64GB microSDXC

コムテックのドライブレコーダーZDR-013で使用していたmicroSDHCカードが1年もせずに書き換え寿命を迎えてしまった。

これはZDR-013の問題ではなく、頻繁に録画をする環境では何であれ書き換えが頻繁に発生してしまうため、早々に書き換え限界を迎えメモリは寿命を迎えてしまう。私のようにドライブレコーダーで24時間常時録画をしている環境なら尚更だろう。

ドライブレコーダーで使うメモリの類は消耗品と割り切っていたが、想定したよりも早い寿命を迎えたこともあり、録画時間の改善を含めて、非公式ながら使用ができるとの噂のmicroSDXCカードを使用してみることにした。

■microSDHCカードで常時録画を運用する場合の不満

コムテックのZDR-013を購入した時点では、コムテックのドライブレコーダーは全モデルmicroSDHCカードまでの対応だった。microSDHCカードは規格上の限界が32GBとなっているため、常時録画は高画質設定でおよそ6時間の録画時間となる。

だが、駐車監視モードを常時録画で運用する場合、6時間程度の録画時間だと、気づいたときには証拠となる録画データは上書きされて消されている可能性がある(衝撃検知の録画は保護される)。

また、6時間の録画時間ということは、使用しているmicroSDHCカードは1日4回書き換えられていることになるが、これは個人の使用においては過酷な環境で、メーカーによってはドライブレコーダーの使用は保証対象外にしているところもあるほどだ。

SDカードやUSBフラッシュメモリに使用されるNANDフラッシュメモリは、安価で大容量なTLCタイプが多いが、TLCはメモリ素子の書き換え耐性が低く、1,000回程度の書き換えでメモリ素子が寿命を迎えるため、私の環境では計算上の寿命は1年あるかないかの計算だ。

実際は5ヶ月、書き換え回数としては600回程度で寿命を迎えたことになるが、書き込んだデータの総量は15TBを超える計算になるため、この数値を見れば壊れてもおかしくは無いと経験則から感じる。
※イベント録画領域(データ保護領域)を除いた容量で算出

SDカードにはウェアレベリングといってメモリ素子に対して書き込みを分散させる処理が組み込まれているが、環境によっては正しく機能しない場合もある。その場合、書き込み量が少なくとも、同じメモリ素子を何度も書き換えることがあり、そのメモリ素子の書き換え回数がすぐに寿命となってしまう。

ライトプロテクト処理

その際は、代替領域を使ってエラーが出たメモリ素子の肩代わりするのだが、代替領域を使い切ってしまうと寿命と判断されてライトプロテクト処理が施される。

他の要因として、真夏の炎天下で熱された車内で録画し続けていたこともストレスになったはずだ。

結局のところ、microSDHCカードの最高容量である32GBのカードを買い換えたところで、これら両方の問題を解決することはできないため、あえてメーカーの保証対象外の利用というリスクを取って大容量のmicroSDXCカードを使うという方法を選ぶことにした。

■メーカーの保証対象外だがmicroSDXCカードが使える

コムテックのドライブレコーダーZDR-013はmicroSDHCカード対応モデルのため、公式にはmicroSDXCカードは利用できないことになっているのだが、microSDHCカード対応モデルにmicroSDXCカードを使う方法がある。

ネットで調べてみると、多くのZDRシリーズで成功例があったこともあり、可能性が十分にあると踏んだうえでmicroSDXCカードの導入を決めた。

具体的な方法は後述するとして、簡単に説明すると、FAT32でSDカードをフォーマットした後、ドライブレコーダーで初期化(PCで言うところのフォーマットではない)することで利用ができる。

この方法は、コムテックのドライブレコーダーでmicroSDXCカードを使う方法として利用されている。

だが、単純にmicroSDXCカードを買ってくれば済む問題でもない。実は大きな落とし穴が潜んでいるからだ。

■ZDR-013でmicroSDXCカードを使うメリットと注意点

ZDR-013でmicroSDXCカードを使う場合、まずメーカーの保証対象外だということを理解しておかないといけない。何があっても自己責任になるため、問題は自己対処する必要があるし、保証対象外の行為をメーカーに問い合わせることも迷惑になるので注意して欲しい。

