EDFC ACTIVE PROによる制御

前回はTEIN MONO SPORTの選定理由やEDFC ACTIVE PROの取付けについて記載したが、今回はサスペンションとEDFC ACTIVE PROの取付けが全て完了したので、両者の組み合わせによるレビューがメインとなる。

電子減衰力調整という経験したことがない機能は一体どのようなものなのか・・・。ワインディングを走りながらTEIN MONO SPORTの素性とEDFC ACTIVE PROによる制御を体験する。

■EDFC ACTIVE PROの初期設定

EDFC ACTIVE PROを取付けた後、実走行にて配線の干渉などが無いか確認したが、問題が無かったためEDFC ACTIVE PROの初期設定に移った。

この初期設定は車速信号設定とGセンサーの初期化になるが、これらの設定を正しく設定しておかないと車速とGに反応して減衰力を調整する機能は動作しない。

車速センサー信号のパルス数

車速については車速センサー信号のパルス数を車種に合せて変更する。Z33を含め日産の車速パルスは「2」になっているとのことだが、他の国産メーカーについては4パルスが採用されているようだ。

次にGセンサーの初期化を実行したのだが、Gセンサーの初期化には20m程度の水平な直線が必要になるため、安全な場所を確保して作業をする必要がある。

Gセンサーの初期化

水平な場所でGセンサーの初期化を選択してダイヤルを押したら、合図と共に加速してもう1度合図が出たら停止する。正常に初期化したら「G SET OK」と出てG連動機能が有効になる。

■EDFC ACTIVE PROの使い方

EDFC ACTIVE PROの機能は指定した段数に変更する「マニュアルモード」、速度に応じて段数を変更する「Sアレンジモード」と「Sリニアモード」、旋回Gと加減速Gに応じて段数を変更する「Gアレンジモード」と「Gリニアモード」が存在する。

アレンジモードとリニアモードについては段数の調整を段階的に行なうか曲線的に行なうかの違いで、一定の数値になると切り替わるアレンジモードに対し、リニアモードは設定値と設定値の間を補完して滑らかな切り替わりになるモードだ。

組み合わせることができる

加えて、両Gモードと両Sモードは組み合わせることができるため、EDFC ACTIVE PROには以下のモードで運用することができる。

・マニュアルモード
・Sアレンジモード
・Sリニアモード
・Gアレンジモード
・Gリニアモード
・Sアレンジモード × Gアレンジモード
・Sアレンジモード × Gリニアモード
・Sリニアモード × Gアレンジモード
・Sリニアモード × Gリニアモード

どのようなシーンでどのモードを使うのがよいかというと、サスペンションとの組み合わせによって性能が変わるため難しいところだが、基本的にはマニュアルモードで設定した段数(減衰力調整幅16/32/64段ではなく設定した数値)から各種モードのマップに応じた段数を引いた数値にする制御になっているため、最初はマニュアルモードで初期値となる段数を探ることになる。

初期値を決めたら、各種リニアかアレンジモードに切り替えてみる。旋回や加速減速をするとGや速度に反応して段数が上下するようになるのだが、プリセットの設定で動いているため、不満があるのであればマニュアルモードに戻り段数を変更するかプリセットの値を変更して調整をする。

なお、S・G共にプリセットは2種類用意されているが、1番目はノーマルで、2番目はスポーツ走行向けの設定になっており、スポーツ走行向けの設定ではより大きく段数が変動する設定になっている。

最初はどちらか片方のプリセットで使ってみて、気に入った方のプリセットを変更して詰めて行くのも良いだろう。

初期の設定としては、4輪独立制御に切り替え、街乗りはマニュアルモード「16 16 – 13 13」で走行し、スポーツ走行時は段数を変更せずにそのままSリニアモード×Gリニアモードで両モード共にプリセット2番を使用して走行していみることにした。
※16段設定の数値

■TEIN MONO SPORTレビュー

メーカー推奨値-10mm

サスペンションの交換というと、車高を極端に落としていないと交換したと分りにくい地味なパーツと思われがちだ。元々、Z33は車高が低いこともあり、推奨値で-10mm落としただけでは一見して分からない。

