残量グラフ

前回、ドライブレコーダーの駐車監視モードの暗電流を補うためソーラーチャージャーを導入したが、18Wクラスのソーラーパネルでも能力不足となってしまった。原因は計算の甘さと発電能力の過大評価によるものだ。

だが、実際にどの程度バッテリーの残量が駐車監視モードで減り、ソーラーチャージャーで充電しているのか分かりにくかったため、調査用にバッテリーの監視システムであるCTEK BATTERY SENSEを導入した。

今回は、そのBATTERY SENSEによって明らかになったバッテリー残量の推移を見ながら、ソーラーチャージャーの評価と次回の対策について検討していく。

■バッテリーの推移を確認して分かったこと

バッテリーの推移を見ながらどうこう語る前に一つ知らせておきたいことがある。それはバッテリーの特性により発生する問題だ。

BATTERY SENSEの紹介でも記載しているが、バッテリーの電圧で残量を推し量ることは難しい。温度の補正を入れたとしても、比重で計るような正確性を求めることは出来ない。

それは、温度の補正が入っていると思われるBATTERY SENSEでも例外ではなく、グラフが100%に張り付いて一向に下落しないといった症状が出る。そのため、ここで表記される○%という数値は大まかな指標として受け止めて欲しい。

また、BATTERY SENSEが示すバッテリー残量100%はバッテリーの容量(今回は48Ah(5時間率))なのかという点についても疑問に思ったのでテストしてみたのだが、この点については疑問が残る結果となった。

というのも、充電時のデータを元に換算すると4A充電4時間で31%分の充電となり、50%は約26Ahの計算となる。しかし、消費時のデータで計算すると0.24A(実測暗電流)で33.3時間稼働して51%だったので50%は約8Ahの計算となる。充電時にロスがあるとはいえ、3倍以上の差が出るほどのものだろうか疑問だ。

50%がいったい何Ahに相当するのか確信には至らなかったが、100%がバッテリー容量とするなら、100%で52Ah相当(実容量48Ah)になる充電換算が近い。しかし、消費と充電で3倍の差があると計算にならないので、容量相当を算出して計算することは無意味だと諦めた。

そこで、消費と充電は%のまま計算することにした。もちろん環境により誤差が出るのは仕方が無いので、そこはある程度の範囲を指標として最も悪い数値を計算で利用する。また、気象条件により変化が大きい充電はそのままの数値を利用するが、消費電流は一定の電流なので1時間1.9~2.6%の消費としている。
※消費は100%張付き症状が無い場合の計測結果より算出

なお、今回使用している鉛バッテリーは48Ah(5時間率)の開放型バッテリーとなるので、容量やバッテリーの種類が違う場合は数値が参考にならない可能性もある。その点は注意して頂きたい。

■ソーラーチャージャー充電時の数値は参考にしにくい

二時間半でこの回復はおかしい

晴れの日の18Wソーラーチャージャーによる充電は2時間半で42%回復という驚異的な数値となった。だが、37%回復させるのに4A設定の充電器で4時間必要だったのに対して、最高で1Aの出力しかないソーラーチャージャーが2時間半で42%回復というのは計算が合わない。

恐らく、ソーラーチャージャーの充電により電圧が長時間上昇したため、バッテリーの残量が実際よりも有るものとBATTERY SENSEが誤認している可能性がある。エンジンが回っているときはオルタネーターにより14Vの電圧まで一気に上昇するため、走行充電を検出しやすいのだろうが、0.○Vの上昇程度、しかも、それが長時間続く場合は充電によるものと判断できないのだろう。

曇りは4時間で2%

曇りの日の発電量は低く、ドライブレコーダーの駐車監視モードを稼働している状態だと日当たりが良い場所でも4時間で2%しか回復しなかった。また、暗電流以上の電流を発電できるのは15時までで、そこからはチャージコントローラーが充電ステータス表示でもバッテリーの残量は減少していく。

なお、5月下旬~6月上旬は日当たりが良ければ7時30分から19時まで発電しているが、定格どおりに発電しているわけではない。また、チャージャーコントローラーが充電ステータス表示になっていても、暗電流以上の電流を発電しないとバッテリーは充電できないため、バッテリー残量を推測できる物がないと全く予想が付かない。

