ZERO 703V

前回は、ドライブレコーダーの駐車監視機能について追加する方法と、実際に使ううえでの問題点を指摘した。だが、今回はそれらの問題点を解決するための対策について検討した結果と、それら対策が持つデメリットを合せて紹介していく。

■長時間録画のための対策

ドライブレコーダーの駐車監視機能で長時間や常時録画をするにはモバイルバッテリーやメーカーオプション、サードパーティーの外部バッテリーではバッテリーの容量が物足りない。スターターバッテリーを使うにしても、走行充電でスターターバッテリーを充電しきれず漸減して電圧カットオフが働く環境だと長時間の録画はできない。このような場合はどうしたら良いのか、今回はその対策を考えてみた。

1.サブバッテリーシステム


サブバッテリーシステムは車中泊やキャンピングカーを利用するユーザーが車載しているシステムだ。基本的には深放電が可能なディープサイクルバッテリーを搭載し、充電器で予め充電しておくか、アイソレーターで走行中に充電する。

スターターバッテリーとは別のバッテリーを使用するため、エンジンの始動に影響を与えずに使用できるのだが問題もある。

まず、アイソレーターの問題だが、アイソレーターは構造上供給された電圧が降下するためバッテリーを満充電にしきれない場合がある。昇圧回路を持ったアイソレーターを使えば問題は無いが、昇圧で供給する状態に切り替わると供給電流が制限され、満充電に達するまでの時間が延びてしまう。

次に、最近増えてきた充電制御車の場合、電圧が低すぎてアイソレーターで充電できないことがある。これは充電制御車対応のアイソレーターで対応できるが、高価なタイプの物しかない。


また、ディープサイクルバッテリーのサイズが大きいのも問題だ。一般的に使用されるもので100Aクラスとなるが、重量、サイズはスターターバッテリーの倍は有る。

小型の物もあるが容量に対して割高になるため、深放電にやや強いシールドバッテリーをサブバッテリーに使うという方法もある。


シールドバッテリーは完全密閉のため、充電時に火災の原因となる水素が外部に放出されない。車内で使うには最適なバッテリーなのだが、過度の充電電流をかけると内部で発生した酸素と水素ガスでケースが膨らんで破裂する危険がある。

しかし、シールドバッテリーに対応したアイソレーターは有っても昇圧できずに性能的に満足いかないものか、4万円以上もの高価な物という選択となっている。



だが、非常に非効率な方法だが解決方法がある。それはDC12VをAC100Vに変換するインバーターと、操作が不要なシールドバッテリー対応のAC100V用充電器を使ってアイソレーターの代りにしてしまう方法だ。これなら1万円を払ってもおつりが来る。

インバーターを常時通電しないシガーソケットに取付けておけば、エンジンの始動と共に自動的にバッテリーに充電を始めることができ、シールドバッテリーの充電電流を超える事がないように低い電流で充電することができる。ある程度大型のシールドバッテリーなら5A程度で充電が可能なので、走行する時間によっては1日分の使用量を補ってくれるだろう。
※目安として5Ahでドライブレコーダーが約20時間使用可能

2.ソーラーチャージャー

この方法はサブバッテリーシステムとも密接な関係がある。上記のサブバッテリーシステムは、充電方法の選択肢にソーラーチャージャーを追加する方法があるからだが、今回はサブバッテリーの充電用ではなく、スターターバッテリーの充電に使う方法になる。


ソーラーチャージャーは日光を受けて発電するため、エンジンが止まっていても日光さえ受けていれば発電をする。長時間駐車場に置いても発電できる環境であれば電力を供給し続けてくれる。

だが、ソーラーチャージャーは屋内駐車場やガレージという日光が遮られた環境では発電できない。また、車の種類にもよるが、ハッチバックで垂直のリアガラスに取付ける場合や、プライバシーガラス越しの設置では発電効率が落ちて効果は殆ど見込めないだろう。
※見た目を気にせず車外には張り付けるなら効率低下しにくい

