Z33足まわり

前年に想定外の出費が有ったため、予定していたZ33のカスタムが1年ずれ込んでしまった。だが、ようやく予算が取れたこともあり、特に不満を感じていた足回りをさっそく強化することにした。

そこで、今回はZ33向けのスポーツ走行向けのサスペンションをいくつか選定して、その中から絞っていく。なお、今回の予算はZ33カスタム指標で予定したとおり、10万円~20万円という、Z33用のスポーツ走行向けのサスペンションとしては中程度の枠から選択する。

■Z33のスポーツ走行向けサスペンションを探す

今回、私がZ33のスポーツ走行向けサスペンションを選ぶに当たって強く要求する点は「走行シーンに応じた柔軟性」になる。これは、私がZ33で実現しようとしている、GTカーの快適さを残しつつスポーツカーの特性を出していく「GTスポーツ」のために必須の条件になる。

長距離移動や街乗りではGTカーの快適さを発揮し、スポーツ走行時は適度な固さで安心して踏み込んでいけるサスペンションが求められることになるが、そのためには減衰力調整は必須となる。

車高を調整できる車高調機能については、車両の重心を下げることによりコーナリングの安定性が向上するため、無いよりはあった方が良い。

ただし、Z33は車高を下げすぎると急激にキャンバー角が増すため、下げ具合によってはキャンバー角を調整するパーツが追加で必要となる。また、車高を下げるほど下回りのパーツをぶつけやすいというデメリットもあるので、余裕を持って車検に通る程度下がれば良いという程度で考えている。

なお、走行シーンについては街乗りからワインディングまでを想定したサスペンションとなるが、サーキットやドリフト等といった走行シーンが限定しているなら、専用のサスペンションを選ぶか、コースに合せてオーダーメイドで組んでもらうのも有りだろう。

■Z33はリアの減衰力調整に注意

Z33のサスペンションを選択する前に少し注意する点がある。それは、リア側の減衰力調整がリアタワーバーの根本付近に隠れてしまい、一度取付けると減衰力の調整ができない点だ。

これでは、一度取付けると減衰力調整ができなくなってしまうが、オプションを取付け、リアタワーバーの一部を加工することで車内から調整できるものもあるので、減衰力調整が可能なサスペンションはその点を注意して選択したい。

もちろん、ベストセッティングが始めから分かっているのであれば、そのまま取付けてよいだろうが、柔軟性を求めるなら減衰力の調整機能は活かしておきたいところだ。

■サスペンションスペックの見方

さて、サスペンションを選ぶといっても、ドライバーがサスペンションに求める要求は多種多様である。故に、サスペンションも車高落とす機能に特化したものや、乗り心地を改善するコンフォートなど、用途に応じて様々な方向性のものがあるが、スポーツ走行向けのサスペンションで特に注意して置きたい箇所をいくつか説明しておきたい。

・単筒式か複筒式か

サスペンションのショックアブソーバーには単筒式・複筒式に分かれるが、一般的には街乗りは乗り心地が良い複筒式が優れ、スポーツ走行には安定した性能を発揮する単筒式が優れていると言われている。

これには理由はいくつかあるのだが、単筒式にはスポーツ走行に向いた特徴が多いからだ。では、どのような特徴があるのかというと、以下に単筒式の特徴を簡単にまとめてみた。

・構造的に長時間安定して減衰力を発揮する
・ケース剛性が高く安定したステアリングに繋がる
・ストロークが短い
・ケースへのダメージに弱い
・価格が高い
・乗り心地が悪い

デメリットとしてケースの破損は構造上大きな問題となってしまう。ただし、ケース剛性自体が高いため、サーキットや公道を走る程度で破損することは基本的に無いと考えて良いだろう。問題となるのは足回りを接触する事故を起したときだろう。

