Z33にバッ直

カーオーディオのシステムを本格的に組み込む場合や、キャンプ用に車を仕立てるのであれば必ず通る道としてバッ直配線があるが、その両方のシステム向上を狙って今回Z33にバッ直配線を引くことにした。

狙いは、ソーラーチャージャーと万能充電器による鉛スターターバッテリーの充電時に発生する電圧降下の解消、そしてウーファーとアンプの導入を見越してのものとなる。

■バッ直の効果は大電流と電圧降下の抑制

バッ直とはバッテリーから直接電源を取ることだが、そのメリットは主に大電流が取り出せることと電圧降下の抑制が挙げられる。

大電流が取り出せるメリットについては、消費電力が大きなアンプを動作させることができるため、カーオーディオではシステムアップ時には欠かせない要素となっている。

サブウーファー、外部アンプにはアンプ回路が内蔵されているのだが、音質が良いアンプ回路ほど効率が悪く消費電力が上がってしまう。加えて、ウーファーに繋げたアンプやサブウーファーはその特性から瞬間的に大電流を必要とするため、大電流が取り出せるバッ直は必須となる。

もしも、これらの電源をヒューズボックスから引いた場合、あっという間にヒューズが飛んでしまうだろう。

そこで、バッテリーから大電流が流せる太いコードを別途引くことで、要求される電流を供給できるようにしてしまおうとなるわけだ。

また、大電流が流せるコードは電圧降下を抑えることができる。直流電流はコードが細ければ細いほど、長ければ長いほど末端の電圧が低下していく。

この問題はサブバッテリーを車に搭載する場合に頭を悩ませる要素で、0.1V電圧が降下するだけでもバッテリーが満充電にできず、残り10%が充電できないということもある。

補充電システム

私のZ33はヒューズボックスのバッテリー出力からラゲッジルームまでコードを延ばしてシガーソケットを設置しているのだが、そこから充電器で鉛スターターバッテリーを充電すると、充電器は14.7Vと表示されているにもかかわらず、鉛スターターバッテリーの端子電圧は13.35Vと信じられないほど電圧が降下することもあった。
※線が細く長いため電圧降下が起きやすい

満充電に近づくほどこの電圧降下が減少するのだが、それでも0.2V程度の電圧降下があり、バッテリーの性能によっては満充電に達することができないことにもなる。

また、電圧降下が発生すると、同じ消費電力の電子機器を使った場合、コードに流れる電流が大きくなる。例えば、80Wの電子機器を使う場合、14Vの電圧だと80V÷14V=5Aがコードに流れる。これが12Vだと6Aの電流が流れることになる。

コードの許容電流に余裕があれば問題は無いが、許容量に近い電流を流していると電圧降下でコードの許容電流を超えて過熱することもあるため注意が必要だ。

■オルタネーターの限界に注意

バッ直ではバッテリーから直接電力を供給することができるため大電流を流すことができるのだが、無尽蔵に電力を取り出せるわけではない。自動車はエンジンが運転状態にあるときはオルタネーターという発電機が電力を供給しているのだが、オルタネーターの性能を超えて電力を取り出そうとすると問題が発生する。

大電流をバッ直で取り出す際、通常はオルタネーターの発電余剰分を先に供給するのだが、オルタネーターの余剰分を超えて大電流を取り出した場合、鉛スターターバッテリーから追加で電力を供給することになる。

この際、流れる電流が大きいほど電圧降下が発生するうえ、鉛スターターバッテリーから電力を供給するため充電ができず、いずれバッテリーが上がってエンジンが停止する。

そのため、車載されているオルタネーターの容量に合わせて取り出す電流を考えておかないといけない。オルタネーターは車種ごとに違うが、軽自動車で50A程度、小型自動車で80A程度、普通自動車で100A~といった具合に車両のサイズに比例して大きくなる。

Z33では前期・中期型では110A、後期型では150Aと大容量のオルタネーターを装備しているが、オルタネーターの容量はエンジンの最高出力と同じで最大出力時の容量が記載されているため、常時定格の電流を供給できるわけではない。

前期・中期では、巡航領域の1,300回転で37A、街乗り加速領域の2,500回転で92A、高回転域の5,000回転で103Aとなっているため、通常走行では37A程度の電流を供給していることになる。これから電装系が使用する分を差し引いて残りが余剰分となるのだが、エアコンやライトの点灯をしている際はさらに消費されるため、余裕が10Aすらない可能性もある。