ある程度日光が入るとはいえ、カーポート下でも発電効率は低下する。加えて天候不順、角度・方角といった日射条件、熱・送電ロス、ソーラーチャージャーの効率といった要素により発電効率が変化するため、安定して充電ができないデメリットがある。

実際にガラス越しでソーラーチャージャーを運用しているが、発電効率は定格の50%程度に留まるため、大型のソーラーパネルを導入する必要に迫られる。車種によっては設置箇所の問題も出てくるだろう。

だが、ソーラーチャージャーと走行充電で駐車監視機能の消費分を充電できるのであれば、定期的なメンテナンスだけで使い続けることができる。

3.サブバッテリーシステムとソーラーチャージャーの併用

サブバッテリーシステムにはソーラーチャージャーを充電方法の1つとして利用していることがある。走行中はアイソレーター経由でオルタネーターから電力を供給し、停車中はソーラーチャージャーでサブバッテリーを充電するという方法だ。
※100V鉛バッテリー充電器・アイソレーター・ソーラーチャージコントローラー一体型の物も有り

これで、お互いの充電器が補いきれない部分を補完し合うことができる。小型のシールドバッテリーを使う場合は、アイソレーターの代わりに操作が不要なシールドバッテリー対応100V用充電器をインバーター経由で使うのも同じだ。
※充電器が同時に充電できる環境では充電電流が指定値を超えないようにする必要がある

4.高受電性鉛バッテリーの導入


一般的なスターターバッテリーの中には充電を効率良くしてくれる高受電性鉛バッテリーというものがある。性能的には一般的なスターターバッテリーの1.8倍の受電性があると言われているが、30分で80%充電というような、今時のスマートフォンのような急速充電が可能になる代物ではない。

実際に高受電性鉛バッテリーを使っているが、オルタネーターの出力が高くとも走行充電は1時間に十数Aも充電ができるような性能ではない。これは、オルタネーターの充電制御が定電圧充電のため、バッテリーの電圧が上がるにつれ充電電流が低下する特性が出るためだ。故に、この対策は根本的な解決には繋がらない。あと少し、充電効率が欲しいという場合のみ有効な対策である。

また、充電制御車の場合はバッテリーの充電状態が良好だと、減速時にしかオルタネーターが発電しない制御となっているため、満充電にしきれないことがある。

5.リチウムフェライトバッテリー


もし、リスクを最大限に取ってでも高受電性を手にしたいのであれば、リチウムフェライトバッテリーを採用したスターターバッテリーがある。これは、リチウム系バッテリーの中でも安全性が高いと言われているリチウムフェライトを使用しているようだ。

とはいえ、危険性は鉛バッテリーの比ではない。あくまでも、リチウム系バッテリーの中で安全性が高いと言うだけで、内部ショート、過放電、過充電により発火する可能性は依然残っている。

また、事故でケースが破損した場合、内部ショートや化学反応により発火する可能性があるため、車の製造メーカーは電気自動車のような特定の車種以外でリチウム系のバッテリーを使用することはないのが現実だ。

その電気自動車で採用しているリチウム系バッテリーは、事故でも極力火災に繋がらないように念入りに設計しているが、スターターバッテリータイプのリチウムフェライトバッテリーはそこまで考えて設計してあるかと言われると疑問だ。

信頼性の低い中華メーカーのバッテリーセルを採用した物や、設計が悪く自己放電が多いため数日充電しないだけで過放電保護が働いて充電が必要になるもの、容量が極端に小さいため一般的な使用に向いていない物(レースモデル等)が市場では見られる。

このような現状のため、安易に勧めることができないが、リチウムフェライトバッテリーはリチウム系バッテリーの例に漏れず高速充電が可能というメリットがある。40Ahの容量なら40Aの電流で充電できるため、1時間程あれば空の状態から満充電にできる。
※オルタネーターの電流供給に間に合わなければ充電時間は延びる