ストロークが短い部分については、スポーツ走行におけるシーンによっては路面の凹凸を拾いきれない要因となってしまうことがある。特に、路面の凹凸が酷い道では、凹凸を吸収しきれずにタイヤの接地が不安定になるバタつきが発生するかもしれない。

酷い場合は、底付や伸びきりというショックアブソーバーに大きな負担を与える状態になることもあるため、走行シーンに応じた性能のサスペンションを選ぶ必要がある。

以上の問題があるものの、ケース剛性が高く、長時間安定した減衰力を発揮するためスポーツ走行には単筒式という図式が成り立っている。

・全長調整式とネジ式

スポーツ走行向けのサスペンションには車高調整式のものが多い。だが、可能な限り車高調整構造は全長調整式(フルタップ)の物を選ぶべきだ。何故かというと、ショックアブソーバーのストロークに大きく影響してくるからだ。

先の単筒式か複筒式かで記載したとおり、スポーツ走行向けのサスペンションは単筒式が多いが、単筒式はストロークが短いというデメリットが存在する。そのストロークを更にさらに制限をかけてしまうのがネジ式となる。

ネジ式はバネの長さを調整して車高を調整するため、有効ストロークが短くなり、ストロークが短いという単筒式のデメリットをより大きくしてしまう。スポーツ走行向けのサスペンションは高くても全長調整式を選ぶべきだ。

・バネレート

サスペンションは衝撃を緩和するバネとバネの動きを抑制するショックアブソーバーから成っている。そのため、バネだけだと車はフワフワと上下し続け、ショックアブソーバーだけだと衝撃をダイレクトに車体に伝えて不快に感じることだろう。

バネの「柔」とショックアブソーバー(ダンパー)の「剛」の組み合わせで、初めてサスペンションは機能する。だが、取付けた後に調整できるものといえば、ショックアブソーバーの減衰力調整になるため、バネの仕様は特に注意して見ておいた方が良い。

バネにはバネレートというものがあり、どれだけの力を加えると縮むかという指標がある。1kgf/mmなら1mm縮めるのに1kgの圧力を加える必要があると言うことになる。バネレートが高いほど足回りが固くなり、コーナリングでロールしにくくなる反面、衝撃が伝わりやすくなるので、無闇に高いバネレートのものを入れると乗り心地が悪化する。

また、バネによっては伸縮具合でバネレートが変わるものもあるが、仕様として公開されていないので実際に使ってみないと分からないという問題がある。

・ダンパーストローク

サスペンションは路面の凹凸を受けて常に伸縮しているが、この伸縮可能な長さがダンパーストロークになる。もし、ダンパーストロークが足りないと、サスペンションが縮んだ際にショックアブソーバーが限界まで縮んでしまい、バンプラバーに接触するか、調整によっては、バンプラバーに接触する前にショックアブソーバー内部で衝突を起こす「底付」が出る。

逆に、伸びた際にショックアブソーバーが限界まで伸びてしまうと、こちらも内部で衝突を起こす「伸びきり」が出てくる。縮む場合でも伸びきる場合でも、ショックアブソーバー内部で衝突を起こすことは、ショックアブソーバーに多大な負荷を与えることになるので御法度だ。

ダンパーストロークは長いほどサスペンションがしっかりと働いてくれるので、可能な限りストローク長があるものを選びたいところだ。

・アッパーマウント 

サスペンションの上部にはボディと接触するアッパーマウント部分がある。この箇所にはピロアッパーマウントとゴムアッパーマウントの設定があるが、スポーツ走行向けにはピロアッパーマウントが向いている。

一般的な車両にはゴムアッパーマウントが採用されており、サスペンションが受けた衝撃をゴムの部分が受け止めて衝撃を緩和して異音を防止している。しかし、このゴムの部分はサスペンションを固定する力を落とす要因となる。

対して、ピロアッパーマウントは金属製のアッパーによりサスペンションの固定を強固にして、サスペンションが変な動きをしないように押さえつけることができる。だが、金属と金属が接触するため異音が発生する原因となるし、サスペンションからの突き上げもダイレクトに伝わる。