■走行充電は思ったほど充電していない

走行充電は20分で2~3%

通勤時に片道約20分程度走行をしているが、その間に充電できるのは2~3%と僅かな量でしかなかった。Z33の前期型・中期型には110Aのオルタネーターが装着されているが、その出力を持ってしても急速に充電できるわけでは無く、バッテリー容量を100%と想定した場合、充電量2%では4.2A程度しか充電できていないことになる。
※バッテリー容量48Ah(5時間率)の場合

しかも、搭載しているバッテリーは充電受入性が通常のバッテリーの1.8倍あるグレードにもかかわらずこの数値である。

とはいえ、オルタネーターの効率が最も良いとされる2,000rpmではなく、1500rpm回転をほぼ維持している状態で走行しているので、オルタネーターの出力が最高まで達していない可能性もあるし、そもそもバッテリーの充電受入性がその程度ということもある。

原因はどちらにせよ、結果として走行充電は予想したほどの充電量ではなかった。暗電流対策をせずにドライブレコーダーの駐車監視モードを使用し、度々電圧低下でドライブレコーダーが停止した原因はこれで明確になった。

しかし、この結果を見るに、ドライブレコーダーの説明書に書いてある毎日1時間以上走行する条件でも、停止時に使用する電流を賄えるのか怪しいところではある。それほど、ドライブレコーダーの駐車監視モードの消費電流は大きいため、安易に実用性を求めて導入することはやめておいた方がいい。今の私のように、血眼になって実用性に耐える対策を考える羽目になるかもしれない。

■何Wのソーラーチャージャーなら暗電流を補えるのか

ドライブレコーダーの駐車監視モードで消費する電流を補うために18Wのソーラーパネルを導入したのだが、導入の紹介記事ですでに結論は出ているとおり無理だった。

バッテリー残量推移

18Wのソーラーパネルと48Ahのスターター用鉛バッテリーでは発電の揺らぎを受け止めきれなかったのだ。天候も日当たりも良好という条件でも充電量は不足し、天候不順や日陰で発電量が激減するとバッテリーの残量は大きく漸減していく。

天候不順を見越したつもりで18Wクラスのソーラーチャージャーを導入したが、オーバースペックどころかそれでも足りないという状態で、私の予想は見事に打ち砕かれた。

知識をつけた今、改めて計算してみたが、18Wのソーラーパネルは出力電流が1Aなので、日当たり良好なら1Aで充電できる。しかし、1日の内ソーラーチャージャーが定格で発電できるのは3~4時間相当(5月の最高条件)と言われているため、季節、天候、日当たり共に最良の条件で4Ah/日の充電となる。
※PWM及びバッテリー直結時の効率

だが、リアガラスに貼り付けたソーラーパネルは59%まで発電効率が低下するため、実際は2.35Ah/日まで低下してしまう。この2.35Ahで稼働できる時間は暗電流の0.24Aで割って出てくる9.8時間となる計算だ。

1日の内、走行時間を除いた約23時間をソーラーチャージャーで賄うためには、5.5Ah必要となるが、計算の段階で満充電に出来ない時点で詰んでいる。晴天の日の翌朝に駐車監視モードが停止したことがあるが、この計算を見れば納得だ。

また、この地域では、最も効率が悪くなる12月~1月は定格で発電できる時間が1時間程度※のため、本来であれば1時間で5.5Ahをできるソーラーパネルにしないといけないことになる。
※NEDOの日射量計算による(北向き30度の環境)

この5.5Ahを1時間で発電しようとすると、車外の日当たりが良い箇所に70Wのソーラーパネルを設置して、効率よく充電に回すためにMPPTタイプのチャージコントローラーを使う必要がある。

ソーラーチャージャー

走行充電を加味しても50Wクラスが必要になる計算となるが、リアガラス設置による発電量の低下を加味すると100Wクラスが必要で、18Wクラスのソーラーパネルではとても賄いきれるものではなかったことが明確となった。
※チャージコントローラー・熱・ケーブル抵抗ロス分を含めず算出