バッ直をして取付けた電子機器が稼働時している際、電圧計の数値がいつもよりも下がっているのであればオルタネーターの容量を超えて電力を消費している可能性があるため要注意だ。

もし、容量を超えている場合はバッ直に繋いでいる電子機器を見直すか、低回転から高効率で発電する高効率オルタネーターに載せ替えることで解決ができる可能性がある。

■バッ直配線は定番のエーモン製

エーモンの大容量電源取出しコード

今回、Z33のバッ直に使用したのはエーモンの大容量電源取出しコードだ。40Aと本格的なオーディオシステムやサブバッテリーシステムを組む人には物足りない容量だが、ウーファー用のアンプやサブウーファーを追加するだけといった、要求される消費電流がそれほど大きくない電子機器に使うには十二分な性能だ。

加えてヒューズも装備されており、必要なものがほぼ用意されているのが魅力的なのだが、細部を見てみると首を傾げてしまう部分もある。

エーモンの大容量電源取出しコードだは、どう見てもエンジンルームに配置するしかない位置にヒューズボックスがあるのだが、防水仕様では無いという少し理解できない設計で、使用しているヒューズの入手性の悪さからしても、どうしてこのような設計にしたのか理解が及ばない。

また、ヒューズ自体も珍しいタイプで実店舗での入手性が困難となっている、導入時はヒューズが切れた際のことを考えて予備を入手しておくことが望ましいのだが、安易に購入すべきではない。

この手のヒューズは、中華メーカー製の物が大量にAmazonで販売されているが、中華メーカーの電子部品を今まで使っている経験から言えることは、ヒューズのような重要な安全装置に国内外含めて信頼性のないメーカーの部品を使用するのはお勧できない。

理由は性能どおりに作動する確実性が低いからだ。信頼性の低いメーカー品は品質のバラツキが大きいため、定格以下の電流でヒューズが切断する場合や、最悪、定格以上の電流を流してもヒューズが切断されず、車両火災に繋がることも考えられる。そのため、予備のヒューズは日本のメーカーが製造販売している国産品にした。

中華メーカーも年々進化しており、実用に耐える製品を製造しているメーカーも出てきているのも事実ではある。だが、予備知識が無い状態ではどれが良いのか判断ができないし、品質がまばらでは、一度テストで切断したら二度と使い物にならないヒューズではテストのしようが無い。

放火や事故による車両火災を除いた、車両自体が原因で発生する車両火災において、電気系統が理由で発生した車両火災は2番目と高い順位になっている。たかがヒューズ、されどヒューズ。ここは用心に超したことは無いだろう。

このように、エーモンの大容量電源取出しコードは色々と問題もあるのは確かだが、必要なパーツが装着されており、バッテリー側の配線も端子が装着済で利便性は良く、40A程度の電流で事足りるなら有力な選択肢なのは間違いない。

■バッ直作業は車内へのコード引き込みが肝

バッ直作業で事前に検討しておかないといけないのがエンジンルームから車内にどのようにしてバッ直コードを引き込むかだろう。エンジンルームと車内が繋がっている部分は少なからず有るのだが、主に配線や配管を通すためのものであり、防水のためグロメットで隙間が埋められている。

バッテリーの近く(エアコン外気導入口の横)

Z33にはバッテリーの近く(エアコン外気導入口の横)にECUから来ている思われる配線の束が出ているのだが、多くの人がここを通してバッ直配線していることもあり、先人の知恵に感謝しつつ、このグロメットを貫通させることに決めた。
※バッテリールーム近くのカバーを留めている樹脂製リベットを外せばカバーが外れてこの箇所にアクセスできる。

丸マーク

グロメットにここぞと言わんばかりの丸マークが付いている箇所があったので、カッターで切れ目を入れみたのだが、ここは外れだった。

どうやら、グロメットの中にコードを保護するための樹脂性リングが入っており、これが邪魔をして貫通させることができなかった。既存の配線を傷つけるのが嫌で中心付近を避けて貫通しようとしたが、その目論見は崩れ去ってしまった。

