RAYS VOLK RACING TE37 SAGA Z33

Z33はノーマルでアルミホイールを装備しているが、純正のアルミホイールは重量が重くアルミホイールの軽量というメリットを最大限に受けることができない。メーカーは耐久性やコストを重視するため、重たくても剛性を確保できる鋳造タイプを好んで採用するからだ。

加えて、私の車両は前オーナーがホイールに傷を付けており、前々から気になっていたことも重なり、足回りの交換に継いでホイールの交換に踏み切ることにした。

■RAYS VOLK RACING TE37 SAGAをチョイス

スポーツカーのホイールと言えば定番はVOLK RACING TE37シリーズだろう。スポーツ走行向けに設計された高性能な鍛造アルミホイールとして長年愛され続けているが、車の進化に対して設計の古さが目立ってきたため、TE37は一部のサイズを残して廃盤となってしまっている。

TE37の正当進化系

変わってTE37のバリエーションがTE37のラインナップを引き継ぎ、そのうちの1つであるTE37 SAGAは17~18インチのバリエーションを担っており、その形状やカラーバリエーションからTE37の正当進化モデルと位置づけられているように感じる。

Z33はインチアップで19インチに変更するユーザーも多いが、あえて18インチにしているのは理由がある。それは最大限の軽量化とランニングコストの抑制、そして乗り心地の悪化を防ぐという理由があるからだ。

ただし、代償としてホイールのフィッティングとハイグリップタイヤのマッチングについては苦労させられることになった。メーカーはZ33については19インチへのインチアップを想定していると考えられ、18インチのTE37 SAGAをチョイスすると様々な問題が出てくるからだ。

キャリパー干渉対策必須

今回チョイスしたTE37 SAGAのサイズはフロント9J +35 リア10J +35になる。メーカーの紹介ページでは、フロント・リア共にZ33のブレンボには対応しない表記だったが、リアは十二分に余裕が有ったものの、フロントはブレーキーキャリパーに干渉するため5mmのホイールスペーサーを入れてクリアランスを確保している。

ホイールスペーサーを入れるとボルトの突き出し量が減り、ホイールナットが噛み合うネジ山の量が減るため、荷重や加速の負荷に耐えらずホイールが走行中に外れる可能性が上がることもある。スポーツ走行向けの車両では避けたいところだが、9J +36のホイールは注文時に次回製造未定(現在終売)となっていたため、やむを得ず9J +35を選択したことによりホイールスペーサーが必要になった。

5mmスペーサー

ホイールスペーサーはアルミ鍛造でハブリング付きのホイールスペーサーを入れ、センターが出やすくしており、リアにもセンター出しのためハブリングを入れている。本来であれば、5mmのスペーサーからはハブボルトの打ち替えも推奨されるのだが、今回はハブボルトの打ち替えは見送った。

ホイールスペーサーの使用には不満が残る結果となったが、9J +35はFACE-3で逆反り具合が9J +36のFACE-2よりも深いため、デザイン的にはリアのFACE-4に近い逆反り具合で前後のバランスは良好に見える。

面具合

オフセット・リム幅については控えめなサイズを選んだのだが、車高を10mm程度下げ、キャンバー角も控えめに抑えた場合、このサイズなら後から手を入れる必要が無いといえるだろう。

装着後のクリアランスを確認してみたが、TE37 SAGAでこれ以上の出具合を求めるなら、キャンバー角の調整、フェンダーのつめ折りや叩き出し、オーバーフェンダー・フェンダーモールといった対策を取らないとホイールがはみ出すことになるはずだ。

■前後タイヤの組み合わせに要注意

Z33にはABSの誤作動問題があるため、前後のタイヤを組み合わせる際に外径の前後比率を注意して選択しておかないと思わぬ事故に繋がる。

POTENZA-S007A

今回はPOTENZA S007A (F:245-40R18 / R:275-40R18)を組み合わせているが、前後の外径比率誤差は純正の0.92%となっており、ABSの誤作動の指標とされている1%未満になんとか納まっている。