スポーツ走行のみに絞ったならピロアッパーマウントは最適といえるが、街乗りからスポーツ走行というシーンで考えると、ピロアッパーマウントはややオーバースペックといえる。

そこで、ノーマルのサスペンションよりも強力にサスペンションを固定でき、ゴムで異音を極力抑制することが可能な、強化タイプのゴムアッパーマウントを採用したサスペンションを使用する。

・オーバーホール

サスペンションはメンテナンスフリーのパーツではない。ショックアブソーバーの中に入っているオイルは衝撃を受け止める際に発生する熱で変質して性能が劣化していく。オイルの性能が劣化すると粘度が落ちてショックアブソーバーは本来の性能を発揮できなくなる。

また、走行距離が伸びるほどサスペンションのオイルを封入しているシールが緩くなり、経年劣化と合せてダンパーオイルが漏れ出ることがあるが、これらの症状をサスペンションが抜けるという。

サスペンションが抜けると本来の減衰力を発揮できないためオーバーホールが必要になるのだが、サスペンションにはオーバーホールが可能な物と不可能な物がある。

また、オーバーホールのためメーカーに送り返す際、サスペンション一式を送付する必要があり一時的に車両が使えなってしまう。消耗品と割り切って新品と交換という使い方もあるので、車両の使い方に応じてメンテナンス設定の有無を確認しておきたい。

・減衰力調整機能

スポーツ走行向けのサスペンションの多くには減衰力調整機能が付いている。この減衰力調整機能はショックアブソーバーの伸縮具合の調整機能であり、サスペンションを固くも柔らかくもできる便利な機能だ。

この減衰力調整機能は、今回Z33の指標であるGTスポーツには必須ともいえる機能で、減衰力調整機能で街乗り時の快適性とスポーツ走行時の機敏性を切り替えることになるが、リアサスペンションは上記にも記載しているとおり、一度装着したら調整が出来ない物があるため要注意だ。

・キャンバー角調整について

サスペンションにはアッパーマウントにキャンバー角を調整する機能が付いているものがある。しかし、Z33はマルチリンク式サスペンション構造のため、ストラット式サスペンションのようにアッパーマウント側でキャンバー角を調整することは構造上できない。

純正でも、キャンバーアームを固定している偏芯ボルトにより僅かにリアのキャンバー角を調整できるが、数度という大きな角度の調整となると、より偏芯しているサードパーティ製の偏芯ボルトを加工したうえで取付けるか、調整式キャンバーアームに取り替えて調整する必要がある。

フロントについては、キャンバー調整機能は用意されていないため、調整式キャンバーアームといったアーム類の交換が必須となるが、アーム類は指定部品扱いではないため構造変更申請(記載変更)が必要となる。そのため、改造自動車として登録せずに公道で使用することは認められていない。

ネットでは「車検対応」という表記のアーム類が散見されるが、そのまま取りつけて車検に通るのではなく、構造変更申請(記載変更)をして改造車として車検に通るように、手続きが簡略化できる強度試験成績書が付いているというものでしかない。

■Z33街乗りからスポーツ走行向けのサスペンションを探す

前置きが長くなってしまったが、ここでZ33のサスペンション候補をある程度絞っていく。候補として取り上げるサスペンションは特に以下の要素を重視して選択している。

・街乗りからスポーツ走行程度をカバーできる柔軟性
・減衰力調整機能必須
・取付け後のリア減衰力調整が可能
・全長調整式

■定番のHKS MAX IV GT


最初は定番のHKSからHIPERMAXシリーズの「HKS MAX IV GT」に焦点を当ててみた。名称にGTが入っているだけあって、スポーツ走行と同時に街乗りも意識しているサスペンションになる。