メーカーの写真では-10mmの車高ダウンだとノーマルの状態と比較しても変化が乏しく見分けがつきにくかったのだが、実際には写真で見るのとは違い、僅かながら変化を感じるものがあった。

凜とした姿

Z33と日々向き合っているから感じたのだろうか、ふと、駐車場で見たZ33は凜とした姿で、外観に変化は無いのに放っているオーラーが違っていた。今までのZ33とは違い攻撃的な性格が出てきているように感じる。

だが、そんな攻撃的な性格を感じたのとは裏腹に、減衰力の設定を柔らかくすると乗り心地はノーマルに近いGTカーの快適性を生み出す。

EDFC ACTIVE PROのマニュアルモードで最も減衰力が柔らかい「16 16 – 16 16」に設定して街乗りの快適性を試すことにしたのだが、その柔らかさは期待したものだった。
※数値は順にフロントL・フロントR・リアL・リアR
※16段設定

スポーツ走行向けのサスペンションとは思えないほどの柔らかさ

減衰力を最大まで柔らかく設定すると、乗り心地はスポーツ走行向けのサスペンションとは思えないほどの柔らかさが出てくる。純正ほどではないが、それに近い柔らかさがある。

その柔らかさもノーマルのサスペンションとは質感が違う。純正サスペンションの動きがショックアブソーバーの減衰力が不足して何度か上下するフワフワした動きに対して、TEIN MONO SPORTは1回程度の伸縮で地面からの突き上げをショックアブソーバーが押さえ込むような動きで、グワッとした感覚の突き上げになる。

それでいて、街乗り時の停止からの加速や、高速巡航時の緩やかな段差で車体が沈み込まないため、普段の運転で不満に感じていた部分まで解決してくれた。減衰力を硬めに設定すれば、これらの症状も軽減されると想定していたが、まさか柔らかめの設定で解決してくれるとは驚いた。

16 16 – 13 13

ただ、最大まで柔らかくするとリアの減衰力が不足してバネが無駄に伸縮している動きをするため、リア側をやや硬めに変更してみてみたが、「16 16 – 13 13」でリアの動きが適度に締まり、リアから感じたグニャッとした突き上げの感覚も減った。

リアサスペンション

気になる点としては、アッパーマウントが強化ゴム製になったため、明らかにキャビンに飛び込んでくるロードノイズが増した点だろうか。純正と同じくゴムアッパーとはいえど、強化タイプなので足回りから振動がボディにより入り込んでくる。ハイグリップタイヤを履いていることもあり、前にも増してタイヤから発するロードノイズがキャビンに入り込んでくる。

他にも、街乗りレベルでも出てくるほどのアンダーがナチュラル側に変化した点がある。サスペンション交換前は、低速でもノーズが突っ張って膨らむ感覚があったため、想定したラインを走るにはステアリングをほんの僅か大きく切る必要があったが、今は突っ張る感覚は残っているものの、ナチュラルに近い感覚で思い通りのラインを踏んでいく。

0 0 – 0 0

次に減衰力を硬く設定する。設定は「0 0 – 0 0」だ。先ほどまでの柔らかさは消え去り、まさにスポーツカーというスパルタンな動きになる。軽量車とスポーツサスペンションの組み合わせほど過激な突き上げではないが、スポーツカー特有の締め上げた足回りが生み出す挙動に思わずテンションが上がってしまう。

自然にスロットルを開いてスポーツ走行に入っていたが、さすがに最高の硬さだけあって突き上げが酷く、路面が悪いとトラクションやグリップが突然抜ける危険性が高くなるので、このレベルまで締め上げる必要性は感じない。

TEINの推奨値

TEINの推奨値は16段中前後8段目が推奨値となっているので、マニュアルモードで設定してワインディングを流してみたが、適度な固さで路面の状態が少々悪くともトラクションが掛るバランスの良い設定になっている。