一般的な車はスターターバッテリーが受け入れられるだけ電流を供給する定電圧充電を採用しているが、この方式はスターターバッテリーが満充電に近くなるほど充電効率は落ちていくため、バッテリーが上がった状態から満充電にするためには、数時間から十数時間の走行充電が必要と言われている。要求される電流供給を満たせば、1時間で満充電にできるリチウムフェライトバッテリーと比べると圧倒的に長い。

もし、火災のリスクを取ってまで導入したいというので有れば止めないが、安易に採用するのだけは避けて欲しい。リチウム系バッテリーはここ30年程度の歴史しかなく、150年以上の歴史がある鉛バッテリーとは成熟具合が違うからだ。

番外:車内完結型バッテリー補充電システム

どのようなシステムであれ、バッテリーの充電が間に合わずに補充電が必要になる事も出てくるだろう。だが、100V電源のバッテリー充電器を使い充電するとなると、ボンネットやトランクを開けておき、事前に配線をするといった面倒な作業が待っている。

ガレージなら良いが、屋外駐車の場合はいたずらや盗難の可能性もあり、長時間そのような状態で放置するのは気が引ける。また、駐車場に100Vの電源がない場合は補充電をするために車を移動する必要があり面倒だ。

こういった場合、車内に放置して鉛バッテリーを充電することができる物があれば便利だと思いついたのが車内完結型バッテリー補充電システムになる。大層な名前だが、要は鉛バッテリーで鉛バッテリーを充電するというシステムになる。

鉛バッテリーで鉛バッテリーを充電するという方法は珍しく、一般的には非効率に思われるが、このシステムのメリットを理解すれば、この方式を採用した理由を理解して貰えるものと考える。

この方式は、低電流で定電流充電が可能なため、車内のヒューズ電源を経由してバッテリーを充電することができ、シールドバッテリーの充電にも対応できるので、サブバッテリーシステムにシールドバッテリーを使う場合の補充電にも使える。

また、バッテリーをブースターケーブル等で並列に繋げて充電する場合と違い、電源側のシールドバッテリーから供給された電圧を昇圧して供給することができるため、電源側の容量さえ有ればバッテリーを満充電にできる能力がある。

加えて、電源はシールドバッテリーのため車内に放置しておいても問題は無く。使用後は同じ充電器を使い、100Vの電源から電源用のシールドバッテリーを充電することができるという代物だ。


使うのは12Vのシールドバッテリーとホビー向けの万能充電器のみだが、事前に車内のヒューズボックスから電源取出しヒューズを使う等して車内に充電用の配線を用意しておく必要がある。

もちろんデメリットもあり、電源側のシールドバッテリーに容量を求めるほど重量は増える。また、充電器による昇圧回路の効率により20%程度のロスがあるうえ、電源側のバッテリーを放電し過ぎると寿命が短くなるため、電源側のバッテリーの容量全てを充電に使えるわけではない。何処まで放電を許すかによって変わるが、7割程度充電に回せると想定しておくべきだろう。

なお、ホビー向けの万能充電器には電源側(親電源)の電圧が低下すると充電を停止して過放電から保護する機能が付いている。満充電にできなくとも電源側のシールドバッテリーが過放電することがないため放置しても大丈夫というわけだ。もちろん、そのまま放電した状態でシールドバッテリーを置いておくと劣化が早くなるため、なるべく早めに充電することが望ましい。

■もしもバッテリーを上げてしまったら

ドライブレコーダーの駐車監視機能はバッテリーを酷使してしまうため、バッテリーが上がってしまい、エンジンが始動できない事態に見舞われることもあるかもしれない。そんな時のことを考えて、いざという時の対処を事前に準備しておくことも大切だ。

ここでは、万が一バッテリーを上げてしまった時のために対処について検討してみた。なお、紹介する対処法の内いくつかは実際に採用している。

1.リチウム系バッテリーのジャンプスターター


最近、モバイルバッテリーとして使えるジャンプスターターが増えてきている。小型ながら物によっては6Lのガソリンエンジンの始動も可能という性能の物もあり、業者が利用することもあるようだ。