Z33でホイールを交換する際は、組み合わせる予定のタイヤが純正の前後外径比率に極力近い組み合わせにできるか事前に確認しておくことを強く推奨しておきたい。

■選べるハイグリップタイヤは少ない

スポーツ走行をするうえでハイグリップタイヤの装着は欠かせないものと個人的に考えているが、フロント9J +35 リア10J +35のサイズに前後タイヤの比率を考慮して選択をすると、選べるハイグリップタイヤは40偏平率ではNEOVA AD08R(F:245-40R18 93W / R:265-40R18 101W(653mm:669mm 誤差0.27%))が前後の引っ張り具合が同等、尚かつ、タイヤメーカーの推奨する標準リム幅に最も近い組み合わせになる。
※Sタイヤ・プレミアムスポーツ形タイヤ除く

若干強めに引っ張れば40偏平率のPOTENZA RE-71Rも選択肢に入るが、駆動輪のリアに255/40R18では折角リム幅が広がったのにタイヤのトレッド幅が広げられないので、グリップ力を重視するなら必然的にNEOVA AD08Rになるだろう。

35偏平率ではPOTENZA RE-71Rや(F:255/35R18 94W XL / R:275/35R18 95W(636mm:650mm 誤差0.51%))DIREZZA ZⅢ(F:255/35R18 90W / R:275/35R18 95W(637:651誤差0.52%))が選択肢に入ってくるが、これらはフロントのサイドウォールがリアより大きく出てしまい、リアは純正よりロードインデックス(タイヤが支えられる重量の指標)が下がるためアンバランスなうえ不安が残る。
※35偏平率で組み合わせるならフロントに9.5Jのホイールが欲しいところ
※Z33ロードインデックス 18インチF:91W / R:96W・17インチF:94V / R:96V

AZENIS RT615K+(F:265/35R18 97W / R:275/35R18 95W 645:651 誤差1.78%)ではサイドウォールの出具合のアンバランスが最も大きくなり、リアは純正よりロードインデックスが下がるうえ、誤差が大きくて不安になる。

他にもEAGLE RS Sport S-SPEC(F:255/35R18 90W / R:285/35R18 97W 635:657誤差0.71%)が選択肢に入ってくるが、この組み合わせではサイドウォールの出具合がアンバランスになる他、フロントのロードインデックスが純正を下回ってしまう。

35偏平率NEOVA AD08Rの(F:255/35R18 90W / R:265/35R18 93W(635:643 誤差1.45%))とPROXES R1R (F:255/35ZR18 90W / R:265/35ZR18 93W(639:648 誤差1.3%))に至っては誤差が大きく、フロント・リア共にロードインデックスが純正を下回るため、お勧めはしない。

また、タイヤを引っ張ると外径が変化するため、引っ張りタイヤにする場合はフロント・リアの引っ張り具合を揃えておかないとABS誤作動の可能性が上がることも注意しておきたい。

19インチだといくつかのハイグリップタイヤが候補に入るが、このように18インチでハイグリップタイヤを選ぼうとすると、フロント9Jリア10Jの組み合わせでベストと言えるマッチングは僅かしかない。

今回はホイールを購入した店舗の系列によりPOTENZA S007Aを選んでいるが、プレミアムスポーツグレードのタイヤなのでバリエーションが多く、多種多様な組み合わせに対応できる。

しかし、プレミアムと言うだけあってハイグリップタイヤよりも高価で、グリップ力は後一つハイグリップタイヤに届かないことに不満を感じるため、次回のタイヤ交換はハイグリップタイヤになるだろう。

■コストパフォーマンスと軽量化

Z33では19インチにするユーザーが多いなか、今回あえて18インチを選んだ理由はタイヤのコストパフォーマンスを理由とするところもある。19インチにインチアップするとハイグリップタイヤで比較して1本当り5千円程度、プレミアムスポーツタイヤでは1本当り1万円近く高くなる。

NEOVA AD08R の比較では18インチと19インチの適正サイズを組み合わせると、1本あたり5千円程度の差で、私の乗り方ではNEOVA AD08Rは1年半で寿命を迎えるため年間維持費は1万3千円程度上がる。
※F:245/40R18 93W / R:265/40R18 101WとF:245/35R19 89W / R:275/35R19 96Wの比較

プレミアムスポーツタイヤはハイグリップタイヤと比較してライフが長いことを考えると維持費を単純に比較することはできないのだが、こればかりは実際に使い切ってみないと分からない。