推奨値固定の場合、サスペンションが生み出す挙動はスポーツ走行向けのサスペンションとしてはとても素直なもので、体に染みついた感覚で車の挙動を予想することができた。これは、マニュアルモードや連動モードでの指標として使えそうだ。

■EDFC ACTIVE PROの連動モードで攻める

車内から減衰力をマニュアルで、しかもリアルタイムに調整できるだけでも凄いことなのだが、EDFC ACTIVE PROでは車速と旋回・加減速Gに対応してリアルタイムに減衰力を調整するモードでその真価を発揮する。

先も説明したが、各種連動モードは段階的に調整するアレンジモードと設定値と設定値の間を補完して滑らかに変化するリニアモードがある。今回は両連動モードをリニアにしてSリニアモード×Gリニアモードで攻めてみた。

メモリ2

プリセットを前後G・左右G・車速共にメモリ1(ノーマル)※に設定しても流す程度のスポーツ走行がこなせるが、これはサスペンションがスポーツ走行向けの性格が強いからだろう。さらにスポーツ走行向けの設定であるメモリ2(ダイナミック)に変更すると、走行中に大きく減衰力が変化するようになる。
※G 1-1 S 1

ただ、メモリ2※だと「16 16 – 13 13」をベースにして走行するとコーナーからの立ち上がりでリアの荷重が抜けすぎてトラクションが抜けるような感覚があった。そこで、前後の減衰力のバランスを整えるため、マニュアル設定を「13 13 - 13 13」に変更してSリニアモード×Gリニアモードに切り替えた。
※G 2-2 S 2

結果、トラクションについては改善したが、相変らず減衰力変化による挙動が大きいため、若干だがシビアな操作性を求められる状態には変わらなかった。

しかし、コーナリング時のアンダーが大きく改善され、コーナリングの途中にさらにイン側に向けてラインを修正するだけの余裕が生まれている。

ただでさえコーナリング時のスピードは増しているのに、車側の挙動はまだいけるという余裕を見せており、信じて切り込んで良いのかドライバー側が不安になるほどコーナリングの性能が向上した。

さすがに走行中に絶え間なく、しかも大きな減衰力変化をもたらすメモリ2で走行していると、高速走行時から低速時に急減速した直後に挙動が過敏になることが希にあったが、速度が出ていないうえ、大きく姿勢が乱れる程では無いため慣れてしまえば問題はない。

走行中のモーター動作音については、フロントはキャビンの外側のため走行中に聞こえるノイズは小さいが、リアはキャビン内にあるため街乗り時や高速巡航時は車内に響いてしまう。気になるなら、スポーツ走行時以外はマニュアルで減衰力を固定にしておけば良いだろう。

また、減衰力が絶えず変化するため、減衰力固定時と違い車の挙動を今ひとつ掴みきれていないもどかしさがあるが、これから慣れていけば、車体の挙動も手に取るように分かるようになるだろう。

■まとめ

当初の予定であったスポーツ走行とGTカーの快適性を両立するという目的はTEIN MONO SPORTとEDFC ACTIVE PROの組み合わせで実現することができた。

通勤等の街乗り時は快適性を大きく損なうことはなく、走行中に受けるストレスはスポーツサスペンションとは思えないほど快適だ。だが、気分が乗った時は、モードを切り替えて即座に攻めに転じた設定に切り替えることができる。EDFCとは、なんと便利な代物だろうか。

モーターユニットが故障した場合はサスペンションを外して修理する必要があるため、整備性の面で見るとデメリットは増加しているものの、EDFCのメリットを考えるとメリットが勝っており、後は長期間使い続けられる耐久性があるかどうかを使いながら見定めるだけだ。

速度・旋回G・加減速Gという3次元的な制御で4輪を独立して調整するという方法は余にも奥が深すぎて、今のところ車の挙動に慣れるだけで精一杯だが、ものにしてしまえばとてつもないポテンシャルを発揮する可能性を秘めているだけに、早急に慣れてしまいたいところだ。