次にmicroSDXCカードとの相性がシビアだという点がある。同じメーカーでもモデルや容量によっては認識しないこともあるため、可能な限り使用可能と報告があるモデルを選択した方が良いだろう。

そして、最も困るのが大容量や高性能SDカードは偽造品の割合が多いという問題である。一流メーカーの製品デザインやパッケージをコピーして作った製品が一部で流通している。

見た目はメーカー品と見分けがつかない事があるが、中身のSDカードは性能詐称や容量偽造をされた酷いものが入っているため、適当に購入すると痛い目を見る可能性がある。

一見して判断できないため、真贋を見極めることが難しいように思うが、個人でも偽造品か正規品か確認する方法があるので、この件については後ほど詳しく説明したい。

ともあれ、microSDXCカードを使う場合には、これらの問題を解決していく必要がある。だが、解決してしまえば64GBのmicroSDXCカードを録画に使うことが可能だ。

64GBになれば、ZDR-013の高画質録で2倍の12時間の録画が可能になる。これだけの時間録画が可能なら、駐車監視モードを常時録画で運用する際に証拠が上書きされる可能性は減少する。

また、大容量のため、メモリの書き換え回数が減少することで寿命も2倍期待できることになる。今回の寿命結果から計算すれば1年程度の寿命が期待できそうだ。

■偽造品のmicroSDXCカードを掴まされないために

先ほどの話したとおり、microSDXCカードを含めてフラッシュメモリ商品の中には偽造品が一部流通している。日本でそんなことがあるのかと思うかもしれないが、ネットで検索すればいくらでも事例は出てくる。

では、どうしたらそのような偽造品を避けることができるのか、以下にまとめてみた。

・外観で判断
ホログラフシール、パッケージデザイン、メモリのラベル印刷等で判断する。
(かなり凝った偽造品もあるので素人には難しいし情報がない場合もある・メーカーが設定していない容量のモデルが有ることも・・・)

・評価で判断
製品評価欄で購入者のコメントに目を通しておく。偽造品の場合は指摘コメントがある場合が多い。

・店舗で判断
信頼と実績のある店舗で購入する。Amazonは同じ商品でも販売しているショップが多数有る場合があるため購入先をよく調べておく。コメントに何処のショップは偽造品といった情報が出ていることもある。フリマアプリやネットオークションでの購入は偽造品が多いため避ける。

・価格で判断
価格が相場価格より大きく乖離している場合は偽造品の可能性が高い。

・性能で判断
ベンチマークテスト(CrystalDiskMarkが一般的)で実測値を他のユーザー実測値と比較する。計測値が大きく乖離しているようなら偽造品の可能性が高い。

但し、適切な環境が無いと計測できないため、PC内蔵のSDカードスロットではカードリーダーの性能が劣っていて正しい数値が計測できない場合もある。その際はUSB3.0ソケットにUHS-I以上対応のUSB3.0メモリカードリーダーを取付けて計測する。

なお、この方法は容量偽造を見抜けないため、フラッシュメモリのベリファイアプリ(h2testwが一般的)でデータの正常書き込み領域が表記してある容量と差がないか合せて確認する。

これで容量偽造は見抜けるが、十数KBといった僅かな容量がエラーで表示される場合は初期不良になる。偽造品は実容量を何倍にもあるように見せかけているため、十数GB~数十GBというレベルの容量がエラー領域として検出されるため簡単に見分けがつく。

ベリファイアプリでは容量偽造をせずに性能偽造のみをしている場合は見抜くことができないため、必ず両方をテストして真贋を見極める必要がある。

購入後に偽造品だと分かった場合は返品などの手間が掛るし、最悪返品すらも受け付けてくれず泣き寝入りということもあるため、少し高くても信頼できるお店で購入することが大切になる。何度も言うがフリマアプリやネットオークションでの購入はやめておくべきだ。

