TEIN MONO SPORT(Z33)

Z33のバージョンSをほぼノーマルで乗って1年以上経過したが、予算が確保できたこともあり、スポーツ走行の際に最も不満に感じていた足回りを改善することにした。

前回の記事で街乗りからスポーツ走行までカバーしたサスペンションを絞り込んでみたのだが、最終的にTEIN MONO SPORTを選択した。もちろん決め手は、電子制御サスペンション機能を付加するEDFCだ。

■TEIN MONO SPORTを選んだわけ

TEIN MONO SPORTは街乗りからスポーツ走行までカバーしたサスペンションの中ではどちらかというとスポーツ走行を重視している仕様になっている。そのため、仕様を見るとややハードな足回りとなっている。

しかしながら、サスペンションの減衰力調整機能を活用することで街乗り時は柔らかく、スポーツ走行時は固く調整し、Z33の快適性を活かしつつもスポーツ走行時に安心して踏み込める可能性にかけた。

EDFC ACTIVE PRO

その、減衰力調整機能も調整ダイヤルを手で回すのではなく、オプションのEDFCを取り付けることによって車内から電子制御により切り替えることにした。

サスペンションまで手を伸ばして減衰力調整を調整するのは大変面倒で、一度決めたらほとんど変えることが経験上無かったからというのもあるが、リアはEDFCを装着しないと取り付け後に減衰力調整ができないことが決め手となった。

EDFC ACTIVE PRO開封

また、今回用意したEDFCは最上級モデルのEDFC ACTIVE PROになるが、加減速・旋回Gや車速に反応して自動的に減衰力を調整するモードが存在し、電子制御サスペンションとしての特性を最大限に活かすことができる。

もちろん、EDFC関連パーツの取付けや配線処理が必要になるが、コントローラーやモーターの装着位置はこちら側で決めたかったため、サスペンション本体は業者に取りつけてもらい、モーターやコントローラーといったEDFC関連パーツについてはDIYで取りつけることにした。

■TEIN MONO SPORT

Z33用のTEIN MONO SPORT

Z33用のTEIN MONO SPORTの内容は以下の内容となっている。

・組込済フロントサスペンション×2
・別体式リアショックアブソーバー×2
・別体式リアバネ×2
・ハイト・アジャスト・システム×2
・フックレンチ×2
・減衰力調整ダイヤル用ドライバー
・説明書類
・TEINステッカー
・TEINエンブレム

段ボールを開けると重たいサスペンションが出てきた。Z33の重量を支えるだけあって重たいが、それが一式梱包されている段ボールの重さは1人で運ぶには厳しい重量だ。

剛性が必要なだけあって径は太い

中を開けてみるとフロントとリアの1セットがお目見えする。フロントのサスペンションを取り出してみたが、剛性が必要なだけあって径は太い。

リアは別体式となっているため、ショックアブソーバーとバネは別々のパーツに分かれている。

リアのバネ

段ボールからリアのバネ出てきたときは思わず「ええっ」と声が漏れてしまったが、さすがに1.5tの車重が生み出す荷重を受け止めるだけあって生半可なサイズではない。

ハイト・アジャスト・システム

そのバネと組み合わせるのがハイト・アジャスト・システムになる。このハイト・アジャスト・システムとリアのショックアブソーバーの長さを同時に調整することでリアの車高調整が可能となる。

推奨値に合せて固定

今回は推奨値に設定することにしたので、推奨値に設定してあったショックアブソーバー側はそのまま変更せず、唯一推奨値に固定されていなかったハイト・アジャスト・システムを推奨値に合せて固定した。

メーカー推奨値-10mm

これで純正比-10mmの車高ダウンだが、元の車高が低いため数値だけ見ると思ったほど下がらないと感じるかもしれない。

■EDFC ACTIVE PRO

EDFCにはEDFCⅡ・EDFC ACTIVE・EDFC ACTIVE PROの3つのバリエーションが存在する。

大まかに説明するとEDFCⅡは前後の減衰力をコントローラーからマニュアル変更するもので、EDFC ACTIVEからはワイヤレス化と減衰力調整の細微化、加速G(GPSオプションで車速も)連動が追加、EDFC ACTIVE PROでは、さらに旋回G対応とオプション無しで車速対応が可能なうえ、4輪独立減衰力調整が可能になるまで進化している。

今回は最上級モデルのEDFC ACTIVE PROを選択したが、機能が多い分だけ取付けるパーツも多くなっている。箱を開けて中身を確認した際に少し抵抗感を覚えてしまう程だった。