これらのジャンプスターターはリチウム系バッテリーを電源としているため、車内の置いておくには危険性が伴うが、小型なので普段はモバイルバッテリーとして持ち運び、いざという時に使うなら車内に置くリスクを回避できる。

しかし、誤った使い方で車両火災に繋がった事例がネットで報告されているため、説明を良く読んで使用しないと思わぬ事故に繋がってしまう。

2.鉛バッテリーのジャンプスターター


車内に長期保管しても安心して使えるジャンプスターターが必要なら、昔ながらの鉛バッテリーを電源として使用するジャンプスターターを使う方法がある。

高温の環境に晒されてもリチウム系バッテリーのような危険性はないし、電源として使っているバッテリーはシールドバッテリーのため、内部の電解液が漏れだすことや、車内で充電する際に水素ガスが漏れ出るというデメリットもない。

だが、自己放電をするため、数ヶ月に1回は充電が必要で、鉛バッテリーのためサイズは大きく重量もある。有名メーカーの製品であれば導入コストも馬鹿にならない。

だが、電源として使用している鉛バッテリーの安全性・実用性については疑う余地はないだろう。

3.スーパーキャパシタ採用のジャンプスターター


車内に長期間置いておき、定期的に充電をする必要が無いメンテナンスフリーのジャンプスターターが必要なら、スーパーキャパシタ採用のジャンプスターターという物がある。

スーパーキャパシタとは大容量のコンデンサーで、瞬時に電気を蓄え瞬時に放電できるという性質を持っている。この特性を使い、弱ったスターターバッテリーから電気を供給してもらい、数分程度スーパーキャパシタに電気を蓄えたら、エンジンの始動時に一気に放出して始動を助けるという仕組みだ。

バッテリーを内蔵しないため、スターターバッテリーが突然死や完全放電している状態だと使えないが、他車のバッテリーから充電して使う方法や、充電時間は数十分と長いがUSBの5Vから電源を供給可能なモデルならモバイルバッテリーを電源として使える。

ただ、大容量のスーパーキャパシタは高価なため、それを何個も搭載しているスーパキャパシタタイプのジャンプスターターは当然高価になる。

4.ブースターケーブル

長期間車内に放置しておいても使えるが、安価な物で対策をしたいならブースターケーブルが最適だ。


ブースターケーブルはカー用品店やホームセンターで簡単に入手できるうえ、ジャンプスターターよりも安価だ。バッテリーを使わないため安全性についてはこの対策の中では最も高い。

だが、ブースターケーブルは電源を供給してくれる車が必要になるため、周囲に車がない環境では使えない。ただし、充電してあるバッテリーが有るならば、バッテリー同士を接続して始動の助けにすることはできるだろう。

やっていることは鉛バッテリーのジャンプスターターと同じだが、数十A程度の小さいバッテリーだとCCAが小さく始動の助けにならないどころか、放電に耐えられず突然死することもあるため、できる限り本来の使い方をした方が良い。

5.ロードサービス

自分ではどうにもならない場合は他人の手を借りることにする。JAFや車の任意保険にはロードサービスが付いている物があるのでそれを活用する。

JAFの場合は個人に対してのサービスのため、乗っている車両に関係なくサービスを受けることができる。また、家族会員なら年会費が安くなるメリットもあるので、有料だが検討する価値はあるだろう。

■まとめ

ドライブレコーダーの駐車監視機能については短時間の利用ならまだしも、それ以上の実用性を求めるには残念ながら実用の域に達していない機能といえる。

基本的にどの対策についても簡単に導入出来るものではなく、ドライブレコーダーの劇的な省電力化や、各種バッテリーに革新的な技術が搭載されるか、安全で高エネルギー密度のバッテリーが登場しない限り長時間の利用は現実的ではない。

だが、それでも実用域に持って行きたい場合は、今回の対策を参考にしてもらえると嬉しい。また、諦めるという選択肢が存在していることも忘れないで欲しい。ここまでして駐車監視機能が必要なのか、改めて考えてみるのも良いかもしれない。