CTEK BATTERY SENSE


ドライブレコーダーの駐車監視モードで鉛バッテリーが弱り、頻繁に録画が停止するのでソーラーチャージャーを導入したのだが、確かに、天候や駐車場所の環境が良ければ録画は停止しなかった。しかし、天候や駐車場所の環境が悪いと鉛バッテリーを満充電にできず、ドライブレコーダーの駐車監視モードは停止してしまう。

そこで、ソーラーパネルを増設か高出力の物に替えるか検討していたのだが、その前に実際に鉛バッテリーの充放電状態がどうなっているのか把握しておきたいと考え、定期的に鉛バッテリーの状態を記録してくれるアイテムはないかと探していたところ、CTEKのBATTERY SENSEという鉛バッテリー管理アイテムを発見したので導入してみることにした。

このBATTERY SENSEにたどり着くまで、鉛バッテリーの状態計測できる物を色々と検討することになったのだが、最初はソーラーパネルの発電電流を正確に計測できる中華性の積算電流計付き電圧計が目にとまった。

鉛バッテリーの状態は電圧で把握でき、その日の発電電流を積算電流で瞬時に確認できるメリットがあったのだが、暗電流が大きいうえに信頼性に欠ける物が多く、最悪の場合火災につながる可能性があるので導入をためらってしまった。

他にも、カオスバッテリーを導入する予定があるので、類似した機能を持つLifeWINKを導入しようかと検討をしてみたのだが、鉛バッテリー交換毎に使い捨てのうえ、確認の際にボンネットを毎回開けるのは不便だ。

また、LifeWINKはセンサーによって集められたデータを元に演算処理して鉛バッテリーの状態を把握しているようだが、1Aクラスのソーラーチャージャーで充電しているのはさすがに想定外だろう。そうなると、演算処理に狂いが生じてステータス表示に信頼がおけなくなる可能性が高い。

ただし、私の環境に合わないだけであり、LifeWINKは消費電流の他にオルタネーターの電力供給や温度を加味して鉛バッテリーの状態を表示しており、専用設計ということもあわせて考えると、通常の環境で使うなら精度や信頼性は高いと考えられる。

鉛バッテリーの端子に取付けるバイク用の電圧計も考えたが、エンジンルームから配線するのは面倒だし、電圧だけでは鉛バッテリーの状態を完全に見抜くことはできないため、指標としては良いが情報が足りない。

そして、最後にたどり着いたのがBATTERY SENSEになる。

■鉛バッテリーの不思議を解決せよ

BATTERY SENSEを選んだのは1つの大きな疑問を解決するためだ。その疑問とは、満充電状態からドライブレコーダーの駐車監視モードで設定した停止電圧に達するまでの時間が、鉛バッテリーの容量から算出された時間より早すぎるという疑問だ。

鉛バッテリー端子電圧と電源を取っているヒューズの電圧誤差も0.01V未満で電圧降下によるものではないし、暗電流は240mAのため、鉛バッテリーの容量計算根拠となっている5時間率の容量以上使えるはずなのに、5時間率で計算された値の2/3程度しか稼働できない。

しかも、駐車中は曇りで発電効率は悪いもののソーラーチャージャーは発電しており、走行充電もしていたにもかかわらず、計算した値の2/3程度しか稼働ができなかった。

鉛バッテリーは温度や劣化具合で性能が変わるので、その可能性は十分に考えられた。温度の変化により鉛バッテリーの容量や放電性能はがらりと変わる、そのため鉛バッテリーの電圧だけで残量を計算するのは参考程度にしかならない。

では、正確に鉛バッテリーの残量を計測するにはどうするかというと、比重計で計測する方法が最も正確になるのだろう。だが、比重を計ってまで管理はしたくない。

そこで、BATTERY SENSEで鉛バッテリーを確認して、計算よりも早くドライブレコーダーの駐車監視モードが停止する原因を探る指標として利用することにした。これで、ソーラーチャージャーの運用を検証するデータが出てくることになる。

■CTEK BATTERY SENSEレビュー

BATTERY SENSEは取付けるバッテリメーカーを選ばない。12V鉛バッテリーであれば、軽乗用車から大型自動車まで対応が可能な4.5~200Ahと幅広い容量をカバーしている。

内容物一式

取付け自体もバッテリーの端子に繋ぐだけとあって、付属品は本体以外に簡易マニュアルと両面テープ、結束バンドのみとなっている。

BATTERY SENSE本体

本体は手のひらに収まるサイズで、取付け箇所が限られてくるエンジンルーム内に取付ける際は邪魔になりにくい。これでも、温度センサーと最大3ヶ月分のデータを保存できる性能を持っており、スマートフォン等と通信するためのBluetoothモジュールも内包されている。

消費電流は1mA

これでいて、バッテリーの電流を消費しないように消費電流は1mAに抑えてある。暗電流によるバッテリー残量の変化を計測しようというのに、計測機器自体が暗電流を大きく増やす原因になっては本末転倒だが、常時表示タイプの電圧計よりもはるかに小さい消費電流となっている。