EDFC ACTIVE PROの内容一覧

以下がEDFC ACTIVE PROの内容一覧だ。

・コントローラ×1個
・シグナルコンバータ×1個
・電源フィルターユニット×1個
・モーターケーブル×4本
・モータードライバユニット×2本(フロント・リア用ペアリング済み)
・ドライバユニット用電源ケーブル×2本(2m・5m各1個)
・ケーブル(車速1本・外部入力用2本)
・HEX BOLT×4個
・結束バンド×10本
・ギボシ端子(オスメスセット)×2セット
・クワ型端子×2個
・エレクトロタップ×6個
・両面テープ(コントローラ貼付用)
・説明書

こうして一覧にしてみるだけでもパーツの量が多いのだが、これだけではまだ足りない。合せて対応したモーターキットを導入する必要がある。

EDFC MOTOR KIT M12-12

Z33でMONO SPORTを使う場合はEDFC MOTOR KIT M12-12(品番EDK05-12120)が適合モーターキットになる。

モーターキット添付内容

モーターキットにはモーターの他に、レンチ、グリス、ネジ留め剤、結束バンド4本が入っている。

コントローラーキットとモーターキットを合せると結構なパーツ量になるが、作業量は多いだけで、パーツの取付けで問題となるのは、電源をどのように取るかという問題と車速信号をどこから取るかという問題だけだ。モーターの取付けについてはキット品なので説明書が解決してくれる。

なお、車速信号の入力と外部入力が必要ない場合、シグナルコンバーターは接続不要となる。その場合は、車速信号をGPSユニットに頼るか、車速連動機能を諦めることになる。
※コントローラーはGPSユニットを直接接続可能

■EDFCモーター取付け

EDFCの取り付けは、車種によってはサスペンション本体を取付けた後にモーターを取付ける事ができるものもあるようだ。しかし、Z33ではサスペンションを取付ける前にモーターキットを取付けておく必要がある。

取付けに関してはTEINが公式の説明動画を公開しているため、そちらを見ると分かりやすい。私もこの動画を参考にして取付けたのだが、すんなりとはいかなかった部分もある。

EDFCのモーター取り付けは以下の手順となる。

1. 減衰力調整用ダイヤルの取り外し
2. 内部のHEX BOLTをEDFCコントローラー付属品のHEX BOLTに交換
  (EDFC ACTIVEとEDFC ACTIVE PROのみ)
3. 防水加工(必要に応じて)
4. モーター取付け

フロントのアッパー部分にスパナが入らない

最初は付属のスパナを使い減衰力調整ダイヤルを外すのだが、フロントのアッパー部分にスパナが入らないという問題に直面した。アフターパーツは車に合せて調整が必要なことが前提となっているとはいえ、これはどうかと問いたくなるレベルだ。

曲げ加工

ダイヤル部分がナットの径よりも大きいためソケットレンチも使えず、結局、付属のスパナを万力とハンマーで曲げ加工して使えるようにした。これで減衰力調整ダイヤルを外すことができた。

中にあるHEX BOLTを取り出す

次に、中にあるHEX BOLTを取り出す。

付属のグリスをたっぷりと詰め込む

付属のグリスをたっぷりと詰め込み、コントローラーキット付属のHEX BOLTにも塗ったら、上部が一致するまでねじ込んでいく。

余分なグリスをふき取る

さらにグリスアップして余分なグリスをふき取る。

ここでモーターの防水加工をしておく。フロントはアッパー部分に水が入る可能性があるため、この処理をしておかないとモーターがさび付いて固着する可能性がある。

モーターの防水加工

説明書には信越シリコーン45相当のシーリング材が指定されていたが、運良く手元に信越シリコーンの、しかも指定グレードのシーリング材があったので防水加工箇所に塗り付けておいた。

モーターを差し込む

この後、サスペンションのアッパー部分のねじ山に付属のねじ止め剤を塗布してモーターを差し込む。

モーターの軸を回してねじ込む

マイナスドライバーで時計方向に3回転モーターの軸を回したら、モーターそのものを時計方向に回していく。途中でモーターの軸が抵抗となって重くなる場合は、マイナスドライバーでさらに3回転程度時計方向に回すと抵抗がなくなる。

仮締め地点まで軽く締めたら、モーター軸を最大・最少まで回るかドライバーを回してテストして、問題がなければモーター自体を手で絞めこんで本締めする。

シリコンスプレーを吹きつける

モーターを取り付けたら保護カバーを取り付ける。このカバーはとても動かしづらいので内部にシリコンスプレーを吹いておいた。
※ゴムを侵食しない潤滑剤を使うこと(KURE5-56等は不可)

