しかし、スペーサーを入れるとホイールから突き出すハブボルトの長さが短くなるため、ロングハブボルトに打ち替えた方が良いかもしれないという話は出たものの、とりあえず保留としていたのだが、整備士から改めて指摘を頂いたことからロングハブボルトを打ち替えることにした。
■NISMOロングハブボルト
今回ハブボルトを打ち替えるために用意したのはNISMOロングハブボルトだ。ハブボルトは地味だがとても重要な部品のため、ここは実績と信頼性を重視してNISMO製品を選択した。
NISMOロングハブボルトには、いくつか種類があるが、Z33は14.3/50×10本 40222-RS035もしくは14.3/60×10本 40222-RS045が適合する。長さは前者が50mmで後者が60mmだ。
Z33の純正ハブボルト長は前輪が42mmで後輪は40mmとなっているので、前輪に14.3/50×10本 40222-RS035を打ち替える場合、純正比8mmの延長となり、5mmスペーサー分を補って余り、ネジが噛み合う長さが3mm余分に増える。
3mm余分に増えるのは固定からすれば良いことのように思えるが、袋ナットを使用している身としてはナットの中に納まるか心配だった。しかし、3mm程度では特に問題にはならないようで、現在使用しているRAYS 17HEX LOCK&NUT SETとマックガード ウルトラハイセキュリティロックナットがそのまま利用できた。
取付けに関してはハブベアリングを外す必要もなく、一般的なハブボルトの打ち替えと変わりない工賃で済んだのも嬉しいところだ。ただ、ハブボルトよりも工賃の方が高く付いてしまった。
■たかがボルトされどボルト
スペーサーを取付けた場合、どの厚みからハブボルトを打ち替えるかは見解が分かれるところだろう。5mmの厚みは意見が分かれるところで、私もその点から保留していた。だが、ハブボルトを打ち替えた後に乗って出た答えは、Z33に5mm厚以上のスペーサーを使う場合はハブボルトを打ち替えるべきという答えだった。
正直なところ、安全のためにハブボルトを打ち替えただけなので、フィーリングに変化が出るほどのレベルだとは思いもしなかった。だが、ハブボルトを打ち替えた後にハッキリと違いが出てきたのだ。
以前は、段差を乗り越えた際や路面が荒れている際に足まわりがバタバタしていたのだが、これが劇的に改善した。橋のつなぎ目といったやや大きな段差については、ほんの僅かにバタつく感覚が残るものの、荒れた路面ではバタつくことが無くなり、街乗りの快適性と攻めた際の安定感が抜群に向上した。
恐らく、今まではネジ山が噛み合う長さが短かったため、ホイールの固定が甘く、衝撃を受けた際、僅かにある遊びの領域をホイールが動き回っていたのではないだろうか。考えたくはないが、前方からみて左右、すなわちホイールが外れる方向に動いていたのであればより深刻な問題だったことになる・・・。
ハブボルトを打ち替えた後はホイールの動きが抑制され、タイヤを介してホイールに伝えられた衝撃はサスペンションが吸収するため、足回りが本来の動きになったということなのだろう。
不快な突き上げが減ったことで減衰力設定も切り替えることにもなった。以前は、街乗りは減衰をEDFC ACTIVE PRO にてマニュアル16(16段設定)に設定して走行していたのだが、今は11に変更して走行している。この設定で街乗りから流す程度まで対応できるほど柔軟な足回りに変わった。
また、攻めた際も確実にタイヤが地面を捉えている感覚が伝わるようになり、コーナリングやブレーキ時の安定性が向上した。以前のZ33と比べるとまるで別物で、不安に感じる要素が消え去ったことでより攻めることができる。
ともかく、足まわりがガッチリと固まった感じで、ブレーキペダルを踏んだ時の感触どおりの効き具合になり、凹凸の多い路面でも接地感があるので直線・コーナリング共に不安に感じることがなくなった。
元より限界が高いZ33ではあるが、ここに来てさらに限界が増したと感じる。だが、これが足回りを交換した後の本来の性能であり、その性能は1つ上の次元に到達したと感じるほどだった。
たかがボルトと思っていたが、このような地味なパーツが意外と大切だったりする。今回はそういう意味でいい勉強になった。
■今回の教訓
「Z33に5mm以上のスペーサーを入れるならハブボルトは打ち替えておくこと。」