もちろん、信頼の有るショップから購入したとしても、それで安心せず、購入後は初期不良の可能性を確認する意味も含めてベンチマークテストをしておきたい。

■ZDR-013でmicroSDXCを使う方法

先ほど簡単に説明したが、ここではZDR-013でmicroSDXCを使う方法を詳しく掘りさげていく。

なお、今回使用する方法はZDR-013用として公開しているが、ZDR-013以外のコムテック製ドライブレコーダーで流用が効く可能性が高い。とはいえ、必ず成功するというものではなく、ドライブレコーダーとmicroSDXCカードとの相性もあるため、事前の下調べで確認しておくことを強く推奨する。

0.事前のテスト

最初は初期不良と偽造品か正規品かの確認のためにh2testwとCrystalDiskMarkで事前にテストをしておく。各アプリのDL先は以下に記載している。

h2testwでベリファイチェック

h2testw

DLしたファイルを解凍してh2testw.exeを実行する。

Englishにチェックマーク

「English」にチェックマークを付けて英語表示に切り替える。

Select targetでドライブを選択

「Select target」を選択してmicroSDXCカードのドライブを選択する。

「all available space」にチェックマークが入っているか確認をして、「Write + Verify」をクリックする。

警告が出てくる

警告が出てくるが、そのまま「OK」をクリックして続行する。

書き込み

書き込みが始まるのでしばらく待つ。

書き込み後ベリファイ

書き込み後ベリファイが続けて行われる。環境にもよるが、64GBならおよそ45分程度の作業時間になる。

結果表示

結果表示の詳細枠が同色なら結果は問題無しだが、赤色の場合はエラーが発生しているので詳細を確認する。○.○Gyte OKという部分が正常に書き込みできた領域で、DETA LOSTと書いてある箇所の容量がエラー領域になる。

DETA LOSTが数KB程度なら初期不良だが十数GB以上の容量がエラー領域となっている場合は偽造品と思って間違いない。

また、環境によってはh2testwテスト中にBSODになる場合もあるが、容量偽装によりファイルエラーが発生してOS保護機能が働いた結果なので、BSODでOSが再起動するなら偽造品と判断して良いだろう。

テスト用のファイル

結果表示の詳細枠がグレーならエラーはないため、microSDXCカードのドライブを開き、h2testwが残していったテスト用のファイルを消しておく。

CrystalDiskMarkでベンチマークテスト

CrystalDiskMarkはインストール版をインストールするか、Zip版は解凍してOSに合せて32bit版と64bit版どちらかを選択して起動する。

Allボタンをクリック

右上部の項目でmicroSDXCカードのドライブを選択してAllボタンをクリックする。

結果をネットで公開している同モデルのベンチマークと比較して大きく乖離していなければ問題はない。1割程度は計測環境による誤差の範囲として考えるが、偽造品は異常といえるほど書き込み速度が低い事が多い。

ただし、計測環境が適切でないと正規品でも数値が低く出ることがあるため、計測環境については注意が必要になる。USB2.0のメモリカードリーダーを使用している、USB2.0ソケットにメモリカードリーダーを接続しているといった場合は正常に計測ができない。

また、ノートPC内蔵のSDカードスロットは性能が低い物も少なくないため、UHS-I以上対応のUSB3.0メモリカードリーダーをUSB3.0ソケットに接続して使用して計測することが望ましい。

1.IO-DATAのディスクフォーマッタでフォーマット

microSDXCカードはexFATでフォーマットされているが、microSDHCカードはFAT32でフォーマットされていることが一般的だ。ドライブレコーダーもそれを前提として設計しているため、microSDXCカードをFAT32でフォーマットする必要がある。

WindowsにはOSにディスクフォーマット機能が有るが、microSDHCカードはFAT32にフォーマットすることができるものの、大容量のmicroSDXCカードはexFATかNTSF以外のフォーマットが選択できない。

IO-DATAのディスクフォーマッタ

そこで、社外品のディスクフォーマッタを利用する。有名なのはBUFFALO・IO-DATA・Logitec製のディスクフォーマッタだが、今回は、IO-DATAのディスクフォーマッタを利用する。

・microSDXCカードをメモリカードリーダーに挿入する。

ディスクフォーマッタを起動

・IO-DATAのディスクフォーマッタを起動したら、microSDXCカードのドライブを選択する。この段階で誤って他のドライブを選択しないように、表示に従ってアクセスランプを見つつ確実にmicroSDXCカードのドライブを選択すること。

