どうにもならないのは確かだ。

カーボンシート

最後に筐体が一部はみ出てしまう箇所にカーボンシートを張り付けておいた。運転席から見れば画面裏のため、運転中に見える位置ではないのだが、助手席や横から除くと銀色の筐体が目立つためだ。

■配線接続

切削加工を終えてようやく一般的なカーナビの取り付け行程に戻ることができるのだが、今回は、1DIN+1DIN構成のためハーネスの加工が必要になってくる。

前回の記事にも書いたが、carrozzeria DEH-7100をアンプとして利用するため、Pumpkin VA0301Sはスピーカーと接続しない。そのため、ハーネスに接続するコードはACC・バッテリー・GND・イルミネーション・パーキングブレーキ、そしてバック信号になる。

イルミネーションのコードを分岐

ACCとバッテリーはハーネスに分岐があるためそれを利用する。GNDはパーキングブレーキと合わせてボディアースに落とすことにしたため、ハーネスを加工する必要があるのはイルミネーションのコードのみになる。
※中華Androidカーナビのみ利用の場合はスピーカーコードも加工が必要
※ステアリングキーがないためステアリングキー配線は接続しない

ハーネスの分岐は簡単に装着できるエレクトロタップを使って分岐し、Pumpkin VA0301Sに接続した。

GPSセンサー

GPSセンサーは助手席側のAピラー根本に設置し・・・

マイク

マイクはcarrozzeria DEH-7100のものと合わせて運転席側のAピラー根本に設置した。また、レーダー探知機のコムテックZERO703VもTEIN EDFC ACTIVE PROコントローラー移設のため、ここに移動することにした。

コムテックZERO703Vがあった場所にはTEIN EDFC ACTIVE PROコントローラーを移設する。元々、carrozzeria DEH-7100の下に設置していたのだが、設置する場所が無くなったための措置だ。
※EDFC ACTIVE PROコントローラーは設置角度に基準がある

スマホ用のホルダー

TEIN EDFC ACTIVE PROコントローラーにはステーが付属していないため、ダッシュボード上に設置する場合は自身でステーを用意する必要があるが、ホームセンターに売っているL字ステーでは安っぽいと思い、何か良いものは無いかと探してみたところこんな物を見つけた。

TEIN EDFC ACTIVE PROコントローラー再設置

これは、スマホ用のホルダーだ。サイズは過大だが、作りがしっかりしており、ヒンジの固定が硬く走行中に動くこともないためステー代わりに利用できる。まともな両面テープで貼り付けておけば、激しい動きでも、まず動くことはない。
※TEINのコントローラーを移設した場合はGセンサーの再設定が必要
※後日、走行中に違和感を覚えるためEDFC ACTIVE PROコントローラーは別の場所に移設してコムテックZERO703Vは元に戻した

仮接続した状態

必要な物を設置し終えたので、ハーネス類を仮接続した状態で正常に動作をするか確認をしておいた。仮とはいえケーブルの量が多く接続は難儀する。ACC連動、音声信号、GPS信号の受信、イルミネーションの切替えと一通りのテストはパスした。

強制シャットダウンスイッチ

が、Pumpkin VA0301Sを強制シャットダウンできるようにと考えて取付けたスイッチの動作だけは失敗だった。Pumpkin VA0301S のGNDをスイッチでカットすることで電源供給を遮断する方法で実現しようとしたのだが、どうやら筐体自体がGND扱いなのか、車体に付けているとGNDをボディアースせずとも起動してしまう。

プラス側(バッテリー常時配線)にスイッチを取付ければ確実に制御できるだろうが、国産車はマイナスコントロールが基本なので、ショートの危険性が増すプラスコントロール制御にしたくはないし、今更リレー回路を組むのも時間的に余裕がないためスイッチによる制御は保留とした。

Pumpkin VA0301Sで強制シャットダウンが必要なシーンが多いのであれば、次回の加工時にスイッチ制御を組み込むことを検討するが、必要ないのであればこのスイッチはVDCの完全OFFスイッチにでもしようと考えている。

軽微な問題はあったが、通常の使用に支障はないため車体にパネルを戻していくことにした。

ケーブルの束

が、ともかくケーブル類が多いため、ダッシュボード内部のスペースに余裕が必要だ。今後の拡張を予定して取付けたバックカメラのラインとウーファー用のRCAケーブル、TEIN EDFC ACTIVE PROコントローラー用ケーブルやユニット用の配線が有るため、ギリギリ納まったというところだ。Pumpkin VA0301Sで使用することがないケーブルがあるなら取り外しておいた方が良いだろう。

小物入れ部分は使えない

見てのとおり小物入れ部分はPumpkin VA0301Sのモニター台座が被ってしまったため開閉すらできない。ここには内部に2箇所ネジでパネルを固定する箇所があるのだが、この箇所の固定は諦めざるを得ない。

次回の作業までケーブルは仮設置

なお、バックカメララインとウーファー用のRCAケーブルは次回の作業を待つまでエアコンコントローラーユニット下の空間に押し込んでおいた。何度もやっているが、Z33のカーナビ・オーディオ交換は面倒なので、合わせて作業ができる物は積極的に並行して作業をした方が良い。

Z33にPumpkin VA0301Sを取付け

これで最も難関であった取付け作業が終了した。想定した以上に切削加工に時間を取られたが、無事にZ33にPumpkin VA0301Sを取付けることができた。

■まとめ

切削加工は覚悟していたものの、現物合わせで修正を繰り返したため想定以上に時間がかかってしまったことに加え、Pumpkin VA0301Sのケーブルが多くて車体に取付ける際の取り回しに苦労したため、作業時間は約7時間と通常の倍以上の時間が必要となった。その分、設置を終えてPumpkin VA0301Sが起動したときの達成感は大きい。

しかし、気を付けていたものの、作業中に擦れたせいで貧弱な塗装のパネルがさらに痛んでしまい見窄らしい姿になってしまっているのが気になる。このDIY作業が一段落付いたらパネルの加工を本気で考えないといけないようだ。