裏返してから取り付け

カバーをモーター部分まで移動させたらモーターにかぶせるのだが、これがきつくて被せることができなかったため、正攻法ではなく裏返してから取り付けてみた。これが意外にもスムーズに取付けることができ、変に力を入れずとも綺麗にカバーが取り付けることができた。

防水加工部分を覆っているか確認

フロントサスペンションのアッパー部分は構造的にモーター下部まで見えないが、口内鏡を検査鏡の代わりに使い、モーターカバーがしっかりと防水加工部分を覆っているか確認しておいた。

モーターのケーブルも防水処理

モーターのケーブルも防水処理しておく。付属の結束バンドで締め上げて、ケーブルとケーブルカバーの隙間にシーラントを流し込んで防水処理とする。

同じようにリア側もモーターを取付けるのだが、リア側はアッパー部分が車内になるため防水処理は不要だ。だが、念のためモーター部分だけ防水処理をしておいた。

ここで取付け前の加工は終了となるのだが、念には念を入れてEDFCコントローラーに接続して正常に減衰力調機能が動作するか確認をする。

動作テスト

電源を供給して暫くすると、減衰力の最大位置を確認するためにモーターが唸りを上げて動き始める。その音はまさにステッピングモーターの音そのもので、サスペンションの筐体が共振することでより機械らしい響きになる。それらが4つ同調して動くので、機械好きの人間としてはたまらない。

減衰力を調整するダイヤルを動かしてみたが、瞬時に小気味よい音を立ててモーターが動く。その動きはキビキビしており、電子制御サスペンションとはいえ機械が制御するアナログ部分の力強さを感じるシーンだった。これがGや車速に応じてリアルタイムで可動するというのだから驚きだ。

小気味よい音を立ててモーターが動く

次に減衰力調整を4輪独立モードに切り替えて個別にモーターの動きを確認したが、全てのモーターが正常に動作しており、モーターの取り付け確認は問題無く終わった。後は、プロに任せてサスペンションを取付けてもらうだけだ。

■EDFCコントローラーを組み込む

Z33にMONO SPORTが装着されて帰ってきたので、慣らし走行後にトータルアライメントを調整したうえで、DIYでEDFCコントローラーキットを組み込むことにした。

今回はEDFC ACTIVE PRO で制御するが、オプションのGPSキットは装着しない。しかし、車速信号線から車速信号を取り出してGPSよりも正確に車速制御を行えるようにする。

ドライブユニット

最初はモーターとドライブユニットを接続するため、先にドライブユニットの固定をする。ドライブユニットはペアリング済みのため、フロント用とリア用を間違わないように注意しておく必要がある。

バッテリーボックス

フロント側のドライブユニットにはFRONTとシールに書いてあるので、それをバッテリーボックスのこの位置に両面テープを使用して張り付けた。
※張り付ける前にドライブユニット記載のシリアル番号を控えておく

両面テープで貼り付ける際は放熱用の金属面を表にして、背面の内部圧力調整穴を塞がないように両面テープを貼り付ける。

モーターケーブルでケーブルを延長してドライブユニットまで配線をするが、エンジンや可動部に巻き込まれないように注意を払い配線を決めていく。

ゴムグロメット

フロントの助手席側はこのゴムグロメットに切り込みを入れてケーブルを通した。

隔壁内を経由

フロント運転席側については熱害を避けるためエンジンに近くならないように配線をすることにした。配線経路を検討してみたが、最終的にエンジンとバルクヘッドの間にある隔壁内を経由することにした。

ブレーキフルードと書いてあるカバー周囲をバッテリーボックスと同じようにファスナーを抜いて外しておく。

のグロメットの上部の隙間を利用

ケーブルはこのグロメットの上部の隙間を利用してボックス内に通す。そこからはブレーキマスターシリンダーやABSアクチュエーターを避けて奥へとケーブルを通していく。

ワイパーの可動パーツに注意

隔壁の奥側には銀色のロッドが何本かあるが、これらはワイパーの可動パーツなのでケーブルが巻き込まれないように、エンジン側に極力寄せてケーブルを固定する必要があった。

ケーブルを纏めて処理

バッテリーボックス側にケーブルが出てきたら、余ったケーブルを纏めて処理しておく。

なお、フロントのアッパーマウント付近はケーブルがボディと接触するため、断線対策としてコルゲートチューブを巻いておいた。

バッテリー端子から直接常時電源を取る

次にドライブユニットの電源を取るが、ドライブユニットはアクセサリー電源でも常時電源でもどちらでも良いためフロント側はバッテリー端子から直接常時電源を取ることにした。