もし、間違ったドライブを選択してフォーマットしてしまうと、ドライブのデータは全て消えるため、ここは慎重に慎重を重ねて選択して「次へ」をクリックする。

FAT32にチェック

・フォーマット形式の選択画面に切り替わるので、FAT32にチェックをつけて「次へ」をクリックする。

確認メッセージ

・確認メッセージが出るのでフォーマット形式がFAT32になっているか確認して「はい」
をクリックする。

データの消去について警告

・データの消去について警告が出るので「注意事項に同意します」を選択して「次へ」をクリックする。

実行をクリック

・画面が切り替わったら「実行」をクリック。

フォーマット作業

・フォーマット作業が始まり数分で完了する。

完了を選択

・完了をクリックしてmicroSDXCカードを取り外して再度挿入する。

ドライブのプロパティ

・ドライブのプロパティを確認してファイルシステムがFAT32になっていたらフォーマットは成功だ。

2.ZDR-013で初期化

ZDR-013で初期化

microSDXCカードをFAT32でフォーマットし終えたらZDR-013で初期化をする。microSDXCカードをZDR-013に挿入して起動すると初期化が必要とアナウンスされるため、OKボタンを押して初期化するだけだ。

この初期化は、先ほどPCで行なったフォーマットではなく、録画のためのフォルダ作成や設定ファイルの書き込み処理といったことを初期化といっているため混同しないように。

正常にmicroSDXCカードを認識しているのであれば、必要に応じて設定を変更し、いつものように利用するだけだが、相性が悪く正常に認識していない場合は異常な挙動になる。

もし、ZDR-013のインジケーターが点灯消灯を繰り返して起動に何度も失敗している状態になる場合はmicroSDXCカードを正常に認識していないため、別のmicroSDXCカードを試してみると成功するかもしれない。

だが、メーカーが想定した以外の利用方法のため、確実にSDXCカードを利用できるという保証はない。可能な限り、利用できたと情報が出ているSDXCカードを使うことを勧めたい。

■今回購入したmicroSDXCカード

東芝THN-M302R0640C4

今回、ZDR-013にmicroSDXCカードを使うに当たって購入したモデルは東芝THN-M302R0640C4になる。SDカードの容量が大きいほど、時間当りの書き換え回数が低下して寿命が期待できることもあり、実績のあるモデルの中からZDR-013で使える最大容量のモデルを選択した。

microSDカード中にはドライブレコーダーの使用に特化した高耐久モデルも存在するが、実績のあるメーカーの高耐久モデルは価格が倍以上のため除外している。容量と予算が許すならこちらを選択したかったところだ。

並行輸入品

THN-M302R0640C4は並行輸入品のため、国内正規流通品と比べると安価だが、国内では保証が効かないし、並行輸入品は流通経路が不明確な事があるため偽造品が含まれている可能性が比較的高い。

並行輸入品は安価だが、このようにリスクが高いため、購入先は特に注意が必要になる。今回はUSBフラッシュメモリやSSDの購入で何度かお世話になったことがあるショップから購入した。

店舗の保証は初期不良を含めて7日間のみのため、初期不良の確認を含めてh2testwでのテストを早々に実施したが問題無くパスした。

また、同時にCrystalDiskMarkでベンチマークを行なったが、他ユーザーによるベンチマーク結果と計測値が乖離はしていないため偽造品ではないことを確認している。

ZDR-013で使用したところ問題もなく、THN-M302R0640C4に交換後1週間以上稼働を続けているが正常に録画を続けている。

32GBを超えて録画

録画領域も32GBを超えて録画をしているため、microSDHCカードを使用したときより長い時間録画をしており、実測で12時間15分の連続録画を記録しているのを確認した。
※FullHD・29.1fps・高画質・イベント録画領域10%設定

後は耐久性についてだが、実績から計算した1年程度の寿命を期待しているものの、これについては実際に使ってみないと分からないため、想定よりも早い段階で寿命が来たら追加で報告したい。