ヒューズボックス

本体から伸びるケーブルには防水・防塵タイプのヒューズボックスが取付けてられており、内部には1Aのヒューズが装着されている。

なお、本体もIP67の防塵防水仕様となっており、まともに水がかかる箇所やエンジンの熱を直接受ける箇所を避ければ、天候を気にせず使い続けることが出来そうだ。

■Z33へ取付け

バッテリー付近

早速、愛車のZ33に取付けるためにバッテリー付近で取付ける箇所を探すことにした。Z33はバッテリースペースにカバーが付いているため、カバーを取り外して中を見ることにしたのだが、カバーを固定しているファスナーのツメが何個か折れてしまった。

ツメが何個か折れた

12年も経っている車両なので、走行が少なくともの樹脂やゴムの経年劣化は避けられない。後日、ファスナーは新品に交換しておいたが、今後のメンテナンスについて少し考えさせられる機会だった。

バッテリースペース

話は戻り、バッテリースペースを覗いて取付け箇所を探す。BATTERY SENSEは温度センサーを内包しているが、ただ温度を計測して表示するだけではないはずだ。海外の公式ページにあるFAQの中身を読むと、多数要素を加味して残量を決めるという説明があるため、温度もその要素に入っている可能性は高い。

事実、バッテリーの温度というのは性能に大きく係わってくる。そのため、なるべくバッテリーに近い所に設置しておき、バッテリーの温度と極力近い数値になる箇所を探してみた。

ヒューズボックスの横面

最終的に、バッテリーの直ぐ横に設置されているヒューズボックスの横面に張り付けて設置することにした。ここならバッテリーに近く、エンジンの熱による影響も受けにくいと予想してのことだ。

取付け完了

取付けは、取付け箇所を脱脂して両面テープでBATTERY SENSEを張り付けるだけだ。後はバッテリーの端子にクワ型端子を挟み込んで取り付けは完了となるが、念のため、干渉しそうな箇所にはコルゲートチューブを被せておいた。

プラス端子側カバーが浮く

若干、プラス端子側カバーが浮いてしまったため、バッテリースペースのカバーが浮いてボンネット内部に干渉してしまったが、気になるならプラス端子のカバーを加工すると良いだろう。

これで取り付けは完了だ。

■英語アプリでも初期設定は簡単

BATTERY SENSE本体の取り付けが終わったらスマートフォンやタブレットPC側の初期設定をする。

BATTERY SENSEアプリ

まずはアプリストアからBATTERY SENSEアプリをインストールした。

01 BATTERY SENSEアプリを起動

インストールが完了したら、Bluetooth機能をONにしてBATTERY SENSEアプリを起動。スクリーンショットの英文が出たら左へスワイプする。

02 IDを確認せよ

BATTERY SENSE本体か箱に記載されているIDを確認せよと出てくるので、IDを確認して左へスワイプする。

03 バッテリーの画

バッテリーの画が出てくるが、既に接続済みなのでもう1度左へスワイプ。

04 確認したIDを入力

CONNECT SENDERというタイトルの画面が出てくるので、画面中央のボックスに先ほど確認したIDを入力してConnectボタンをタッチ。

05 Bluetoothのペアリングを要求

暫くすると、Bluetoothのペアリングを要求してくるのでペアリングをする。

06 初期入力画面

ペアリングが終わると画面が切り替わるので、白色のボックスに分かりやすい名前を入力する。

07 バッテリーの容量をスライドして決める

ここでバッテリーの容量を決定するためBattery Capacity 75Ahと書いてあるボタンをタッチして、搭載されているバッテリーの容量をスライドして決めたらBackをタッチして戻る。

08 写真を貼り付け

最後に必要なら、下部の四角いエリアをタッチして表示する写真を撮影するか、保存してあるものから選んでおく。ここで選んだ写真が表示されるが、気に入らなければいつでも変更が可能だ。

09 初期設定完了


Finishボタンをタッチしたら初期設定は終了となる。通信可能範囲ならバッテリーの状態を読み込んで表示するのだが、設定をいくつか変更しておくと更に便利になる。

お勧め設定

お勧めがこの設定となる。2段目の電圧表示、3段目の温度表示はONにしておいた。通信範囲内のみ表示という制限はあるが、電圧や温度はバッテリーにおいて重要な情報だ。

最下段はバックグラウンド通信の設定だが、これをONにしておけば運転中など、通信可能範囲に入っていると自動的にデータを吸い上げてくれる。日々車両を運転するならこの設定がおすすめだが、週末ドライバーならOFFにしておき、4段目の7日間通信がないとアラート表示をONにしておくと良いかもしれない。

Detail画面

この場合は手動で通信をする必要があるが、即座に通信をしたい場合はメイン画面で下にフリックするか、View Detailボタンをタッチして通信を開始する。メイン画面でLast Updateの日時が変わるか、View Detailで出てくる詳細画面に電圧と温度が表示されているなら最新のデータに切り替わっている。
※電圧と温度は設定で表示をONにしないと表示されない