電源コードは無駄に長くなってしまうため、予め短く加工して先端をバッテリー端子に挟み込めるようにクワ型端子に変えておいた。

バッテリーの端子に共締め

これを、バッテリーの端子に共締めしてフロントのドライブユニットは準備完了となる。

リア側のドライブユニット

リア側のドライブユニットはスペアタイヤの収納スペースに取付けた。ここにはソーラーチャージャーとラゲッジ用シガーソケット増設のため常時電源を引き込んでいるので、配線を分岐して常時電源を供給する。
※ラゲッジまでの配線についてはこの記事を参考

リアのモーターケーブル

リアのモーターケーブルは事前に指定した箇所から出してもらっているため、ケーブルが干渉する場所をコルゲートチューブで保護し、リアタワーバーの内装裏に隠してスペアタイヤのドライブユニット取付箇所まで引き込み接続した。

消費電力

なお、ドライブユニットはモーターのトルクが必要だからか消費電流はドライブユニット1個あたり3Aの消費電流となっている。車内のヒューズBOXから電源を取り出して接続する場合は分岐側のヒューズ容量に注意しておく必要がありそうだ。

シグナルコンバーター

次にシグナルコンバーターと電源フィルターユニットを取付けるが、この2つの電源はアクセサリー電源指定となっている。

電源フィルターユニット

電源フィルターユニットはコントロールユニットに電源を供給するのだが、コントロールユニットがONになると各ドライブユニットと通信してドライブユニットが休止モードから通常モードに移行するため、ここを常時電源にするとドライブユニットが常時稼働してしまいバッテリーが上がる可能性があるからだ。

エアコンコントロールユニットの下部に設置

シグナルコンバーターは電源フィルターユニットと合せてエアコンコントロールユニットの下部に設置しておいた。
※内装の取外しはこの記事を参考

ギボシ端子を分岐

電源はヘッドユニットに接続したオーディオハーネスから取り出すことにした。ハーネスから出ているアクセサリー電源は既に使っているため、ギボシ端子を分岐して電源を取り出す。ボディアースに関しては事前にボディアース用のターミナルを設置してあるのでそこへ接続した。

車速信号が出ているソケット

次に、車速信号を取り出すことにした。Z33では2箇所ほど取り出せる箇所があるが、今回はステアリング左下位置の内装裏にあるソケットから取り出すことにした。
※内装の取外しはこの記事を参考

左から2番目の青色に黒のライン

このソケットの左から2番目の青色に黒のラインが入っている線が車速信号線だ。ここにエレクトロタップを挟み込んで車速信号を分岐する。

シグナルコンバーター側へと引き込む

分岐した配線はシグナルコンバーター側へと引き込んでいく。シグナルコンバーターと接続したら今回は使用しない外部入力の端子を絶縁処理しておく。

仮接続して動作テスト

ここで、一旦コントロールユニットを仮接続して動作テストをしてみたが、問題無く動作していることを確認したので次の作業へと移る。

次に、コントローラーを設置する場所を決める。コントローラーは設置に制限があり。進行方向に向けて45度以上の角度で取付けることと注意書きがある。これは内部のGセンサーが正常に動作する条件となるため、この条件を満たせる箇所を探す。

が、Z33は車体の大きさとは裏腹に後付けメーター類を取付けるスペースが殆ど無い。既にレーダー探知機が数少ないスペースを占有しており、45度条件を満たしつつ操作と視認性が確保できる箇所は無い。

プロバイル メディア・マウンター

結局、前に乗っていたコペンでタブレットPCを1DINにマウントするプロバイルのメディア・マウンターがあることを思い出し、それを滅多に使っていなかったENDY 1DINポケットグローブボックスと付け替えた。

プロバイルのメディア・マウンター

プロバイルのメディア・マウンターはカーボンシートで穴を塞ぎ、その上にコントローラーを両面テープで貼り付けることにした。配線は元から開いている穴に通して背面から出しており、思い付きにしては上出来な仕上がりとなった。取り付けの際に上部のヘッドユニットとの間に隙間が開いているのが気になったが、コントローラーが隠してくれるのでこれなら気にならない。

EDFC ACTIVE PROの取り付け完了

後は、空いたスペースにレーダー探知機のリモコンを取付けられるようにしておいた。

内装を元通りに戻してEDFC ACTIVE PROの取り付け作業が終了したがこれで完成ではない。次は初期設定に入るのだが、ここからも長くなるため今回はここまでで一旦終了とさせてもらう。

次回はEDFC ACTIVE PROの初期設定やTEIN MONO SPORTのレビューの予定だ。