中央のややバッテリー側に

背に腹は替えられないと腹をくくって中央のややバッテリー側に切れ目を入れ、貫通したことを確認するため配線ガイドを押し込んでいく。

助手席のダッシュボード下から

やがて、助手席のダッシュボード下から配線ガイドが出てきた。どうやらケーブルの配線経路は問題ないようだ。だが、エーモンの大容量電源取出しコードはヒューズボックスが付いているため、エンジンルームからコードを車内に押し込むことになる。

コルゲートチューブを巻いて押し込む

保護のためにコルゲートチューブを巻き、滑りを良くする為にシリコンオイルを拭きつけてコードを車内に押し込んでいく。細い配線を傷つけないように慎重に押し込んで、無事に助手席下にコードが出てきた。これで、バッ直の作業の大半が終わったといっていいだろう。

助手席サイドシル側のシートをめくりあげ

出てきたコードは助手席サイドシル側のシートをめくりながら配線をしていく。左ハンドル仕様のための物だろうか、使用されていない配線ガイドが途中にあったので、そこへコードを通してシートベルトの根元側に配線をしていく。
※内装剥がしの作業手順はこの記事を参照(運転席側だが構造は同じ)

ここの助手席側には配線ガイドが無い

運転席側ではこの箇所にも配線ガイドが存在しており、小さいコードが束になって配線されているのだが、助手席側には何も無い。

配線止め金具を使いシートベルトとの干渉を防ぐ

このまま配線をするとシートベルトに干渉するため、配線止め金具を使いシートベルトとの干渉を防ぐように配線をしておいた。

ラゲッジルーム

そのままラゲッジルームのテンパータイヤ収納エリアまで配線をしたのだが、ここはいずれテンパータイヤを取り除いて、サブバッテリーシステムとモノラルアンプを設置する予定だ。

今回の作業では、マイナス側をボディアースにしたが、電位差が発生してノイズの原因になる場合もあるため、音質を追求する場合はボディアースはやめておいた方が良いかもしれない。

ボディアース

そうなったときの対策はいくつか存在しているため、今回は作業性を考慮してボディアースに決めた。ボディアースをする箇所はこの記事で設置した箇所になる。

タップを使ってねじ山の塗装を剥がす

だが、この箇所はねじ山の大部分に塗装が乗っているため40Aの電流は流れそうに無い。そこでM6(P1.0)タップを使ってねじ山の塗装を剥がしてから共締した。ねじ山がギラギラと輝くまで削り取ったので40Aでも耐えてくれるだろう。

エーモンの大容量アースコード

ボディアースに使うコードはエーモンの大容量アースコードだ。同社の大容量電源取出しコード同じ40A配線のため視覚的にも性能的にもバランスは良好だ。これで両配線が準備できたので改めて残りのバッ直配線を変更していく。

O端子を取り付けたコードをボルト・ナットで締めこんで分岐にする

接続するのはソーラーチャージコントローラーとTEINのEDFC用モータードライバユニット、そしてラゲッジルームのリアパネルに増設したシガーソケットになる。後に予定しているサブバッテリーシステムを組み込む際にブロックタイプの分配器を使う予定だが、それまではO端子を取り付けたコードをボルト・ナットで締めこんで分岐にする。

絶縁は特に注意

この方法はボディに端子が接触しやすいため、プラス側の絶縁は特に注意が必要になるのだが、安価で大電流に対応できる分岐が簡単に作れるメリットがある。

コードの保護と整理をしてラゲッジルームの配線は終了したため、最後にエンジンルームのコードとヒューズを処理していく。

最後はバッ直配線の防水処理だ。エーモンの大容量電源取出しコードは防水ではないと明確にパッケージに記載されている。そのため、ヒューズボックスに防水処理を施すことにした。

Z33のバッテリー収納エリアは外部から水が直接かかることは無い構造になってはいるが、水に濡れた痕跡があるためやはり防水加工は必要だろう。

ヒューズの防水処理

絶縁テープを巻き、二股になっているコード部分はコーキングを打ち込み防水加工とした。

グロメットにもコーキングを塗って防水処理

合わせて、切れ目を入れたグロメットにもコーキングを塗って防水処理をしておく。

この方法では、ヒューズが切れているのか目視で状態が確認できなくなるのと、大電流を流している際に放熱が間に合わずにケースが熱を持つ可能性もあるかもしれないが、そこまで大電流を使い続けることは無いため現状はこれで完成とした。