別途Z33向けに「HKS MAX IV SP」が用意されているが、こちらはよりスポーツ走行向けの仕様となっているため乗り心地は硬めだ。

バネレートはリアフロント共に9kgf/mmとZ33向けのスポーツサスペンションとしては柔らかめで、出荷時の設定でもリアのキャンバー角は3度と、ややキャンバー角が付く設定になっている。

ダンパーストロークはフロントで伸び側49mm、縮み側で51mm。リアで伸び側65mm縮み側 68mmとなっている。

もちろんリアは車内から調整可能な減衰力調整ダイヤル付となるが、リアタワーバーへ加工が必要になる。

今回紹介しているサスペンションの中では、ワインディングも攻めるが街乗りを特に重視している人向けといえるスペックと読み取れる。

■減衰力電子制御のTEIN MONO SPORT DAMPER


次に絞り込んだのはTEINから「MONO SPORT DAMPER」になる。これの面白いところは減衰力電子制御装置のEDFCに対応している所だ。

EDFCとはTEINがオプションとして用意している減衰力調整機能で、車内から専用のコントローラーを使いリアルタイムで減衰力調整が可能となる代物だ。

それだけではなく、EDFCのグレードによっては、スピードや旋回Gに応じて減衰力調整を自動的に調整するモードもあり、マグネティックライドといった電子制御サスペンションに似た機能を追加することができる。

サスペンション単体の性能としてはバネレートがフロント12kgf/mm リア10kgf/mmとHKS HIPERMAX IV GT以上SP未満のバネレートとなっている。なお、ダンパーストロークは表記されていない。

スペック的には街乗りをするがワインディング重視の人向けのスペックといったところで、HKS MAX IV GTより乗り心地は硬めのようだ。

なお、リアの減衰力調整はEDFCを取りつける必要があるため、リアタワーの加工と合せて配線処理が追加で必要になる。

■減衰力電子制御で柔らかめのDAMPER ZZ-R Spec DSC


最後はBLITZより「DAMPER ZZ-R Spec DSC」だ。DAMPER ZZ-R Spec DSCはDAMPER ZZ-RにBLITZの減衰力電子制御システムDSCが搭載されたモデルになる。

そのためサスペンションの基本的な仕様はDAMPER ZZ-Rと変わりが無く、バネレートはフロント10kgf/mmリア8kgf/mmでTEIN MONO SPORT DAMPEを一回り柔らかくした仕様となっている。

ZZ-R DSC はZZ-RにTEINのEDFCと同じく減衰力電子制御システムを搭載しているため、車内から減衰力をリアルタイムに調整する事が可能となっている。

旋回・加減速G連動やEDFC上位機種に搭載されているワイヤレス機能は搭載されていないため、エンジンルームから車内への配線が必要で、その点がEDFCに劣っているが、減衰力の段数は最大96段階減衰力調整で勝っている。

EDFCほど複雑で攻めた電子制御は必要ないという前提にはなるが。ワインディングも攻めるが街乗りを特に重視している人向けで減衰力電子制御システムが欲しいならばZZ-R Spec DSCに自然と決まることになるだろう。

また、今回紹介したサスペンションの中でリーズナブルということもあり、ベースとなっているDAMPER ZZ-R のZ33装着率は高く、手軽に電子制御サスペンションシステムを導入したいユーザー向けともいえる。

■最後に

価格帯を無視すれば様々なサスペンションがあるが、取りつけ後にリアの減衰力調整機能が機能しない物が意外と多いため、その点には特に注意して選択しておいた方が良い。

また、10万以下のものは車高を下げる機能がメインと考えた方が良いので、スポーツ走行にはお勧めしない。Z33用ではないが、安価なサスペンションの中には錆びて減衰調整ダイヤルが固着したものを実際に見たことがあるので、安価なサスペンションにする場合でも、実績のあるメーカー品にしておいたほうが後々のトラブルに繋がりにくくなるだろう。