■実際に運用してみて

BATTERY SENSEの仕様はBluetooth 4.0 Class2なので、通信範囲に関しては見通し10mの距離なら通信が可能だ。

実際にボンネット開けて通信した際は10m程度離れていても通信していた。しかし、ボンネットを閉じると通信環境が悪化して2~3m程度まで通信範囲が低下してしまった。

これは金属の電波遮断効果によるもので、金属やカーボンといった電波を遮る性質があるボンネットやボディに囲まれれば通信範囲は低下する。とはいえ、確認のため車内の計器を確認することや、ボンネットを開ける必要がないのは楽だ。

運用に関しては、バックグランド通信の設定をし、スマホのBluetoothをONにしておけば運転時に自動的に通信してデータを取り込んでくれる。

もし、直近のデータが欲しければ、車の近くでView Detailボタンで詳細画面に切り替えれば、即座に通信を開始してBATTERY SENSEからデータを取り込んでくれる。この際、温度と電圧を表示するが、これは正常に通信している状態のみ表示する仕様だ。

グラフが全画面表示

また、この画面でスマホを横に傾けると、グラフが全画面表示になる。ピンチ操作をするとグラフを拡大できるが、残念ながら計測ポイントごとに電圧・温度といった記録を表示してくれる訳ではなく、増減を視覚的に理解しやすいように表示しているだけである。

せめて、タッチしたポイントの残量ぐらいは表示してもらいたいものだが、欲を言えばCVSファイルなどで記録したデータをエクスポートできれば最高だ。

また、専用アプリのみでしかデータを扱えない点には不安もある。企業が製品のサポートを停止したとき使えなくなるという不安だ。BATTERY SENSEはインターネットのサーバーを経由して通信している訳ではないので、サポート終了時にサーバーも停止して使えなくなるといったことにはならないだろう。

だが、アプリストアから消えた場合、新規インストールは出来なくなる可能性はある。Apple製品だとお手上げだが、Androidならアプリをapkファイルとしてバックアップしておくことで対応が出来るかもしれない。

残量が突然跳ね上がることはない

残量の表示については様々な情報を加味して決定しているだけあって、充電器による充電や、エンジンを始動して電圧が14V以上になっても残量が突然跳ね上がることはない。どうやら複雑な演算の上で残量を決めているようだ。だが、残量を決める要素がどうなっているのかという点はとても気になる所である。

鉛バッテリーは温度が下がると性能が低下し、逆に暑いと性能が上がるため、温度は鉛バッテリーの状態を把握する上で大切な要素になる。単純に電圧だけで残量が計れないのが鉛バッテリーの難しいところだ。

温度を加味していると思われる動き

実際にドライブレコーダーの駐車場監視モードで放電し続けた記録を見ると、日中は穏やかに容量が減っていき、日没後は急激に容量が減っていく傾向が見える。夜間の温度低下を加味して残量の計算をしていると推測できる動きだ。
※ソーラーチャージャーを取り付けいていると正しい計測ができないため、今回のレビューのために行ったテストはソーラーチャージャーを外した状態で実施

他にも0%の電圧は何Vなのかという疑問もあったが、最悪鉛バッテリーが使えない状態まで劣化する可能性があったためテストはしていない。だが、表示した容量を温度の影響を含めた電圧から逆算すると、放電終止電圧は10.5Vではなく11.64Vを基準にしている可能性がある。

この11.64Vという数値は、鉛バッテリーの容量を決める放電終止電圧(10.5V)時の開放電圧になるが、11.64Vなら表示する容量と計算値がかなり近い数値だった。もし、そうであれば、暗電流分の負荷が掛った状態では余裕のある設定にしていることになるが、セルが回る余力を考慮してのことかもしれない。

ただし、CTEKはスウェーデンの企業なので、ヨーロッパの鉛バッテリー容量基準である20時間率が影響している可能性もあるのかもしれない。日本の鉛バッテリー容量を決める基準は5時間率だが、これは20時間率より厳しい基準のため、同じ鉛バッテリーでも日本の基準で計測すると容量が小さく定められてしまう。

この点については情報がないため定かではないが、そもそも、比重で鉛バッテリー残量を計測しているわけではないため、残量は大まかな指標として割り切っている。

100%張付き状態

実際に、ドライブレコーダーの駐車監視モードで大きな暗電流が流れているにも関わらず、グラフが100%に張り付いた状態が続いたこともあり、ある程度の誤差があることは把握している。それでも、電圧だけで管理しているより正確だろうと予想しているし、今のところ総じてメリットが大きいため愛用し続けている。

特に、週末ドライバーのように長期間車を動かさないドライバーにとっては十二分な指標となるのは間違いないだろう。車の近くに行ってBATTERY SENSEで確認すれば、充電の必要性があるのか、また、どのタイミングで充電しないといけないのか直ぐに見通しがつく。

なにより、鉛バッテリー状態を計測機器は多数あるが、殆どが計測した際の状態を表示するに留まり、BATTERY SENSEのように過去のデータを含めてグラフという視覚的に表示してくれるものは希少だ。

現在、BATTERY SENSEで記録したデータを元にソーラーチャージャーの性能を再検証しているが、その件については検証が終わり次第公開する予定にしている。