■車載ソーラーチャージャーの限界

私のZ33で運用する設定

駐車監視モードは過放電防止のため12.1Vで停止する設定にしているが、これは、バッテリーの残量が約50%になる電圧であり鉛バッテリー内部の劣化を考慮すると限界に近い。

とはいえ、なるべく劣化を避けるために満充電に近づけたいと思ったものの、日没時に満充電状態からスタートしても、天候不順が続くと2日後の夜に駐車監視モードの設定電圧まで低下し停止してしまう。これでは鉛バッテリーの劣化は避けられないし、駐車監視モードの連続稼働を実現するにはほど遠い。

そもそも、ソーラーチャージャーを含めてソーラー発電の問題点は天候不順による発電量不足が大きな問題となる。特に、オフグリッドと呼ばれる電力会社の電力供給に頼らず、ソーラー発電システムで蓄えた電気のみを利用するシステムでは、天候不順で電気が蓄えられず漸減するという深刻な問題に直面することがある。

これを解決する方法は、天候不順による充電量の揺らぎをどのように吸収するかということになるが、具体的にはソーラーパネルを増設するか、高出力のものに交換して充電量を上げる方法をとるか、バッテリーの容量を増加することで対応している。また、チャージコントローラーを交換することで、ある程度対応できることがある。

ソーラーパネルを増設、高出力タイプに交換するには、必然的にソーラーパネルが占有する面積が増えるが、設置が可能な箇所が限られている車という環境では自ずと限界がある。

バッテリースペース

また、バッテリーについても、家庭でオフグリッドソーラー発電システムを組むなら自由にバッテリーを追加できるが、車の、しかも始動用に使うスターターバッテリーを使用する方法では容量増加はやはり限界に突き当たってしまう。

チャージコントローラーによる効率改善はPWM方式からMPPT方式すればある程度の効率は望めるが、ソーラーパネルの出力がある程度必要になるうえ、高価で自己消費電流も大きい。

結局の所、生半可な対策ではドライブレコーダーの駐車監視モードを常用することは叶わないことが身をもって理解できた。

■実用化させるという意気込み

ここまで読んでもらえれば、ドライブレコーダーの駐車監視モードを実用に耐えるレベルに持って行くことがどれだけ難しいことか理解してもらえたと思う。車の電装をDIYで加工し、18Wのソーラーチャージャーとチャージコントローラーを設置してもドライブレコーダーの駐車監視モードが常時稼働するために消費する電流を賄うことができなかったのだ。

これは、走行充電の充電量とソーラーチャージャーの性能を過大に評価していた私の甘さが原因だ。だが、私はここで諦めることはしない。むしろ突き進んで行く予定だ。


すでに対策は出ている。まずはリアガラスに取付けることができる限界である50Wソーラーパネルへ換装して天候不順時の充電量を増加させる。計算では2.78倍の電流量になるはずだ。また、必要に応じてチャージコントローラーをPWMタイプから天候不順でも充電効率が良くなるMPPTタイプに交換して曇りの日の充電効率を上げる。これで、曇りの日の充電効率4割アップを期待する。

この組み合わせで18Wソーラーパネルの約3.9倍の効率向上を見込んでいるが、天候不順でソーラーパネルが北側を向く条件でも、日光を遮る物がなければ満充電近くを維持でき、周りが日を遮り、直射日光が当たる時間が少ない場所でも、1週間天候不順に耐えることができる計算となった。

それでも天候不順に思ったほど耐えられない場合、50Ahのシールドバッテリーを組み込み、サブバッテリーシステムを搭載することで実用に耐えるシステムを構築することも考えている。

もはや、小規模オフグリッドソーラー発電システムを搭載した車と言うべきレベルではあるが、DIYでシステムを構築することが可能なので、近いうちに実行に移していく予定だ。

しかし、ソーラー発電やバッテリーという物は調べれば調べるほど生き物のようだ。天候に左右されるし、かたや残量を正確に推し量ることが難しい。実際に運用してみないと分からないのがオフグリッドソーラー発電システムの難しさだと痛感した。