軽量化についてはインチが大きいほどホイールは重たくなるが、インチアップには低偏平のタイヤと組み合わせることで設地面積が増加してグリップ性能が増加するというメリットや、サイドウォールの剛性が高くなりコーナリングや高速走行時の安定性が増すというメリットもある。

18インチ

その反面、ロードノイズの増加や突き上げによる乗り心地の低下も招いてしまうため、コストパフォーマンスと快適性を加味したうえで最終的に18インチに決定している。

■アルミ合金ナットは選択ミス

TE37 SAGAを注文する際、ホイールナットの選択については深く考えていなかった。RAYSの純正ホイールナットならマッチングは大丈夫だろうと思い、勧められたDURA-NUTSを付けているが、アルミ合金製のホイールナットはスチール製のナットと比べると耐久性に劣ることを後から教わった。

アルミ合金ナット

アルミやアルミ合金製のホイールナットは、見た目はスポーツカー向けといった雰囲気があるが、実用性の面で見るとスポーツ走行には適していない要素が多く、どちらかと言えばファッションパーツに近い。

インパクトレンチの使用や過度のトルクをかけると、クラックやねじ山の減り、かじりが出てくるため、頻繁にホイールを交換する車両にはアルミやアルミ合金製のホイールナットは向いていない。また、スチール製のハブボルトとの熱膨張差により緩みやすいため、スポーツ走行に不安が付きまとう。

適切な管理と負担をかけない走りに徹するならアルミやアルミ合金製のホイールナットの選択も有りだろうが、スポーツ走行に使うにはデメリットが大きすぎるため、近いうちにスチール製のナットに交換することにしている。

■乗り心地も見た目も大幅に変化

スポーツ走行向けに軽量ホイールに変更する意味は有るのかと問われたらその答えは「有る」だ。Z33のカスタム指標として連載した記事にも書いているが、ホイールが軽くなると慣性に変化が生じる。

事実、TE37 SAGA交換後、停止時から発進した際の出足は軽くなり、乗り比べるまでもなく変化を感じるものだった。純正の重たい鋳造アルミホイールからの交換だったからだろう、幅広のタイヤに交換してタイヤの重量が増加しているにも係わらず、その差を肌身で感じることができた。

また、走行中も少し大きな段差でドシンと重たい動きをしていた足回りがゴトゴトと軽い動きに変化をした。これは、路面の凹凸に対する応答性が向上したためで、少々荒い路面でもタイヤが路面に食い付きグリップを活かすことができる。

反面、ゴトゴトとせわしなく足回りが動くため、街乗りの快適性は犠牲になり、サスペンションの減衰力調整は根底から見直す必要性に迫られた。
※5mmのスペーサーが原因で後日50mmのハブボルトに打ち替えたら改善した

コーナーではフロントが突っ張る感じが幾分か解消されたが、これはホイールと合わせて新調したタイヤの影響も有るため、どちらの効果によるものかは現状では断定できない。次のタイヤ交換でハイグリップタイヤに交換した際にこの件は検証をしたいところだ。

乗り心地も見た目も大幅に変化

TE37 SAGAに交換して変わったのは走行時の挙動だけではない。見た目の変化も大きく変わった。Z33では19インチにインチアップするドライバーが多いため、写真で見ると迫力に欠けるが、実際に見てみると18インチでも十分に迫力が有る。リム幅も広がり、純正のホイールよりも足まわりに締まりが出ている。

ソリがえぐい

特にお気に入りなのはリアの逆反り具合だ。「エグイ」という言葉がよく似合うほどの反り具合で、Z33のリアボディラインと相まって艶めかしい雰囲気が漂っている。

TE37 SAGAに変えてから、Z33に乗るときはついリア側に目が行ってしまうが、何度見てもこの雰囲気に飽きない。天気が良ければ、外でコーヒーでも飲みながらずっと眺めていたいぐらいだ。

だが、ホイール内部の空間が大きいため、ブレーキローターが貧相に見えてしまうという想定外の問題も出てしまった。18インチでハッキリと感じるため、19インチの場合、なおさら貧相に感じるかもしれない。

チューニングの最終段階では、過給チューニングに耐えうるブレーキ強化を考えているのだが、その際は大口径のブレーキローターを入れることできるかもしれないと夢を膨らませつつ、それまではこの状態で走り続ける予定だ。